パリ五輪予選シリーズの第2戦(ハンガリー・ブダペスト)で23日、スポーツクライミングのボルダー&リード女子決勝が行われた。ブルック・ラバトゥ(米国)が第1戦に続く優勝を遂げ、2位に野中生萌が入った。野中は第1戦と第2戦の総合順位でも2位に…


 パリ五輪予選シリーズの第2戦(ハンガリー・ブダペスト)で23日、スポーツクライミングのボルダー&リード女子決勝が行われた。ブルック・ラバトゥ(米国)が第1戦に続く優勝を遂げ、2位に野中生萌が入った。野中は第1戦と第2戦の総合順位でも2位に入り、12位以内かつ日本勢最上位となったことでパリ五輪代表に内定した。

 第1戦と第2戦の各順位に割り当てられたポイント合計上位12人がパリ五輪出場権を得る予選シリーズのボルダー&リード種目。第1戦は野中が4位、伊藤ふたばが5位でともに上位につけた。2人のポイント差はわずか「2」で、日本女子に残された1枠をめぐる戦いのゆくえに注目が集まった。ブダペストでの予選は久米乃ノ華が欠場、中川瑠が44位で敗退した一方、野中は3位、伊藤は6位で準決勝に駒を進めた。

 準決勝のボルダーラウンドは3完登と2完登が2人ずつ、1完登以下が16人と全体的に完登率が低かった中で、野中が2完登し69.5点で3位に。伊藤はゼロ完登で29.3点、14位にとどまり、得意のボルダーでポイントを稼げず決勝進出に黄色信号が灯った。リードで野中は3位、総合でも3位に入り決勝に進出。伊藤はリードで6位と順位を上げたものの総合順位は10位。8位以内に入ることができず、決勝進出は叶わなかった。これにより2戦合計ポイントで野中の12位以内かつ日本勢最上位が決まり、2大会連続での五輪切符獲得が確実となった。

伊藤の五輪への道は閉ざされてしまった

準決勝リード競技を終えた野中

 決勝は五輪行きを確実とした選手たちで行われた。ボルダーラウンドで唯一の全4完登を果たしたのは野中。ダイナミック系の第1課題を一撃して波に乗ると、第2課題は残り30秒で、第3課題は残り3秒で登り切る。極めつけは第4課題で、ゴール取りに2度失敗した後、観客に声援を求めて残り30秒でスタート。3度目の正直で最後のムーブを決め、会場には大声援が響いた。笑顔がはじけた野中は98.9ポイントを獲得。その後、4完登に挑んだラバトゥが失敗したことで単独首位に立った。リードでは57.1点を加え、合計156ポイントとした野中。最後に登るラバトゥが76ポイントで合計159.8ポイントに達し、僅差で1位は譲ったが、2位で表彰台に上がった。

決勝ボルダー課題を登る野中

会場からは大きな声援が送られた

 2戦合計順位では2大会とも1位のラバトゥが100ポイントでトップ。野中は83ポイントで2位。3位のエリン・マクニース(英国)は82ポイント、4位のソ・チェヒョン(韓国)は81ポイントでその差はわずかだった。2戦合計順位、およびパリ五輪内定者は以下の通り(★が五輪内定者)。

<パリ五輪予選シリーズ ボルダー&リード女子総合順位>

五輪内定者たち

1位:★ ブルック・ラバトゥ(USA)
 100pt(50+50)
2位:★ 野中 生萌(JPN)
 83pt(38+45)
3位:★ エリン・マクニース(GBR)
 82pt(41+41)
4位:★ ソ・チェヒョン(KOR)
 81pt(45+36)
5位:★ ラク・チリョ(CHN)
 72pt(34+38)
6位:★ イェウヘニア・カズベコワ(UKR)
 68pt(35+33)
7位:伊藤 ふたば(JPN)
 67pt(36+31)
8位:★ ミア・クランプル(SLO)
 63pt(29+34)
9位:★ ルシア・デルフェル(GER)
 63pt(31+32)
10位:★ ゼリア・アベズー(FRA)
 62pt(33+29)
11位:★ カミーラ・モローニ(ITA)
 60pt(32+28)
12位:★ ラウラ・ロゴラ(ITA)
 59pt(24+35)
13位:★ モーリー・トンプソン・スミス(GBR)
 58pt(28+30)

※上段左から総合順位、氏名、所属国
※下段左から2戦合計ポイント、ポイント内訳(左から第1戦ポイント、第2戦ポイント)
※同ポイントの場合は第2戦のポイントが高い選手が上位
※五輪内定者の順位以上の選手を掲載

<女子決勝リザルト>



1位:ブルック・ラバトゥ(USA)
 159.8pt(B 83.8pt/L 76.0pt)
2位:野中生萌(JPN)
 156.0pt(B 98.9pt/L 57.1pt)
3位:エリン・マクニース(GBR)
 137.5pt(B 69.4pt/L 68.1pt)
4位:ラク・チリョ(CHN)
 122.5pt(B 68.5pt/L 54.0pt)
5位:ソ・チェヒョン(KOR)
 104.9pt(B 32.8pt/L 72.1pt)
6位:ラウラ・ロゴラ(ITA)
 90.5pt(B 14.5pt/L 76.0pt)
7位:ミア・クランプル(SLO)
 81.6pt(B 24.5pt/L 57.1pt)
8位:イェウヘニア・カズベコワ(UKR)
 75.5pt(B 39.5pt/L 36.0pt)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から2種目の合計ポイント、各種目のポイント(B=ボルダー、L=リード)

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