WRC第11戦ラリーチリ(グラベル)は、競技最終日となる9月29日にSS13〜SS16の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが総合優勝。エルフィン…
WRC第11戦ラリーチリ(グラベル)は、競技最終日となる9月29日にSS13〜SS16の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが総合優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンも2位に続き、トヨタ勢が1‐2フィニッシュを達成した。前日デイリタイアしたセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデは、再スタートしたこの日単独のリザルト、スーパーサンデーでトップにつけた上にパワーステージも制し、この日だけで獲得できる最大ポイントを獲得した。ラリー1マシンでの2度目の参戦に挑んだサミ・パヤリ/エンニ・マルコネンは総合6位と健闘を見せた。
(以下、チームリリース)
WRC 第11戦ラリー・チリ・ビオビオ デイ3
ロバンペラが今季4勝目を飾り、エバンスは総合2位でフィニッシュ。
オジエはスーパーサンデーを制し、チームは最大ポイントを獲得
9月29日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」の最終日デイ3が、南米チリのコンセプシオンを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が優勝、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) が総合2位に入り、TGR-WRTは今シーズン5回目の1-2フィニッシュを飾りました。また、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン(5号車)は総合6位に入り、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は総合36位ながらも「スーパーサンデー」を制し、チームは最大ポイントを獲得しました。
ラリー・チリ・ビオビオの最終日は、サービスパークの南側、ビオビオ川の西側エリアで2本のステージを各2回走行。その合計距離は54.80kmと、三日間で最短の一日でした。デイ3のステージは全体的にウェットコンディションとなり、前日に続き濃い霧に覆われたステージもあるなど、最後まで難しいコンディションでの戦いになりました。
デイ2終了時点で総合2位のエバンスに15.1秒差、総合3位のオィット・タナック(ヒョンデ)に33.6秒差をつけていた首位ロバンペラは、4本のステージのうち3本で2番手タイムを記録するなど速いペースを維持。最終的には総合2位エバンスとの差を23.4秒まで拡大し、第8戦ラリー・ラトビア以来となる今シーズン4勝目を獲得しました。その結果、ロバンペラがTGR-WRTと共に獲得した通算優勝回数は「15」となり、伝説的なドライバー、カルロス・サインツがかつてトヨタ在籍時代に記録した勝利数に並びました(サインツのキャリア通算優勝回数は26勝)。
土曜日午後のステージで濃霧により大幅にタイムを失うまで首位につけていたエバンスは、ロバンペラに次ぐ総合2位でフィニッシュし、第7戦ラリー・ポーランド以来となる今シーズン5回目の表彰台を獲得。日曜日のみの合計タイムで順位とポイントを競う「スーパーサンデー」でも、チームメイトふたりに次ぐ3位となりました。デイ2までに3本のベストタイムを刻むなど非常に速いスピードを示しながら、パンクやアクシデントで順位を大きく落としていたオジエは、最終日の全てのステージでベストタイムを記録。「スーパーサンデー」を制しました。TGR-WRTは、土曜日終了時点での総合順位に対して与えられるポイントに加え、スーパーサンデーでオジエが1位、ロバンペラが2位となったことでフルポイントを獲得。さらに、最終のパワーステージでもオジエがベストタイム、ロバンペラが0.1秒差の2番手タイムを記録した結果、今シーズンから導入された現行のポイントシステムにおいて、獲得可能な最大マニュファクチャラーズポイントである、「55」を初めて獲得したチームとなりました。その結果、TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権における首位チームとのポイント差を35から17に縮小。また、ドライバー選手権では残り2戦で最大60ポイントを獲得することが可能なため、選手権3位のオジエと4位のエバンスにも計算上は王座獲得のチャンスが残されています。
今回がキャリア2回目のトップカテゴリー挑戦だったパヤリは、最終日も非常に安定したペースで走行。GR YARIS Rally1 HYBRIDと共に総合6位でフィニッシュしました。なお、パヤリはRally1車両でさらに経験を積むべく、ターマック(舗装路)イベントである次戦の「セントラル・ヨーロッパ・ラリー」にもGR YARIS Rally1 HYBRIDで挑みます。また、GR Yaris Rally2で3勝を挙げているサポート選手権のWRC2については、WRC最終戦「ラリージャパン」でタイトル獲得にチャレンジします。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
我々のチームにとって素晴らしい結果になりました。今シーズン初めて日曜日を完璧に戦い抜くことができて、本当にいい気分です。特に、直近の2戦では最終日に壊滅的な打撃を受けていたのでなおさらです。我々のドライバーたちは、今日も最後のステージまでプッシュし続けるなど、素晴らしい仕事をしてくれました。この結果はチーム全体を後押しし、残りの2戦に向けてさらなるモチベーションを与えてくれるでしょう。カッレとエルフィンは週末を通して素晴らしい走りを見せ、どちらが勝ってもおかしくない状況でした。セブは、走り切った全てのステージで非常に速いタイムを記録し、そのスピードとファイティングスピリットのおかげで、我々はマニュファクチャラー選手権で非常に重要なポイントを獲得することができました。最後に、サミは我々の期待通りにこの週末を戦い、安定感のある成熟したドライビングでクルマをフィニッシュまで導いたことで、多くの経験を積みました。全体として、我々にとって本当にポジティブなラリーでした。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
