五輪本戦でポーランド、ブラジル、ケニアと対戦する日本。まずはグループ突破に期待したい(C)Getty Images  女子バレー日本代表のパリ五輪出場12名と、交代要員1名を加えた13名が7月1日に発表された。主将の古…

 

五輪本戦でポーランド、ブラジル、ケニアと対戦する日本。まずはグループ突破に期待したい(C)Getty Images

 

 女子バレー日本代表のパリ五輪出場12名と、交代要員1名を加えた13名が7月1日に発表された。主将の古賀紗理那や、ネーションズリーグでも活躍した石川真佑、林琴奈、岩崎こよみ、山田二千華といった面々が順当に選出された中、サプライズとも捉えられたのが12名の中にリベロが2名含まれていたことだ。

【動画】歴史を変えた大熱戦! 日本が世界1位のブラジルを撃破した瞬間

 

 ネーションズリーグではサーブレシーブを小島満菜美が、日本のサーブ時から始まる際にディグをメインで担うのが福留慧美、それぞれの役割によって2名を投入してきた。メンバー発表を行った眞鍋政義監督は、リベロ2名の選出に関して「スタッフと何度も何度も話し合った」と明かし、「日本女子の生命線はディフェンス」と強調した。攻撃陣が揃っているだけに、活かすためにはまずディフェンスを、という発想であり、ネーションズリーグでも常に2人のリベロが交代しながら出場してきたことからも、妥当な選択ではあると考えられるだろう。

 だが一方で、リベロが2名入れば、その分攻撃陣が1人削られるのも事実だ。アウトサイドヒッターは古賀、石川、林の他に井上愛里沙、和田由紀子が選ばれ、ミドルブロッカーも山田の他に宮部藍梨、荒木彩花が選ばれたが、万が一ケガ人が生じた場合や、不調で交代要員が求められる時、さらにはワンポイントブロッカーやピンチサーバーとしての要員が含まれてもいいのではないか、と考えるのが常だ。

 実際にメンバー発表のニュースが報じられると、ミドルブロッカーの渡邊彩や、ネーションズリーグではピンチサーバーとして出場し、東京五輪にも出場しているアウトサイドヒッターの黒後愛が落選したことを嘆く声も上がった。女子に先だって発表された男子バレー日本代表のパリ五輪出場12名と交代要員の1名を含む13名の中に選出されたリベロは山本智大のみ。フィリップ・ブラン監督も「世界ナンバーワンのリベロが2人いる中から1人を選出するのは、とても大変な選択だった」と苦渋の決断であったことを明かしている。どれほど力のあるリベロが2人いたとしても、12名の中では1名が選出されるのが必然ではないかと考えるのが多数であるだけに、リベロ2名の選出はある種のサプライズでもあった。

 さらに驚かされたのは、交代要員もリベロの山岸あかねが選出されたことだ。これまで試合出場の機会はほとんどなかったが、献身的にチームを支えた山岸は不可欠であり、眞鍋監督は「スタッフを含む全員が山岸しかいない、という結論に至った」と言う。東京五輪までと異なり、予選グループリーグが5試合から3試合と試合数自体が少なくなったことや、試合と試合の間隔が空くことや、直前までメンバー変更が可能であることも眞鍋監督は加えたが、やはりこの点でも男子はアウトサイドヒッターの富田将馬が選出されていることを考えれば、男女で大きく異なる。

 とはいえ、イタリアやセルビア、ブラジルのように大エースを擁するわけではない日本が勝機を見出すためには、拾って拾って相手のミスを誘う、と考えるのも女子バレーでは多く抱かれがちな発想でもある。一見すれば攻撃陣が減るのにリベロを3人も入れて大丈夫なのか、と不安を抱く選出も、眞鍋監督にとっては狙い通り。これこそが日本が勝つべき布陣と自信を持って選んだ13名なのだろう。さらに言えば、古賀や石川といった攻撃陣が安定しているからこそ、そこにリザーブを加えるよりもディフェンス面のスペシャリストを入れることでチーム力を上げると考えた末の決定とも考えることができそうだ。

 この選出が正解であったか、違う選択があったか。答えが出るのはパリ五輪本番だ。女子バレー日本代表の初戦はポーランド、次いでブラジル、ケニアと対戦する。どんな答えにつながるのか、注目して見守りたい。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

【関連記事】バレー女子日本はディフェンスが“生命線” パリ五輪メンバー12人を発表! 「黒後ちゃんいないね」黒後愛の落選惜しむ声も

【関連記事】「みなさんの応援が私たちの力に」石川真佑がファンに感謝! パリ五輪でもメダル獲得へ「ONE TEAM ONE DREAM」

【関連記事】「力の差がありすぎた」日本に打ちのめされた韓国 “黄金世代”が去ってからの凋落に嘆きの声「もはやライバルでもない」【女子バレー】