NBAへ!チアリーダー最高峰への挑戦 高橋南保子  MLBをはじめ、NBAプレーヤー、ヨーロッパサッカーなど今や数多くの日本人アスリートが北米、欧州に挑戦し、世界に存在感をあらわにしている。本場、米プロバスケットボールNBAダンサーとして活…

NBAへ!チアリーダー最高峰への挑戦 高橋南保子

 MLBをはじめ、NBAプレーヤー、ヨーロッパサッカーなど今や数多くの日本人アスリートが北米、欧州に挑戦し、世界に存在感をあらわにしている。本場、米プロバスケットボールNBAダンサーとして活躍することを目指し奮闘する一人の「アスリート」にスポーツブルはフォーカスした。
 高橋南保子さん(25)は母校(玉川学園)の体育教師を本業とし、その傍らチアリーダーという一面を兼ね備えている。社会人になってからは、Bリーグのチアリーダーとして2年間、さらに2023年代々木第二体育館で開催された大学バスケ世界王者決定戦(WUBS)でのパフォーマンスチーム「A BETTER FUTURE TOGETHER Dance Crew」のメンバーとしても活動した。高橋さんのみならず、日本国内で活躍するチアリーダーも、そして目指す先本場NBAダンサーも本業を両立するデュアルキャリアの持ち主だ。チアリーダーとの出会いからチアリーダーのトップを目指すまでに至った日本人アスリート高橋南保子に迫る。

チアとの出会い

──チアとの出会いを教えてください。

「幼い頃から曲に合わせて踊ることが大好きで、初めてダンスを習ったのは小学2年生でした。
母校の体育祭では、生徒全員が曲に合わせて ポンポンや旗などの手具を使って演技披露をするマスゲームというものがあり、毎年どの行事よりも張り切って取り組んでいました。
そんな私が小学生の頃、ダンスがずば抜けて上手だったある先輩に強い憧れを抱くようになりました。
この先輩との出会いが、私のダンス人生を大きく変えることになります。」

高橋さんはその後、母校の文化祭でチアダンス部の演技発表を見に行った時、メンバーとしてパフォーマンスする先輩の姿を見て高校からチアを始めようと自分との約束を交わした。

──高校でのチアについて教えてください。

「チアダンスは、今までやったことがない未知の動きばかりだったので、憧れの先輩方のように上手くなれるか不安でしたが、コーチや先輩にたくさんのことを教わりながら厳しい練習も乗り越え、地道に努力をして少しずつ上達することができました。
更に、初めて上下関係のある大人数の部活に所属したことで、 人間関係を構築したりチーム競技に取り組む上で大切なことを学び、チアの沢山の魅力を知ることができました。
何より、チアを始める前は自分に自信がなくてネガティブで人に意見を言うこともできなかった私が、『自分のできることをチームに最大限貢献したい』という想いで積極的に発信できるようになったことは、いちばん大きく成長できた部分なのではないかと思います。

──部活動でのチアが今の自分に与えてくれたことはなんですか。

「高校時代の経験を通して実施面だけでなく気持ちの面でも成長することができたお陰で、チアだけでなく学校や日常生活でも人と楽しくコミュニケーションが取れるようになり、今こうして明るくポジティブな人生を送ることができているのだと日々実感しています。
チアに出会うことができて良かった!と思うと同時に、小学生の頃から憧れている先輩の存在がなければ今の私は存在しないので、先輩に出会うことができて本当に良かった。と心から感謝の気持ちでいっぱいです!!」

学生時代の葛藤と困難

高橋さんは高校を卒業し、大学入学後憧れだったソングリーディング部に入部することとなる。

──チアを辞めたくなったことはありますか?

「強豪チーム出身者や、多くのダンス経験を持つメンバーが全国から集まり、入部当初からレベルの高い先輩と同期に囲まれ、とにかく必死に食らいつきながら練習に励んでいました。
その中で 自分の実力や努力不足でチームのレベルについて行くことができなかったり、大会で大失敗をしたこと、原因の分からない症状で自分の思うように体を動かすことができなくなり、何度も心が折れかけました。
チームや演技に対する気持ちが強いからこそ、同期や学年を超えた仲間同士で衝突し合い、中々解決できず『この状況を投げ出したい』と思うこともたくさんありましたね。」

──続けられた原動力はなんでしょうか。

「絶対に私を見捨てずに寄り添ってくれた 恩師やチームメイト、家族、友人の存在に助けられていました。
様々な困難にぶつかり自分を見失っている時こそ、周りの人の言葉によって『なぜ自分はこの環境にいるのか、何の為に頑張っているのか』と初心に振り返ることができました。

こうして一つ一つの困難を乗り越えられた時、そしてチームで大きな目標を成し遂げられた時、何倍にもなって大きな喜びを感じることができるので、「あの時頑張って良かった」「どんな困難が待っていても、みんなで助け合って次も頑張ろう」と進み続けることができました。」


高橋さんは、最高のチームと演技を作り上げ 世界大会で結果を残し、チアを始めるきっかけとなった先輩と一緒に世界大会の舞台に立てたこと、何より一生自慢できる仲間に出会えたことがいちばんの財産だと誇らしげに語る。
困難に直面している時に気付くことは中々難しいことであるが、今となっては間違いなく必要な経験だったと確信している。そして、自分が夢に向かって全力で進んでいる過程で、無駄なことは一つもないのだと学ぶことができたそうだ。

デュアルキャリア

日本の社会人アスリートの多くは、本業(会社員や公務員、自営業、飲食など)を持ちながらアスリートとして活躍している。しかし単なる両立ではなく本業で得たことを競技や競技の普及に役立て、競技で得たことを仕事のスタンスに役立てる。これこそが「デュアルキャリア」であり、高橋さんもその一人である。

