夏競馬も後半戦。今年は夏の小倉開催が短縮され、今週から中京競馬場での8週連続開催となる。その開幕週に行なわれる重賞は、GIII小倉記念(8月11日/中京・芝2000m)だ。 気になるのは、目下の酷暑の影響だ。現に、デイリー馬三郎の吉田順一…

 夏競馬も後半戦。今年は夏の小倉開催が短縮され、今週から中京競馬場での8週連続開催となる。その開幕週に行なわれる重賞は、GIII小倉記念(8月11日/中京・芝2000m)だ。

 気になるのは、目下の酷暑の影響だ。現に、デイリー馬三郎の吉田順一記者は「激暑による高気温のニュースが連日飛び交っていますが、中京競馬場のある名古屋は全国の高温トップテンにランクインすることがしばしばあります。この時期の小倉と比較すると、やはり気温は高く、暑さがポイントになりそう」と語る。

 吉田記者が続ける。

「今週も好天続きで、週末の予想最高気温は35度。人馬ともに熱中症などの対策は必須です。とりわけ騎手は、土曜日から乗り続けて日曜日には消耗度も激しい見立て。年齢や乗り鞍(数やレース間隔)などもチェックする必要がありそうです。

 また、この時期に中京開催が行なわれることは記憶にないですが、夏場らしくオール野芝での開催になります。第1回中京競馬(3月)終了後、内ラチを中心に約1万5000平方メートルの芝の張り替えが行なわれました。クッション性確保のため、エアレーションおよびシャダリング作業も実施したとのこと。

 JRAのホームページの写真を見る限り、芝のコンディションは絶好。路盤は硬くなってクッション値も上がり、時計の速い決着が濃厚です。前と内が強いことは疑いようがないでしょう。

 ひとつ懸念があるとすれば、高気温により散水での効果が得られない場合、芝がへたって芝の塊が飛ぶ量が増えること。以前、小倉で雨が約ひと月以上降らず、芝の凹凸が目立ったことがありました。この辺りは開幕週からパトロールビデオを見て、しっかりと馬場のチェックをしたいところです」

 もともと荒れる傾向が強い、夏のハンデ重賞。今年は過去データにもない中京が舞台となるうえ、酷暑と野芝での馬場を考慮すると、予想の難解さはさらに増しそうだ。そうしたなかで、どんなタイプが狙い目となるのか。吉田記者はこんな見解を示す。

「ハンデは、最軽量が52㎏のグランスラムアスク(牝5歳)で、最重量が58.5㎏のディープモンスター(牡6歳)。上下差が6.5kgあって、今年もひと筋縄ではいかない一戦と言えそうです。

 それでも、先に触れた馬場傾向を踏まえれば、穴として狙い目になるのは、やはり逃げ&先行馬。勢いある3歳馬のシリウスコルト(牡3歳)が初の重賞制覇へ積極的な競馬を見せて、トップハンデのディープモンスターが早めに動く展開が予想されますが、コーナーがタイトなコース形態ゆえ、どうしても動き出しが残り500mを割ってしまうことが多々あります。これら2頭が早めに仕掛けたとしても、それよりも前で運ぶ馬が優勢と見ます」

 そこで、吉田記者は先行力があって、人気の盲点となりそうな2頭を穴馬候補としてピックアップした。1頭目は、グランスラムアスクだ。

「前走のオープン特別・関越S(5着。7月27日/新潟・芝1800m)で、早め早めの立ち回りでしぶとく踏ん張った点を評価。時計の速い決着に対応できるディープインパクト産駒で、前走の競馬が再びできれば、馬場のアドバンテージを生かせると見ています。


小倉記念での一発が期待されるグランスラムアスク

 photo by Sankei Visual

 スローの上がり勝負ではどうしてもキレ負けしてしまいますが、適度に上がりがかかれば、全体時計が速くなるのは問題ありません。徹底先行型のテーオーシリウス(牡6歳)がいるメンバー構成は理想的。自らが引っ張る形でもいいですが、平均よりタイトな流れを2番手で追走する形でいければ、前走以上に踏ん張りが利くのではないでしょうか。

 今週の追い切りは遅れましたが、馬なりで我慢させることに終始した調整。引き続き気配は良好で、状態は変わりなく順調ですから、楽しみです」

 鞍上は、今年も好調な永島まなみ騎手。6月のマーメイドSで重賞初勝利を決めて、一段と勢いに乗っているだけに、一発への期待はますます膨らむ。

 吉田記者が推奨するもう1頭は、先述したテーオーシリウスだ。

「昨年の小倉記念で2着と好走しましたが、以降はふた桁着順が続いて、同馬の株価はすっかり大暴落。ただし、昨年もGIII函館記念(函館・芝2000m)16着からハンデ55kgで参戦して好配当を演出しました。今年はさらに1㎏軽いハンデ54kgでの出走となり、同型不在。マークが甘くなる人気薄の逃げ馬狙いが、穴馬券を獲る必勝法です。

 前が残りやすい中京のコース形態を踏まえれば、ここは絶好の狙い目。久々を叩かれて、意欲的な調整ができている点も強調材料です」

 灼熱の中京で開催される小倉記念。人気馬を尻目に人気薄の先行勢がスイスイと駆け抜けていくのか、注目である。