「OPEN HOUSEのO-ENフォーラム」とは、株式会社オープンハウスグループが「挑戦する人や組織を応援する」を目的に各界で問題提起やディスカッションを行う取り組みだ。 第1回として「パラスポーツと共創する新たな未来」と題し、金メダ…

「OPEN HOUSEのO-ENフォーラム」とは、株式会社オープンハウスグループが「挑戦する人や組織を応援する」を目的に各界で問題提起やディスカッションを行う取り組みだ。

第1回として「パラスポーツと共創する新たな未来」と題し、金メダル獲得に挑戦し続ける現役選手が「パラアスリート」というキャリアについて語るパネルディスカッションを開催した。

登壇者は、2021年東京パラリンピックに男子走り幅跳びで、2022年北京パラリンピックに男子スノーボードクロスで出場したパラスノーボーダーの小須田 潤太選手(株式会社オープンハウスグループ所属)、2018年日本聴覚障害者陸上競技選手権大会で優勝を果たしたデフ陸上・走り高跳びの髙居 千紘選手(コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社所属)の現役選手兼会社員。

ゲストとして元大リーガーでプロ野球ヤクルトなどで活躍した五十嵐 亮太さん、ファシリテーターは障がい者スポーツに詳しいフリーアナウンサーの久下 真以子さんの4人で行われた。

ディスカッションでは、まず両選手が、アスリートになった経緯について話した。小須田選手は21歳だった2012年に、引っ越し会社の社員として運転中の事故で右大腿部を切断。事故直後の心境について「お客様の荷物どうしようとか会社になんて言おうとかそっちの方が頭に残った」と語った。

事故から3年後に参加したマラソン初心者や大会で完走を目指すランナーを対象にしたランニングクリニックがきっかけで陸上を始めると、競技をより本格的にできる環境を求めて、2016年に株式会社オープンハウスに入社した。
 

生まれつき聴覚に障がいがある髙居選手は中学ではバレーボールに打ち込み、高校から陸上の道へ進んだ。バレーボールで培ったジャンプ力を生かし走り高跳びを選択。高校卒業後もデフリンピックでのメダルを目指して日本体育大学で陸上を続けた。

「社会人でも競技を続けたい」という思いから同大学と障がい者支援に関する包括協定を結んでいたコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社に2020年に入社した。

トークテーマを「挑戦し続けること」にうつすと、髙居選手が今年4月、カナダ・バンクーバーで開催されたファッションショーにモデルとして参加したことが紹介された。参加した経緯として「デフリンピックは知名度が低いので、もっと世界中の方々に知ってもらいたいという思いで出ました」と語った。

小須田選手は、トレーニングの一環で、カヌーやゴルフにも挑戦していることを明かし、「新しいスポーツに挑戦することでメイン競技に繋がる部分が見えてくることがある。自分がやりたいと思ったことは積極的に挑戦します」と語った。

また五十嵐さんからの「事故がなかった自分が今どうなっているか考えたことはありますか?」という質問には「心の底から脚がなくなってよかったと思っている。そう思えるくらい障がいを負ったことで得たものが多くあった。事故以前は何も考えずに生きていたが、脚が無くなりパラアスリートの道に進んだことで今の自分がある」と会場を驚かせた。

最後に今後について、髙居選手は「まずは7月の世界デフ陸上競技選手権、そして来年の東京デフリンピックで メダルをとって、同じ障害をもつ子どもたちに夢や希望を与えたいなと思います」と語り、小須田選手は「2026年にミラノ・コルティナダンペッツォで開かれるパラリンピックを目指しています。東京・北京と夏冬経験し、どちらも最高成績が7位でした。

そこでメダリストとそれ以外の差を痛感し、最短でメダルを取るため冬のスノーボード一本に絞っています。来年3月の世界選手権で優勝すれば、出場権を確実にとれるので、まずはそこに向けてひたすら目の前のことに全力で取り組んでいきます」と、それぞれの目標を語った。

登壇者:
小須田 潤太(こすだ じゅんた)選手
生年月日:1990年10月5日
出身地   :埼玉県所沢市
所属  :株式会社オープンハウスグループ
障害  :T63(右大腿部切断)
競技種目:スノーボード「スノーボードクロス」「バンクドスラローム」 陸上競技「走り幅跳び」「100メートル」
主な成績:
2021年 東京2020パラリンピック 男子走り幅跳び(T63) 7位入賞
2022年 北京2022パラリンピック 男子 スノーボードクロス(LL1 )7位入賞
2023年
パラ スノーボード ワールドカップ(フィンランド)
男子 スノーボードクロス(LL1) (1日目)優勝、(2日目)2位
パラ スノーボード ワールドカップ(イタリア)男子 スノーボードクロス(LL1)(1日目)3位(2日目) 優勝
 
髙居 千紘(たかい かずひろ)選手
生年月日:1997年6月7日
出身地   :滋賀県米原市
所属  :コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
障害  :聴覚障害 感音性難聴
競技種目:デフ陸上競技 走り高跳び・十種競技
主な成績:
2015 年 全国聾学校陸上競技大会 優勝(190cm)※大会3連覇
2016 年 世界ろう者陸上競技選手権大会 6位(185cm)
2018 年 日本聴覚障害者陸上競技選手権大会 優勝(180cm)
2019 年 世界ろう者室内陸上競技選手権大会 9位(180cm)
2023 年 アジアデフ選手権大会 走り高跳び3位(180㎝)、4×400mR 2位
※2024 年7月18 日~23 日「第5回世界デフ陸上競技選手権大会」男子走り高跳び日本代表内定(台湾・台北市で開催)