この勝利を本当に嬉しく思います。タフな週末でしたが、勝利のために全力で臨まなくてはならない戦いをするのは、いつだって良い気分です。天候やその他の要因もあり、いかなる時も簡単には行きませんでしたが、良い仕事ができたと思います。金曜日はあまりいいフィーリングではなかったのですが、大きなミスもなく走り切ることができましたし、コンディションが厳しくなった時には、大きな差を築くことができました。最終日の今日もプッシュし続けることが重要でしたが、チームメイトとともに、マニュファクチャラー選手権で非常に大事なポイントを獲得することができたので、とても満足しています。この週末、本当に競争力の高いクルマを用意してくれたチームに感謝します。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
ほぼ最初から最後まで、満足できる週末でした。良いパフォーマンスを発揮することができましたし、チームにとって素晴らしい結果になりました。その一員として貢献できたことを嬉しく思います。昨日は私たちにとって有利なコンディションにはなりませんでしたが、カッレは戦略もドライビングも上手くやり遂げたので、おめでとうと言いたいです。今日はウェットコンディションの路面がさらに多くなり、霧もかなり出ていましたが、問題なく走りきることができ、速さもそれなりに発揮することができました。この結果はマニュファクチャラー選手権にとって大きなプラスになったので、後はシーズンの最後までこの調子を保てるように集中しなくてはなりません。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
週末をポジティブな形で終えることができて嬉しいですし、今日は、マニュファクチャラー選手権でチームが再び勢いを得ることに貢献できて良かったです。それでも、自分自身と、大きな代償を払うことになった昨日までのミスについては非常に残念に思っています。なぜなら、我々には素晴らしいスピードがあり、走り切ったほとんどのステージで勝利を収めていたからです。しかし、ラリーは速さがあるだけでは十分ではなく、全てをまとめ上げなければならないのですが、今週末はそうすることができませんでした。このクルマで走るのは本当に楽しく、これほどいいフィーリングでグラベルを走れたのは初めてです。クルマを良くするために努力を惜しまなかったチームに感謝したいと思います。私たちは正しい方向に向かっているので、ラリージャパンまでプッシュし続けます。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)
このラリーを完走することができて本当に嬉しいです。素晴らしいクルマを再びドライブできてとても楽しかったので、チームに感謝します。金曜日は自分たちにとっては期待が持てた一日で、ある程度のペースで走ることができました。その後の2日間はトリッキーなコンディションとなりましたが、それもラリーの一部ですし、多くのことを学びました。今回はラリーを最後まで無事に走り切ることが主なプランだったので、満足するべきでしょうし、少なくともいくつかのステージではいいペースを示すことができました。新たに多くのことを学ぶことができるであろう、セントラル・ヨーロッパ・ラリーへの挑戦が今から楽しみです。
ラリー・チリ・ビオビオの結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h58m59.8s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +23.4s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +43.9s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m01.1s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +2m02.7s
6 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m39.7s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +2m47.7s
8 ヨアン・ロッセル/フローリアン・バラール (シトロエン C3 Rally2) +8m31.4s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +8m48.7s
10 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m52.1s
36 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1h27m03.1s
(現地時間9月29日16時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
第11戦 終了時点でのドライバー選手権順位
1 ティエリー・ヌービル 207ポイント
2 オィット・タナック 178ポイント
3 セバスチャン・オジエ 166ポイント
4 エルフィン・エバンス 161ポイント
5 アドリアン・フォルモ− 140ポイント
6 カッレ・ロバンペラ 114ポイント
7 勝田 貴元 80ポイント
8 ダニ・ソルド 44ポイント
9 サミ・パヤリ 41ポイント
10 エサペッカ・ラッピ 33ポイント
第11戦 終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 482ポイント
2 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 465ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 245ポイント
次回のイベント情報
WRC次戦は、10月17日(木)から10月20日(日)にかけて行われる、第12戦「セントラル・ヨーロッパ・ラリー」です。2023年に初めてWRCとして開催されたこのイベントは、ドイツ、チェコ、オーストリアの三カ国を舞台とするターマックラリーです。サービスパークはドイツ、バイエル州のバート・グリースバッハ・イム・ロートタールのカルプフハムに置かれ、17日にチェコの首都プラハで開幕。4日間に渡り三カ国で18本のステージが予定されています。