パリ五輪でも採用された段ボールベッド。その使用感は大きな論争を巻き起こした。(C)Getty Images パリで100年ぶりに実現した今年の夏季五輪。選手たちの酷暑など環境や健康への負担も不安視された大会では、グラウンド外の事柄に…

パリ五輪でも採用された段ボールベッド。その使用感は大きな論争を巻き起こした。(C)Getty Images

 パリで100年ぶりに実現した今年の夏季五輪。選手たちの酷暑など環境や健康への負担も不安視された大会では、グラウンド外の事柄にフォーカスした話題が多く噴出。その中で、小さくないトピックであり続けたのは、選手村の内情だった。

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 食事や利便性などありとあらゆる話題が論じられた中で、開村前から不満が集中したのは、選手たちが利用する室内環境だ。「史上最も環境にやさしい大会」を標榜したパリ市と組織委員会は、各室の冷房システムに地下水による床下冷房を採用。さらに寝具には、3年前の東京五輪で実用化されたエアウィーヴ社の「段ボールベッド」を導入するなど、さまざまな工夫を凝らした。

 しかし、何よりも「快適な環境」を求めるアスリートからは不平不満が噴出。東京五輪から採用されていた段ボールベッドに対しても、厳しい意見が集まった。

 大会後も選手たちから問題があったとする意見は相次いでいる。米日刊紙『The Arizona Republic』は、「段ボールベッドはやはり賛否両論があった」と指摘。「選手村にマットレスみたいなのがあるから、それを買った人もいた。私はわざわざ部屋まで持って帰るのは面倒だから我慢していたけど、硬いから寝心地は悪くて、本当にひどかった」と批判するドミニカの女子競泳代表だった18歳のジャスミン・スコフィールドのコメントを紹介した。

 もっとも、否定的な意見ばかりではない。ジャマイカの男子競泳代表のジョシュ・カーリューは「ベッドはベッドだ」と苦笑。「別の大会で、僕は床に寝たことがあったから僕は別に文句は言えない」と語っている。

 ただ、同紙は、エアコンの実費負担を求め、選手たちの負担を大きくさせた組織委員会の判断を問題視。「パリ・オリンピックの関係者たちは、大会のテーマである『環境に優しい』という取り組みに従うため、施設内にエアコンを設置しない計画を当初から明らかにしていた。だがマットレスが硬いことに加え、選手たちは選手村にエアコンがないことは明らかな失望を表明している」と糾弾している。

 大会後は1万4250個の段ボールベッドはリサイクルされ、選手村は今月28日から始まるパラリンピックのため再利用される予定となっている。

 パラリンピアンたちが何の負担もなく過ごすためには、オリンピックで浮上した課題を改良することが求められそうだが、果たしてどうなるか。パリ五輪を計画してきた関係者の真価が問われている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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