ニューウェイ氏は移籍発表の際に「優勝するのに必要な全ての主なインフラを備えている」と語った(C)Getty Images F1のアストンマーティンチームは9月10日、レッドブルレーシングからの離脱する意向を表明した名マシンデザイナー…

ニューウェイ氏は移籍発表の際に「優勝するのに必要な全ての主なインフラを備えている」と語った(C)Getty Images

 F1のアストンマーティンチームは9月10日、レッドブルレーシングからの離脱する意向を表明した名マシンデザイナーのエイドリアン・ニューウェイ氏(65)が来年3月から「マネジングテクニカルパートナー」の職務に就くと発表した。アストンマーティンは2026年からホンダのパワーユニットの供給を受けることが決まっており、『ニューウェイ&ホンダ』の共闘関係も新天地で継続することになる。これまでは移籍先としてフェラーリが有力視されていた。

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「空力の鬼才」の異名を持つが、優勝請負人として潜在能力の高いチームを察知する嗅覚も抜群だ。ヘッドハンティングされたウィリアムズではナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、デーモン・ヒルをワールドチャンピオンに導き、マクラーレンではミカ・ハッキネンがタイトルを手にした。

 レッドブルには2006年に加入したが、同チームの源流は1997年にF1に初参戦した中堅チームのスチュワートグランプリ。2000年からジャガーレーシングに模様替えされたが、その後5年間で勝利がなくトップチームとは大きな開きがあったのは否めなかった。

 それが09年にセバスチャン・ベッテルが移籍してから勝ち出すようになり、10年にコンストラクターズとのダブルタイトルを獲得し、13年までシリーズ4連覇。現行のハイブリッド方式になってからは苦戦したが、ホンダとジョイントして再び上昇気流に乗り、マックス・フェルスタッペンが10年に初のシリーズ王者に。22、23年とコンストラクターズタイトルでも連覇し見事な王国復活を果たした。

 ニューウェイ氏を突き動かしたのはホンダへの強い関心という。かつて栃木県の開発拠点を視察した際は自前のメモ帳にカリカリと書き込む姿が常に見られ、ポテンシャルの高さを実感したとみられている。チームも新風洞を整備したばかりでアストンマーティン入りの発表リリースでも「ホンダや(石油大手の)アラムコのような素晴らしいパートナーと共に、チームは選手権で優勝するのに必要な全ての主なインフラを備えている」と意気込みを語った。

 名門フェラーリはチーム規模ではナンバーワンで、腕を振るうには十分な体制ではあったが、チーム側との考え方の違いで話し合いが決裂したとされる。2026年からは新たなパワーユニットによる戦いが始まる。ニューウェイ氏は先見の明を持つことでも知られるだけに「アストンマーティン・ホンダ」のパッケージが将来的に化けると判断したのではないか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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