森の果敢な挑戦は感動を呼んだ(C)Getty Images パリ五輪終盤を盛り上げたスポーツクライミングが尚、話題を集めている。 焦点となっているのはスポーツクライミング複合女子の決勝で、森秋彩(もり・あい)が第1課題最初のホールドが高すぎ…

森の果敢な挑戦は感動を呼んだ(C)Getty Images

 パリ五輪終盤を盛り上げたスポーツクライミングが尚、話題を集めている。

 焦点となっているのはスポーツクライミング複合女子の決勝で、森秋彩(もり・あい)が第1課題最初のホールドが高すぎて届かず0点に終わったこと。

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 154センチの森は第1課題で何度も助走をつけて、壁を駆け上ったがホールドに届かず落下を繰り返した。結局制限時間中にのぼることができず0点だった。

 ボルダーで7位となったものの、リードで他選手を圧倒。96・1点と伸ばしたが、惜しくもメダルに届かず4位だった。

 日本のネット上では「これで森秋彩がメダルもらえないの理不尽すぎて納得できない」「競技ボルダーとリードで分けて」「出た、森イジメ」「途中で泣きそうになった」など非難の声が殺到。

 さらに競技を見守った海外ファンの間からもX上で主催者やルートセッターに対して猛クレームを付けるなど、大荒れとなった。

 この森のホールド設定問題に関して日本人女性初のプロクライマーで、スポーツクライミングの解説を務める尾川とも子氏が見解を示している。

 尾川氏は早大在学時からクライミングを始め、競技歴3年でアジアのトップクライマーとなり、2008年に日本人女性初となる難度V12を達成。12年に世界で女性初となるV14を達成し、「ゴールデン・ピトン賞」を日本人女性で初受賞したレジェンドクライマーとして知られる。

 スポーツクライミング解説・指導者歴24年という尾川氏は自身のXで五輪後に、スポーツクライミングに関しての情報発信を積極的に続けている。

 今回のルート設定に関して議論を呼んでいることに自身のXで、「低身長選手がスタートできない課題は何度かあり今回初でない」という点、「特定の国や選手を落とすためのイジメ・差別課題でない」と伝えている。

 またフォロワーからの「森イジメは?」との直接的な問いに「もし森を落下させるなら、ランキングが低く不得意のボルダーではなく、ランキングが高く得意なリードで森を落下させる動きをセッティングするだろう」としている。しかし、そのリードで森は完登に近い圧巻のパフォーマンスを示したことで「イジメはありません!」と見解を示した。

 その上で今後に向けての"課題"にも言及している。

 尾川氏は「スタート自体が取れない課題は20年位以上前からある」とした上で、「興行には今後改善すべき問題」と今後に向けては、誰にでも分かりやすいルール改定も視野に入れることは必要とした。

 今回のパリ五輪ではスポーツクライミングの男子ボルダー&リードで17歳の安楽宙斗が銀メダルを獲得、森も4位と健闘、前回の東京五輪から採用された同競技に大きく注目が集まった。

 メダルには手が届かなかったが、森の果敢な挑戦にはSNS上でも「感動した」「自分もやってみたくなった」など競技への関心も高まったとされる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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