今週は、秋のGIシリーズ開幕戦、第58回スプリンターズS (GI、芝1200m)が中山競馬場で行われる。 今年は、ディフェンディングチャンピオンのママコチャや、高松宮記念覇者マッドクールといったGIホースに加え、セントウルSを制したトウシン…

今週は、秋のGIシリーズ開幕戦、第58回スプリンターズS (GI、芝1200m)が中山競馬場で行われる。

今年は、ディフェンディングチャンピオンのママコチャや、高松宮記念覇者マッドクールといったGIホースに加え、セントウルSを制したトウシンマカオ、昨秋にオーストラリアの高額賞金レース、ザ・ゴールデンイーグルを制したオオバンブルマイや、香港からの刺客ビクターザウィナーにムゲンなど、国内外のスプリンターが集結し、激戦が予想される。

そんな中、サマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたサトノレーヴが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■シリーズチャンピオンが大一番で勝てない

スプリント戦線の新星として注目を集める存在となったサトノレーヴ。4月の春雷Sでオープン初勝利を飾ると、夏の北海道でさらに素質を開花させ、函館スプリントS、キーンランドCと重賞を連破し、サマースプリントシリーズの頂点に輝いた。デビュー以来、芝1200mでは6勝2着1回とパーフェクト連対で底を見せておらず、ここまでの通算成績は【7.1.0.1】。超新星が初のGI挑戦でビッグタイトル獲得を目論んでいる。

2006年にサマースプリントシリーズが始まり、そのチャンピオンが同年のスプリンターズSへ出走したのは延べ17頭。その内訳は【1.2.2.12】で、なかなか勝ち馬が現れなかったが、2019年に初めてタワーオブロンドンが勝利を飾った。5頭が馬券圏内に絡んでおり、比較的好成績にも思えるが、その5頭はすべて、スプリンターズSの重要な前哨戦・セントウルSへ出走し、本番を迎えた馬たちだった。

一方、セントウルS不出走でサマースプリントシリーズのチャンピオンとなった馬のスプリンターズSでの成績は【0.0.0.9】と、一度も3着以内に入っておらず、半数近い4頭が2桁着順に敗れるなど、好結果を残せていない。シリーズ唯一のGIIで揉まれた経験のないチャンピオンは、本番で好走できていないのだ。

サトノレーヴの父ロードカナロアは、2012、13年のスプリンターズSで連覇を果たすなど、短距離戦線で栄華を極めた。しかし、その産駒は高松宮記念では【2.0.2.9】と2頭の勝ち馬を輩出している一方、スプリンターズSでは【0.1.1.10】と、いまだに勝ち馬を輩出できていない。国内外GI2勝のダノンスマッシュも、スプリンターズSでは勝ち切れなかった。

中京と中山の芝1200mでの成績を比べてみても、前者は勝率14.4%、連対率22.2%、複勝率30.5%であるのに対し、後者は勝率10.7%、連対率18.6%、複勝率26.6%と、中京に比べて中山のほうが分が悪い。このあたりも、ロードカナロア産駒が、スプリンターズSで勝てない理由なのかもしれない。

今回は、前走で手綱を握ったD.レーン騎手が継続して騎乗できる点は強みで、中山も2戦2勝と舞台適性に問題はなさそう。しかし、ママコチャやマッドクールといったGI馬を押しのけて人気になるのは過剰というもの。セントウルSを使わず、強い相手に揉まれる経験値のなさが、如実に表れるのは必至。馬券的な妙味はないと考え、今回のサトノレーヴは思い切って「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。