クライミングW杯ボルダー第3戦(オーストリア・インスブルック)の男子決勝が28日(日本時間29日)に行われ、天笠颯太が1位、楢崎明智が2位、安楽宙斗が3位に入り日本勢が表彰台を独占した。24歳の天笠はW杯初優勝を飾った。 ボルダー第3戦に…


 クライミングW杯ボルダー第3戦(オーストリア・インスブルック)の男子決勝が28日(日本時間29日)に行われ、天笠颯太が1位、楢崎明智が2位、安楽宙斗が3位に入り日本勢が表彰台を独占した。24歳の天笠はW杯初優勝を飾った。

 ボルダー第3戦には9人の日本人男子が出場。26日の予選は7人が通過し、パリ五輪代表の安楽、楢崎智亜は全5課題を完登して順当に準決勝進出を決めた。28日の準決勝は安楽が2位に2完登差をつける全4完登で首位。その他の選手が2完登以下に終わった中で強さが際立った。楢崎明智、通谷律、天笠も決勝に進み、この時点でファイナリスト6人のうち4人を占めた日本勢のメダル獲得が決まった。1完登4ゾーンの楢崎智亜はアテンプト数の差で決勝に届かず、8位で準決勝敗退。藤脇祐二が9位、吉田智音が10位で日本勢7人がトップ10に入った。

決勝で優勝争いをリードした安楽

 決勝には前日の女子決勝同様に多くの観客が詰めかけた。第1課題は6人中5人が完登。軽やかにムーブをこなした安楽が一撃で首位発進した。第2課題は全員がノーゾーンに終わり、第3課題は4人が完登。安楽は難なくスラブ課題を攻略、再びフラッシュしてみせた。4人が2完登2ゾーンで並び、アテンプト数の差で安楽が1位、天笠が2位、トビー・ロバーツ(英国)が3位、楢崎が4位と続いた。

最終課題を登る天笠

 最終課題、先頭の天笠は観客側を向いてスタートを切り、反転しながらゾーンホールドに飛びついていく。4トライ目にそのアクロバティックなムーブを決めると、そのまま一気にトップホールドへと駆け登り、パワーで体を安定させた。天笠は会心の登りにガッツポーズを繰り返した。



 その後、完登者は出ず、4番手の楢崎の出番に。楢崎は壁側を向いてスタートを切った5トライ目、失敗していたゴール取りを成功させ、アテンプト数で天笠に及ばずも2位に浮上。5番手のロバーツがゾーンなしにとどまったことで日本勢の上位独占が確定した。最後に登る安楽は最初のトライでゾーンを獲得。しかし最後のムーブに迷い、マントルを返そうとしたが落下。今度はダイナミックなムーブを選択するも再びフォールし、登り切ることができないままタイムアップを迎えた。

最終課題の完登で2位に浮上した楢崎明智

 3年ぶりにW杯に参戦している天笠はこれが初優勝。第2戦で久々の決勝を戦い4位入賞するなどハイパフォーマンスを続けている。今季3戦連続でファイナリスト入りした楢崎は第2戦に続いて2位とこちらも好調をキープ。安楽は優勝こそ逃したものの各ラウンドで高い実力を示し、3戦連続で表彰台に上がった。通谷はゼロ完登で6位だった。これでパリ五輪前最後のボルダーW杯が終了。インスブルックでの大会日程はこの後も続き、現地時間29、30日にリード第2戦が予定されている。

初優勝が決まった天笠は頭を抱えた

<決勝リザルト>



1位:天笠 颯太(JPN)/3T3z 8 7
2位:楢崎 明智(JPN)/3T3z 11 7
3位:安楽 宙斗(JPN)/2T3z 2 3
4位:トビー・ロバーツ(GBR)/2T2z 4 4
5位:エリアス・アリアガダ・クルーガー(GER)/1T3z 8 11
6位:通谷 律(JPN)/0T3z 0 24
――――――
8位:楢崎 智亜(JPN)※準決勝進出
9位:藤脇 祐二(JPN)※準決勝進出
10位:吉田 智音(JPN)※準決勝進出
29位:緒方 良行(JPN)
37位:山田 航大(JPN)

※左から順位、氏名、所属国、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

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