【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返るアイビスサマーダッシュ 【Pick Up】モズメイメイ:1着  レース創設以来、初めてサンデーサイレンス系が優勝しました。父系はリアルインパクト→ディープインパ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るアイビスサマーダッシュ

【Pick Up】モズメイメイ:1着

 レース創設以来、初めてサンデーサイレンス系が優勝しました。父系はリアルインパクト→ディープインパクト→サンデーサイレンスとさかのぼります。

 父リアルインパクトは安田記念とジョージライダーS(豪G1・芝1500m)を制覇したほか、芝1400mの阪神Cを連覇。母方に流れるアメリカ血統の影響でダート適性が高く、ディープインパクト産駒にしては硬質なスピードを伝えます。アイビスSDはダートを得意とする種牡馬が意外に活躍しているレースで、これまでにバトルプラン、ヨハネスブルグ、メイショウボーラー、アフリート、スウェプトオーヴァーボード、サウスヴィグラスといった種牡馬の仔が連対を果たしています。

 リアルインパクトはそれに近い特徴を秘めており、なおかつ、母の父フランケル、2代母の父エンパイアメーカーとも、気性的な難しさとスピードの持続力を備えているので、新潟直線芝1000mに高い適性を示しました。前走、北九州記念で16番人気ながら3着。復調の兆しが見えていたことも見逃せません。

 ちなみに、リアルインパクト産駒の重賞勝ち馬は、本馬とラウダシオン(NHKマイルC、京王杯スプリングC)の2頭。いずれも母方にアンブライドルドを持つという共通点があります。リアルインパクトはそれとニックスの関係にあるインリアリティを抱えているので、この関係が配合的な核心部分でしょう。

◆血統で振り返るクイーンS

【Pick Up】コガネノソラ:1着

「ゴールドシップ×ロージズインメイ」は父の代表的なニックス。オークス馬ユーバーレーベンをはじめ、ウインピクシス(クイーンS-2着)、マイネルラウレア(京都新聞杯-5着)、マイネルモーント(OP)など、出走24頭中15頭が勝ち上がり(勝ち上がり率62.5%)、連対率20.8%、1走あたりの賞金額245万円という好成績を挙げています。ゴールドシップ産駒全体の成績を見ると、勝ち上がり率34.9%、連対率14.3%、1走あたり139万円なので、これらを大きく上回ります。

 母マイネヒメルはウインマリリン(香港ヴァーズ、オールカマー、日経賞、フローラS)の半姉にあたる良血で、現役時代に挙げた4勝のうち3勝を函館で挙げるという洋芝巧者でした。

 前走のオークスは12着と敗れましたが、今回は51kgという軽量、全3勝を挙げている1800m戦、なおかつ洋芝。さまざまな条件が好転していました。