春のJRA・GIのラストを飾る宝塚記念といえば、このレースのみで使用されるファンファーレを思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。昨年netkeibaのX(旧twitter)で行った「好きなファンファーレ」のアンケートでも、「宝塚…

 春のJRA・GIのラストを飾る宝塚記念といえば、このレースのみで使用されるファンファーレを思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。昨年netkeibaのX(旧twitter)で行った「好きなファンファーレ」のアンケートでも、「宝塚記念も年に一度だけの特別感あって良いんですよね」といった意見が多く届くなど愛されている楽曲だ。

 現在の宝塚記念のファンファーレは、初めてお披露目されてから今年でちょうど25年となる。そんな四半世紀に渡って愛されている楽曲は、一般公募だったことをご存知だろうか。

 宝塚記念だけファンファーレが異なるのには理由がある。JRAによれば、「ファンファーレの更なる充実を図るため」と特別な楽曲としたかったためだ。加えて、一般公募としたことも意味が。「ファン投票によって出走馬を決定する宝塚記念競走にふさわしい方法として、一般公募を実施」という粋なものだった。

 こうして公募した結果、応募総数は3083通、有効総数3055通もの楽曲が集まった。そのなかから選ばれたのが、早川太海さんが作曲した現在使用されているものだ。

 早川さんは、オーディション雑誌で宝塚記念のファンファーレが公募されていることを知り応募。作曲した当時はほとんど競馬に触れたことがなかったが、「全人馬が事故なく無事にゴールすること」という思いを楽曲に込めたという。採用されたことは手紙で知ったそうで、「信じられなかったですね。その場で動けなかった」と喜びよりも驚きのほうが大きかったと、当時を振り返っている。

 今年もファン投票で選ばれたスターホースたちが、それぞれの期待を背にターフを駆け抜ける。その直前に流れる3000超のなかから選ばれたファンファーレにも耳を傾けたい。