8月5日、埼玉県・入間市にある、平山ユージ氏プロデュースのクライミングジム「CLIMB PARK BASE CAMP」でルートクライミングコンペティション「BASE CAMP ROCK FESTIVAL 2017」が開催された。毎年恒例と…


 8月5日、埼玉県・入間市にある、平山ユージ氏プロデュースのクライミングジム「CLIMB PARK BASE CAMP」でルートクライミングコンペティション「BASE CAMP ROCK FESTIVAL 2017」が開催された。毎年恒例となっている同コンペは、キッズクラスからトップクライマーも参加するオープンクラスまで10カテゴリーによるクライマーたちの夏の祭典。第6回目となる今年はそこへ「オーバー50」「キッズリードビギナー」の2カテゴリーを加え、12カテゴリーにスケールアップ。老若男女230名のクライマーたちが、夏の暑さにも負けない熱気にあふれたクライミングを披露した。

CLIMBERSも大会公式Tシャツという形で協賛させていただきました

夏休みということもあり、会場には多くの子どもたちが来場

 午前中はキッズ(トップロープ、リードビギナー、リードミドル、リードオープン)、エントリー、ミドルの予選からスタート。小学生が中心のカテゴリーということもあり、会場は夏休みのこどもたちではやくも賑わいをみせる。午後からはビギナー、スーパーミドル、マスター、オーバー50、そして目玉となる男女オープンの予選が行われた。女子には野口啓代、伊藤ふたば、森秋彩(もり・あい)という今年の日本選手権リード競技大会でもしのぎを削ってきた3人が参加し、男子には先日のワールドゲームズ(リード種目)で表彰台ワンツーフィニッシュを果たした是永敬一郎と波田悠貴が参戦。その他にもリードW杯第3戦ファイナリストの島谷尚季や沼尻拓磨、野村真一郎など、日本代表のトップクライマーたちが集結した。

 男子オープンの予選は、ルート1を16人中11人が完登するという横一線のスタートとなるも、ルート2では一変して高度に差が生まれる展開となった。一番手で登った大高伽弥(おおたか・かや)がいきなり完登を果たしたが、2番手以降はルートの中盤でフォールする選手が続出。なかなか完登者が現れない展開だったが、ここで魅せてくれたのは是永。ここまでの選手たちが苦戦する難所となっていた終盤のルーフを是永は難なく攻略すると、そのまま見事に完登を果たした。代表組の島谷や沼尻、野村もそれに続いて完登が期待されたが、やはり終盤のルーフを攻略できず、高度25+地点で力尽きてしまった。そして15番手に今シーズン、リードW杯で初の表彰台に登るなど、勢いに乗る波田が登場。是永に続く完登が期待されたが、終盤に差しかかる強傾斜のムーブに苦戦し、耐え切れずに21地点でフォール。波田はこのルート2の成績が響き、決勝進出を逃してしまった。

 男子と同時進行で行われていた女子オープンクラスの予選は、ルート1から野口、伊藤、森の3人が揃って完登し、会場は実力が伯仲した選手のクライミングに釘付けとなる。そしてルート2を1番手で登った伊藤は、完登まであと2手のところまで差し迫るも、26+でフォール。それを見ていた2番手の森が、伊藤が越えられなかった26地点も力強く掴んでそのまま完登。5番手の野口も終始余裕のあるクライミングで完登し、森と野口は同スコアで1位通過。3位に伊藤が続いた。



 夕方からは各カテゴリーの決勝戦。競技前には暗転したステージのなかファイナリストたちが登場し、スポットライトが当てられるなかで各選手が紹介されるなど演出も会場の雰囲気を盛り上げていく。ひときわ大きな声援が沸き起こったのが、小俣史温と安楽宇斗の2人が完登し白熱したクライミングをみせたキッズオープンクラスと、篠原大太の22+と本田達の22という紙一重の高度で優勝を争ったオーバー50クラス。その他カテゴリーでも会場からは夏に負けない声援が終始沸き起こっていた。そして最後に行われたのが男女オープンクラス決勝。先に行われた女子では、先頭から柿崎未羽、岩本岬、栗田湖有の3人がロングルートの序盤でフォールし、決勝ルートのレベルの高さに苦しむ。4番手の伊藤は序盤を危なげなく通過し、アーチ型に続いていくルートの終盤、残るはトップにロープをかけるだけとなったが35+地点で力尽きた。5番手で登る森も序盤から中盤にかけてテンポよく登ると、苦しくなってくる終盤のルーフもクリアし、ラストは歯を食いしばりながらトップを掴み見事に完登してみせた。ラストに登る野口も伊藤の35地点は通過したものの、ゴールを目前にしながら37+地点で限界を迎えた。これで唯一予選から全てのルートを完登した森の優勝が決定。森は「完登して優勝できたらいいなと思っていたので嬉しい。最後は絶対に離したくないと思って全力で登りました」と喜びを語った。









 続く男子オープン決勝は一番手の佐々木原が序盤から負荷の高いルートに消耗してしまい19+地点でフォール。続く沼尻は21+、島谷も23+と、序盤で消耗し緩傾斜に入る中盤で苦しむ展開が続く。予選2ルートを完登した大高も序盤でスリップし、最後に登る是永がどんな登りを見せるのかに注目が集まったが、ワールドゲームズ金メダリストをもってしても序盤で体力を消費させられてしまう。中盤に入るとさらに苦しくなる同様の展開となったが、ここでリード日本代表のエースの意地を見せ、高度を25地点まで伸ばして優勝を決めた。是永は「久しぶりの草コンペだったので優勝できてホッとした。(ワールドゲームズからの凱旋という期待の目もあったが)そういった面のプレッシャーもあって下手な登りはできないと思っていたので良かった」と喜びと安堵のコメントを残した。

 比較的大会数が少ないルートクライミングだが、ボルダリングに負けるとも劣らない盛り上がりをみせた今大会。来夏の開催も今から楽しみだ。



<リザルト・リード種目>

キッズトップロープ
1位:大西 蛍雪 18+
2位:波多野 英傅 14+
3位:山根 嘉穂 14

キッズリードビギナー
1位:浮嶋 大輝 21+
2位:横田 呼春 20
3位:赤塚 紗夕 11+

キッズリードミドル
1位:関川 愛音 25+
2位:三竿 莉平 24+
3位:竹内 亜衣 22+

キッズリードオープン
1位:小俣 史温 TOP ※予選1位
2位:安楽 宙斗 TOP ※予選3位
3位:猪鼻 碧人 25+

エントリー
1位:村山 亜未 19
2位:皆川 誠大 16+
3位:相澤 浩之 13+

ビギナー
1位:河合 晴喜 22+
2位:川嶋 すず菜 17+
3位:藤野 柊斗 17

オーバー50
1位:篠原 大太 22+
2位:本田 達 22
3位:雨宮 久雄 17

ミドル
1位:荒井 睦輝 22+
2位:河合 汰樹 22
3位:滝口 萌 13

スーパーミドル
1位:上村 悠樹 26+
2位:山崎 卓也 21+
3位:久米 乃ノ華 19+

マスター
1位:渡辺 颯海 28+
2位:佐久間 祝 17+
3位:齋藤 正樹 15+

女子オープン
1位:森 秋彩 TOP
2位:野口 啓代 37+
3位:伊藤 ふたば 35+

男子オープン
1位:是永 敬一郎 25
2位:島谷 尚季 23+
3位:沼尻 拓磨 21+

CREDITS

取材・文

篠幸彦 /

写真

牧野慎吾