W杯開催を心待ちにしていたという、森本裕介 SASUKE史上初の世界大会「SASUKEワールドカップ2024」が8月 2…

W杯開催を心待ちにしていたという、森本裕介
SASUKE史上初の世界大会「SASUKEワールドカップ2024」が8月 21日(水)TBS系列で放送される。
アメリカ、ドイツ、フランス、オーストラリア、そして日本。各国の完全制覇者をはじめ名だたる戦士たち、総勢35名が聖地・緑山に集結。5人1組・7チームによる団体戦で、SASUKEの頂点を求めてしのぎを削ることになる。
そこで今回、チームJAPAN Redのキャプテンを務めた森本裕介にインタビュー。
森本はSASUKE史上4人目の完全制覇者にして、史上ふたり目となる2度の完全制覇者。「サスケくん」と呼ばれ、現在のSASUKEを代表する選手だ。海外での世界大会には7度出場し、2014年のマレーシアで開催された『SASUKE ASEAN OPEN CUP 2014』では団体・個人ともに第2位。今回、日本でのワールドカップの開催は長年待ち望んだ機会であり、世界一の称号を得ることは森本にとって最大の悲願となる。
SASUKEワールドカップ2024へかける意気込み、世界一を獲得するため必要なことを聞いた。
【「絶対世界1位を獲る」】
――「SASUKEワールドカップ2024」の開催を聞いた時の心境を教えていただけますか。
森本 10年ほど前から、日本で世界大会を開催する構想があることをスタッフの方から聞いていました。ずっとそれに出たいという気持ちでいたので非常にうれしかったです。僕は過去にアメリカなどで開催された世界大会に7度ほど出場しているのですが、優勝したことは団体・個人ともに一度もないんです。僕のSASUKEのキャリアにおいて「世界一」のタイトルは唯一手に入れていないもの。この機会になんとしても出場し、絶対世界1位を獲るぞという気持ちでした。
――今回はSASUKE史上初の団体戦。各国5人1組となり、5カ国7チームが競い合います。森本さんはチームJAPAN Redのキャプテン。山本良幸さん、多田竜也さん、山本桂太朗さん、大嶋あやのさんらを率います。
森本 男性陣はそれぞれサードステージ、ファイナルステージへの進出を果たした実績があり、大嶋さんは日本人女性で24年ぶりにファーストステージをクリアするなど、全員が現在のSASUKEでの実力者たち。しかも全員30代前半と同世代で、意見を言い合える関係で非常にやりやすかったです。
――大会に先駆け、どんな準備をされましたか。
森本 メンバーたちと合同練習を重ねて、細かく情報共有したり、あるいは作戦を練ったり。密にコミュニケーションを取って、チーム作りに励んできました。
――世界大会への出場経験豊富な森本さんだからできるアドバイスも多かったのでは?
森本 そうですね。世界戦への心構えとか、たとえミスをしても平常心を失っちゃいけないとか。海外で戦ってきて重要だと思ったことは事細かに伝えていきました。
――そもそも日本代表のプレッシャーもありますよね。
森本 はい。何より今回はSASUKE発祥の国・日本で開催されるわけですから負けるわけにはいかない。しかも団体戦なので個人でミスしたら全体に迷惑をかけてしまう。プレッシャーは仕方ないです。でも決して暗い雰囲気にはならないよう、練習中から全員でポジティブな言葉をかけあうようにしていました。おかげで、本番でミスをした際もチーム全体で落ち込むことはなかったように思いますね。
――練習はどんな感じで?
森本 メンバーの練習や動画を見て、お互い気づいたところをアドバイスしたり、エリアの攻略について意見交換したり。家族がいるメンバーもいるんですが、みんな時間を設けて参加してくれました。本番で考えることを極力減らし、事前にできることをすべてやっておくことが大事なので、十分な準備ができたかなと思います。
――本番でも指示を?
