豪州の伝統と文化を組み込んだ独創的なダンスを披露したガン。(C)Getty Images 今回のパリ五輪では、各国のトッ…
豪州の伝統と文化を組み込んだ独創的なダンスを披露したガン。(C)Getty Images
今回のパリ五輪では、各国のトップアスリートたちによる激闘が熱狂を生んだ一方で、多くの選手がSNSによる批判に苦心。日本でも心無い投稿が問題視されるなど誹謗中傷は色濃くなった。
新競技「ブレイキン」においても批判の域を越えた投稿が物議を醸す事態となっている。“渦中の身”となったのは、豪州代表のレイチェル・ガン（ダンサー名・Raygun）だ。
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いわゆる「新時代のスポーツ」として大きな話題を生んだブレイキンにおいて、彼女のパフォーマンスは異彩を放った。「技術性」「多様性」「完成度」「独創性」「音楽性」と5つの要素から採点される同競技での成績は最下位となったが、「芸術的で、創造的でありたい」という想いを込めたダンスはまさに独創的。文化学の博士号を持つバックボーンを活かし、よりアーティスティックな動きで会場を沸かせた。
日本のファンの間では“クロネコヤマトの人”と衣装も注目されたガン。しかし、ただ最下位だったことも影響してか、SNS上では「酔っ払いのようだ」「オリンピックに出るべきじゃなかった」と厳しい批判が噴出。中には人格をも否定する投稿も目立った。
異様な事態を受け、豪州国内ではガンの挑戦を擁護する声が相次いだ。同国の伝説的ダンサーであるサムソン・スミスは、人気討論番組『The Project』で「誰もが、金メダルを手にした日本の選手や他に良いパフォーマンスを見せた選手たちについて語っていないからとても残念だ」と指摘。その上でガンについても「切り取られた部分しか見ていない人が多い」と論じ、批判的な意見を一蹴している。
「みんな彼女のゆっくりとした動きの部分だけをSNSで見て判断している。あれは彼女の個性なのに、何も知れない一般の人々は笑いものにしているだけ。今の流れは明らかにクレイジーだ。レイガンは創造性を発揮するために出てきたのに」
一世一代の檜舞台で披露した渾身のダンスが誹謗中傷の的となり、不必要な論争を生む。その状況に本人の胸中が複雑なのは想像に難くない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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