今週は、秋華賞トライアルの第42回ローズS(GII、芝2000m)が中京競馬場で行われる。 春のクラシックで果敢に牡馬へ挑戦したレガレイラをはじめ、オークス4着のクイーンズウォーク、忘れな草賞勝ちのタガノエルピーダ、フローラS2、3着のラヴ…

今週は、秋華賞トライアルの第42回ローズS(GII、芝2000m)が中京競馬場で行われる。

春のクラシックで果敢に牡馬へ挑戦したレガレイラをはじめ、オークス4着のクイーンズウォーク、忘れな草賞勝ちのタガノエルピーダ、フローラS2、3着のラヴァンダ、カニキュル、チューリップ賞2着のセキトバイーストといった実績馬がスタンバイ。

これに対するはフレミングフープ、オーロラエックス、チェレスタといった1勝クラスを勝ち上がってきた上がり馬だ。ラスト一冠の切符を懸けた熱い戦いが予想される。

そんな中、唯一のGI馬レガレイラが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■牡馬クラシックに挑戦した牝馬は秋に勝てない

2歳時のホープフルSで、史上初となる牝馬によるレース制覇を成し遂げたレガレイラ。今春のクラシックでは皐月賞(1人気6着)、ダービー(2人気5着)に挑戦し、それぞれ人気に応えられず敗れてしまったが、ともに上がり最速。牡馬に引けを取らないレースぶりをみせた。今秋は牝馬同士の戦いに矛先を変え、再度のビッグタイトル獲得へ向けここから始動する。

しかし、牝馬同士なら明らかに力上位という見立ては早計だろう。過去20年、皐月賞またはダービーに出走した牝馬はわずかに5頭。そのうち、秋に不出走となった2021年サトノレイナスを除く4頭は、いずれも秋華賞に駒を進めているがラスト一冠を勝利するどころかトライアルすらも勝てなかった。

14年バウンスシャッセは皐月賞は11着もオークスで3着に好走。しかし、夏の函館記念16着を挟んで紫苑S12着、秋華賞7着と見せ場を作れなかった。同年レッドリヴェールはダービーに挑戦するも12着。秋はローズS(1人気6着)、秋華賞(2人気6着)と掲示板外が続いている。17年ファンディーナは皐月賞で1番人気も7着に敗れ、その後ローズS(1人気6着)、秋華賞(2人気13着)ともに人気に応えることができなかった。

また、07年のダービーを制したウオッカは、凱旋門賞への挑戦を断念して宝塚記念8着から直行で秋華賞へ。順調な調整過程ではなかったかもしれないが、秋のラスト一冠では3着に敗戦。ダービー馬ですら秋華賞を取りこぼしているように、牡馬と渡り合ったからといって必ずしも牝馬同士なら優位、というわけではないと言える。

もう一つ懸念点を挙げるとすれば、関東馬のスワーヴリチャード産駒が関西圏の芝のレースで勝てていないこと。

中京、京都、阪神、小倉での成績は【0.1.1.10】と、まだ産駒がデビューして一年ちょっととサンプル数が少ないのは確かだが、相性が良くない可能性は高い。関西馬を含めても東京、中山の芝コースでは連対率が29.6%、31.4%という結果を残しているのに対して中京芝では15.0%。京都、阪神でも10%台となっており、躍進著しいスワーヴリチャード産駒も関西圏では買い控えたいところだ。

デビューから5戦連続で上がり3F最速と、一級品の決め手を持つレガレイラ。牝馬限定ならトライアルでも負けられないところだが、あくまでピークは本番にありそうだ。過去の牡馬クラシックに挑戦した牝馬の歴史からも、決して絶対的な存在とは言えない本馬。取りこぼしも十分に考えられることから飛び抜けた人気ほどの妙味はなく、今回は思い切って「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。