──本業の体育教師になったきっかけはなんですか。

「実は、大学の部活を引退したらチアから離れて、就職せずに 某有名ミュージカル劇団への挑戦に専念すると決めていました。
一度オーディションに挑戦しましたが、結果は一次審査不合格。「もっと自分らしく表現できる方法が他にある」と感じ、更に自分自身と向き合ったことでチアへの復帰を決意しました。
それまで就職については一切考えていなかったのですが、大学で教員免許を取得できる授業を選択しており、4年生になって母校で教育実習をした時に 教員という仕事の魅力を知ることができたのが、大きなきっかけとなりました。」

──チアリーダーの自分を教育現場で活かせられたことについて教えてください。

「初めの頃は生徒の前に立つことに緊張して 失敗してばかりだったので、生徒に鼻で笑われることもあり、更に緊張して失敗して…の繰り返しでした。
それでも、今までチアで培った元気の良さや 毎授業の課題を改善できるよう努力したり、ありのままの私でコミュニケーションを取り続けた結果、鼻で笑われていたことも 笑い話にできるくらい、生徒とは色々なことを話せる関係性になりました。
指導をする時に 先生=上から目線 になると心の距離が生まれてしまうので生徒に寄り添い、自分らしく指導を行うことが大切だということを実感し、これは競技チアダンスと通ずるものがあると感じました。

更に、お世話になっていたチアダンス部で指導する機会をいただくことができ、今まで私がチアを通して学んだことを還元したい という想いで指導を続けた結果、沢山の貴重な経験をさせていただき、部員との信頼関係を築くことができました。
私が授業で困っている時には、部員が手伝ってくれたり どの生徒よりもリアクションしてくれたり、数え切れないほど多くの場面で助けて貰えたことが とても嬉しかったです。」

高橋さんのように、働きながらチアリーダーとして活動するのは決して簡単なことではないが、多くの生徒が応援により、退職した今でも「先生が夢に向かって頑張っているから私も頑張る」と言ってくれる生徒の存在に常に支えられている。
今までチアで培ったこと全てが、指導や教員生活をより充実させてくれているのだと強く実感していると語った。

NBAへの挑戦のきっかけ

「社会人になってから Bリーグの専属チアリーダーとして2年間活動したのが、NBAを目指す大きなきっかけとなりました。

チアリーダーである私たちのいちばんの目的は、パフォーマンスや活動によってチーム、試合やイベントを盛り上げ、ファンの方々を巻き込んでチームの勝利に貢献することです。
恵まれた環境の中で活動させていただいたお陰で、一生忘れられないたくさんの最高の経験をさせていただきました。
その中でも、チアリーダーとしてパフォーマンスや応援をしている時、客席のファンの方々とアイコンタクトや掛け声をして 会場が一体になるのを体感できた時、大きなやりがいを感じることができました。
さらに、ファンの方や日頃支えて下さる人に「ダンスやパフォーマンスに元気を貰った」と言って貰えた時、私がずっと目標にしてきた『自分がダンスに取り組む姿で 見ている人の心を動かせるようになりたい』という想いが この活動で体現できたと実感することができたと同時に、『自分のやりたいことはこれだ』と気付くことができました。」

高橋さんは、憧れ続けてきたNBAチームWarriors Dance Teamのメンバーとなり、ダンサーや人としても成長し、今まで以上に多くの人の心を動かせる人になりたいという強い想いでこの挑戦を決意。
そして、彼女が夢を叶えることで 今まで支えとなった恩師、チームメイト、家族、友人に恩返しがしたい、母校で関わった生徒や チアリーダーに、夢に向かって挑戦する勇気を届ける。

世界を目指すアスリートに向けて

高橋さんは「ダンスが大好き」という気持ちと「自分らしく思い切り表現できるチアで 成長したい」という思いでひたすら走り続けてきた。チアを始めた頃は、世界を目指すなどという 大きな目標は 1ミリも考えていなかった高橋さん。
しかし過去を振り返ると、大好きなチアで、自分自身がいる環境で目の前のことに 全力で取り組んできたから、常に大きな目標を持ち続けることができた のだと感じたそうだ。
色々なリスクを考えたり、自分が何をやりたいのか見失ったり、色々なことを犠牲にする必要があるかもしれない。やらないで後悔 するよりも、やって後悔 した方が必ず自分の成長に繋がると信じ「直感」を信じたと言う。

──高橋さんと同じく、世界を目指すアスリートがたくさんいます。伝えたいことはありますか。

「これから大きな夢を抱き、世界に羽ばたく皆さん!
やりたいことや夢を抱くきっかけは人それぞれですが、勇気を持って一歩踏み出してみてください。新しい自分を発見できたり、今以上に充実した未来が待っているはずです!

そして今世界を目指して突き進んでいる皆さん!
大きな夢に向かって挑戦しているのは、とても素晴らしいことだと思います。
せっかくの挑戦、自分が持つ力全てを発揮して、あなたの価値を世界に見せつけましょう!そして成功も失敗も何もかも楽しみましょう!!
人生一度しかないので、明日死んでも後悔しないように(私が普段モットーにしていることです)、今を全力で生きましょう!

これって中々難しいことなので、私も日々完結出来るようもっと頑張ります!

とにかく皆さん、一緒に頑張りましょう!!
そして皆さんが頑張るきっかけを届けられるよう、私自身もこの挑戦を楽しみながら頑張ります!」

プロフィール

高橋南保子(25)1998年12月8日
出身地:東京都
出身校:玉川学園高等部/日本女子体育大学(舞踊学専攻)