井上に対する苛立ちを爆発させたアフマダリエフ。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 井上尚弥(大橋)への“苛立ち”は隠し切れなかった。 現地時間7月2日、米専門メディア『…

井上に対する苛立ちを爆発させたアフマダリエフ。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 井上尚弥(大橋)への“苛立ち”は隠し切れなかった。

 現地時間7月2日、米専門メディア『Boxing Scene』のインタビューに応じた元スーパーバンタム級2団体統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)は、井上に対して「彼は年間最優秀ファイター賞を受賞したばかりで、パウンド・フォー・パウンドで『最高のファイター』だとも考えられている。それなのに、俺との対戦を避けているのか? 馬鹿げている」と意見した。

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 アフマダリエフが井上を“口撃”するのも無理はない。

 先月13日、ボクシング団体「WBA」は、世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上に対して、指名挑戦権を持つアフマダリエフと、「9月25日までに試合を行うように命じた」と正式発表。両陣営に公式文書が送られ、交渉期間は7月14日までと設定された。

 この急転直下で下された決定に井上陣営は困惑。というのも、来る9月に元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との対戦交渉を進めていたからである。

 急転直下で王座剥奪の可能性も浮上した。それでも現時点ではドヘニー戦を重視する意向だ。これについては本人も先月28日に実施された囲み取材で「まぁもうベルトにこだわりはないですからね。それで剝奪されるならそれでもいい」と説き、「別に剝奪されたという流れでも、こっちが返上したという流れでも、ぶっちゃけどっちでもいい。ここからの戦いというのは試合の価値と、自分がどういうパフォーマンスをするかにかかってくると思ってます」と漏らしていた。

 井上との試合は軽量級では異例と言われるファイトマネーも期待できるメガマッチだ。そんな絶好機を逃すわけにはいかないアフマダリエフは、苛立ちを隠そうとはしない。29歳のウズベキスタン人戦士は牙を向く。

「俺はすべてのファイターをリスペクトしている。だけど、この試合は5年ぐらい遅すぎる。イノウエのようなレベルの人間が、5年前にタイトルを失った“老人”と戦うのか。それは理にかなっていない。それがイノウエの偉大さを証明しているのなら、その程度のものだということだ」

 37歳となって最盛期を過ぎているドヘニー戦を先行させる絶対王者に厳しい言葉を並べるアフマダリエフは、「俺が無名だって言うのは理解できない。俺は史上最速(プロキャリア8戦目)で統一王者になったし、すべて国内の大手放送局で中継された」と強調。そして、こう続けている。

「スーパーバンタム級で満足はしている。でも、フェザー級まで上がって、イノウエを追い続けることはできる。今の優先順位? それは獲れるかぎりのタイトルを獲得して、常に最大級の挑戦を受けることだ。

 そういう意味で俺にとってイノウエは最大の挑戦になる。彼との試合こそ俺が求める試合だ。将来のことは誰にもわからないが、俺は誰とでも戦える。同じ体重でベストの選手が誰であろうと戦うためにここにいるんだ」

 井上への挑発的な言動に終始したアフマダリエフ。その内容からは自身の望む試合ができない現実への焦燥感も見て取れた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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