今週は、サマースプリントシリーズ最終戦で、スプリンターズSの前哨戦となる第38回セントウルS(GII、芝1200m)が中京競馬場で行われる。 今年は、葵S、北九州記念と重賞連勝中のピューロマジックや、アイビスサマーダッシュを制したモズメイメ…

今週は、サマースプリントシリーズ最終戦で、スプリンターズSの前哨戦となる第38回セントウルS(GII、芝1200m)が中京競馬場で行われる。

今年は、葵S、北九州記念と重賞連勝中のピューロマジックや、アイビスサマーダッシュを制したモズメイメイなどサマースプリントシリーズ王者を狙う2頭をはじめ、ヴィクトリアマイル覇者テンハッピーローズ、重賞3勝のトウシンマカオといった実績馬に加え、アサカラキング、サウザンサニー、ヨシノイースターなど重賞初制覇を狙う快速自慢が集結し、見応え十分の一戦となりそうだ。

そんな中、昨秋のスプリンターズSを制したGI馬ママコチャが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

◆【セントウルステークス2024予想/高配当メソッド】勝率70%の1人気、信頼できるのはピューロマジックかママコチャか 伏兵一角に“馬券内率63%”浮上

■斤量、乗替り、休み明けと懸念多数

昨年は、オープン特別の安土城S制覇から、北九州記念2着をステップに、スプリンターズSで重賞初制覇をGIで成し遂げたママコチャ。その後は、阪神Cで5着、今季初戦の高松宮記念で8着と精彩を欠くが、復権を期し、ここセントウルSから始動して、スプリンターズS連覇を目指す算段だ。

あくまで狙うは本番で、この前哨戦で果たしてどこまで戦えるだろうか。別定戦の今回、牝馬で斤量57キロはGI馬たる宿命。牡馬では59キロに相当する酷量だ。過去10年で57キロを背負った牝馬が出走した例はないが、2022年にGI馬ソングラインが、56キロを背負って2番人気5着に敗れた例があるように、実績馬がコロッと負けてしまうのが、セントウルSの特徴でもある。

それは、スプリンターズSを制した馬が、翌年のセントウルSに出走した場合にも見受けられる。2011年のスプリンターズSを制したカレンチャンは、翌年のセントウルSで4着に敗戦。2012、13年とスプリンターズS連覇を果たすなど、晩年に国内外のGI6連勝を果たしたロードカナロアも、その間、唯一敗戦を喫したのが、13年セントウルSでの2着。実力馬が星を落としてしまう、夏でも秋でもない狭間のGIIというのが、セントウルSの特色なのかもしれない。

前走高松宮記念組も、過去10年では【1.1.0.3】と決して相性は悪くないが、好走した2頭は、2016年ビッグアーサー(高松宮記念1着→セントウルS1着)、14年ハクサンムーン(高松宮記念5着→セントウルS2着)と、いずれも高松宮記念で好走していた馬たち。ママコチャは、勝ち馬から1秒差の8着と大きく負けており、その点も強調材料を欠くことになる。

名牝ソダシの全妹で、華麗なる白毛一族のGI馬として、少なからず脚光を浴びる今回。韓国遠征により、主戦の川田から鮫島駿に替わりとなるが、過去10年で乗り替わりの場合は【3.6.7.68】勝率3.7%と決してプラスとは言えず、ママコチャ自身も休み明けが【1.2.1.4】、2戦目以降が【5.0.1.0】と明らかな叩き良化型。次に控えるスプリンターズSが中2週という番組編成を考慮すると、ここで全力投球という感じもなく、ひと叩きと考えるのが筋というもの。人気ほどの妙味はないと考え、今回は思い切って「消し」でいってみたい。

◆【セントウルステークス2024予想】秋競馬の開幕戦はスプリント覇者へ向けた重要な一戦 出走予定・枠順、予想オッズ、過去10年データ・傾向

◆【セントウルステークス2024予想/前走ローテ】「傾向合致」で期待のピューロマジック イレギュラー開催だからこそ浮上する“妙味アリ”のレース

◆【京成杯オータムハンデ2024予想/血統展望】単&複回収値140超の“人気盲点” 前走惨敗も「お構いなしに狙うしかない」

◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。