森本 参加する順番など作戦を指示したり、あと僕自身、各選手の性格や特徴をなんとなくわかっているので、それに応じてアドバイスしました。たとえば山本良幸くんは、ポテンシャルは高いんですけどほかの選手のパフォーマンスにつられて、自分のペースを崩してしまう傾向がある。そこは少し不安があったので声をかけたりしました。
特に今回は、クリアのタイムも考慮されるんですが、無理せず確実にポイントを稼いでほしいという指示を出すなどしました。とはいえ言いすぎると疲れてしまうので、アドバイスは必要なことだけ。勝ち進むために、いかに省エネというかうまく持っていくかを考慮しました。
【海外でも盛り上がるSASUKE】
――かなり緻密に考えられていたわけですね。一方、各国選手のラインナップはいかがでしたか。
森本 メンバー表を見た時、これは相当苦しい戦いになる、勝ち進んでいくのは厳しいだろうと思いましたね。ドイツのレネ・キャスリー選手は現地大会でも完全制覇を遂げているうえ、2019年に日本のSASUKEに初出場ながらもファイナルへ進出。ライバルとして注目していました。またアメリカはNINJA WARRIOR(現地制作版SASUKE)の歴史が長く、完全制覇を果たしたダニエル・ギル選手、女性で唯一SASUKEのサードステージに進んだジェシー・グラフ選手など名うての選手ばかり。そのほかの国の選手も実力者が揃い、一瞬たりとも気が抜けないです。
――海外選手をご覧になって気がつかれたことはありますか。
森本 それぞれが思い切りのいいプレーをするという印象がありますね。怖いもの知らずというか。ものすごいタイムを狙って、実際に出したりしますし。日本の選手のほうが慎重です。そのあたりのスタイルも見ていると面白いですよね。
――先ほど世界大会に7度出場されたとお話されましたが、森本さん自身、日本のSASUKEが海外に人気があると実感したのはいつ頃ですか。
森本 やはり海外に行き始めた当初、2014年ですね。アメリカ・ラスベガスに行ったんですが、大勢の方が僕を知っていて声をかけてくるんです。驚きと同時に、SASUKEが見られているんだと実感しました。街中どこへいっても熱気がすごくて、まるでオリンピックのような雰囲気。テレビ番組の収録とはまるで思えなかったです(笑)。ほかにマレーシア、ドイツ、フランスにも行きましたが、やはり同じ印象を受けましたね。
―― 一方でNINJA WARRIORとSASUKEの違いは?
森本 4つのステージがあることは同じなんですが、何より障害物が違いますし、規格も外国人サイズでとにかく大きい。僕らがジャンプしても届かないこともありました(笑)。僕ら日本のプレーヤーにとってはすべてが新エリアなわけで、それを一発勝負でやるのは難しいですね。逆に日本開催であれば、海外選手にとって不慣れなセットでの勝負。僕らにとって大きなアドバンテージになります。
――森本さんからご覧になって、海外の選手は日本のどのエリアで苦しむと思われますか。
森本 クリフディメンション、バーティカルリミットなどはかなりキツく感じるんじゃないでしょうか。日本と海外では突起の厚さが違うので、そこでは海外選手はひるむかもしれません。また動くエリアは海外にないので、フィッシュボーンなども厳しいのでは。いろいろと見てきましたが、日本のサードステージの、特に後半部分は世界でトップクラスの難しさだと思いますよ。
チームJAPAN Redのキャプテンを務めた森本
――それらを海外勢がいかに挑戦してくるか、楽しみです。さて今回のワールドカップを通じ、SASUKEの新たな発見はありましたか。
森本 やはり団体戦の楽しさですね。もちろん通常のSASUKEのように自分が難易度の高い障害物をクリアする楽しさはあるわけですけど、今回はそれだけでなく、メンバーがクリアした時の喜びがある。それがすごく新鮮で、本当に感動しました。いつも以上にプレッシャーもありましたが、機会があればまた出場したいですね。
――最後にSASUKEワールドカップ2024の見どころを教えてください。
森本 何より世界のトッププレーヤーが集まった大会です。どの国が1位になっても決しておかしくない。最後まで見逃せない場面の連続ですので、じっくり見ていただきたいですね。
【Profile】
森本裕介(もりもと・ゆうすけ)
1991年12月21日生まれ、高知県出身。身長164 ㎝、体重64㎏。15歳でSASUKE初出場。2015年開催の第31回大会で史上4人目の完全制覇を達成。16年より制御機器メーカーIDEC株式会社にソフトウェアエンジニアとして勤務。20年の第38回大会で史上ふたり目の2度目の完全制覇。栄光のゼッケン100を背負う。現在日本最高峰、最強のSASUKEプレーヤー。