再度、銅メダル獲得が決まったルーマニアのバルボス。(C)Getty Images 銅メダルを改めて手にした17歳は、複雑な心境を隠そうとはしなかった。現地時間8月16日、採点を巡る騒動の末、大会後にパリ五輪の種目別ゆかの3位が再確定…

再度、銅メダル獲得が決まったルーマニアのバルボス。(C)Getty Images

 銅メダルを改めて手にした17歳は、複雑な心境を隠そうとはしなかった。現地時間8月16日、採点を巡る騒動の末、大会後にパリ五輪の種目別ゆかの3位が再確定し、銅メダルを授与された体操女子ルーマニア代表のアナ・バルボスだ。

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 まさに異例の展開である。去る8月7日に行われた体操女子種目別ゆかでジョーダン・チャイルズ(米国)の最終試技が終わり、バルボスの3位が確定した直後、米国側が採点の見直しを要求。これによって、チャイルズの得点は13.666点から13.766点に変更され、5位から3位に浮上。13.700点を出していたバルボスは4位に転落した。

 ルーマニアのマルチェル・チョラク首相が言及する事態となり、激怒した同国の体操連盟はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てを実行。これを受けて再度調査したCASが米国側の抗議が規定の時間を4秒だけ過ぎたタイミングで実施されたために無効とする裁定を下すと、国際体操連盟(FIG)もチャイルズの銅メダル獲得を取り消し。バルボスに授与することを決めた。

 首都ブカレストで16日に行われたセレモニーに出席したバルボスは、地元ニュース局『Digi24』などの取材で「とてもうれしいし、感謝している」と銅メダル獲得を素直に喜んだ。一方で波紋を呼ぶ形での決着に「今回のような問題がオリンピックのような高いレベルでも起きている」と指摘。チャイルズと同じく採点に異議を唱えていたサブリナ・マネカ=ボイネア(ルーマニア)の感情を慮った。

「私は二人(チャイルズとマネカ=ボイネア)のことを考えずにはいられない。色んな不確実性と重い感情があり、私たちにとっては難しい状況だった。オリンピックで私たちが何も間違ったことをしていないことを皆さんに理解していただければと思う」

 一方で銅メダルを失ったチャイルズも自身のInstagramで声明を発表。「私はオリンピックのパフォーマンスを祝っている最中に、『銅メダルが剥奪された』という知らせを聞いた。私は(アメリカ)体操連盟を信頼し、決定的な証拠も提出していたけど、訴えは失敗に終わってしまった」と悲痛な想いを綴っている。

「今は言葉がない。この決定は不当であり、私だけでなく、私の歩みを支えてくれたすべての人にとって大きなショックになる。さらに心が痛いのは、ソーシャルメディア上で人種差別的な攻撃が続いていること。明らかに間違っていて、とても傷ついています。私はこのスポーツに全身全霊を注いできたし、自分の文化と国を代表できることを誇りに思っている」

 いまだ疑念が渦巻いている採点の行方。訴えを受け入れてもらえなかった米国体操連盟は、引き続きチャイルズのメダル獲得を模索し、スイス連邦裁に上訴する可能性も示している。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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