スポーツクライミングのW杯は19日、ミュンヘンでボルダリング今季最終戦が行われ男子はTEAM au 楢﨑智亜が2位、石松大晟が3位に入った。TEAM au 藤井快は6位に終わった。

女子では、TEAM au 野口啓代が3位、同じくTEAM au 野中生萌は予選で5課題すべて完登しトップ通過を果たすも、準決勝は精彩を欠き決勝進出を逃した。

今季のボルダリングW杯はこれで全7戦を終え、日本はW杯国別ランキングで4年連続の世界一に。個人ランキングでは男子で楢﨑が2位、女子で野口が3位に入った。

日本勢の活躍が光った今大会だったが、一方で悔しさ残る結果となってしまったのは野口とともに日本女子のボルダリング界を引っ張る野中生萌。

 

最終目標は“強いクライマー”になること

「目標は人それぞれ違っていいと思うのですが、私は記録や栄誉を目指してきたのではなく、ただとにかく強くなりたいって」

“強いクライマーになる”野中にとっては、その延長線上に世界の頂点がある。

野中がクライミングと出会ったのは9歳のとき。登山をしていた父親のトレーニングの一環で家族とクライミングジムに行ったのが始まりだ。

当初は二人の姉に勝てず、その悔しさから毎日のようにジムに通い詰めるようになったという。中学時代に頭角を現し始め、その後16歳で初参戦となったW杯・フランス大会で2位。そして去年のインド・ナビムンバイ大会で、悲願のW杯初優勝を飾った。

今でこそ、世界のトップクライマーと呼ばれるまでに成長した野中。そんな彼女の支えとなっていた5つの言葉がある。

「負けたくないなら強くなれ」「傷ついた分だけ優しくなれ」「遅れた分だけ取り戻せ」「転んだら何度も立ち上がれ」「今に見てろと笑ってやれ」

この言葉を野中は毎年スケジュール帳の最後に書き記している。

「まさに最初の言葉とか負けたくないなら強くなれって言葉は本当にその通りだなと思うんですよね。負けたとしてその理由をいろいろ考えるじゃないですか。そういうのももちろん大事なんですけど、何かを考えるよりも強くなれれば、強ければ勝てるから、だったら強くなろうみたいな。」

小学校高学年のとき、姉の部屋の壁にこの言葉が貼ってありそれを見て以来、大切にしているという。

「私がクライミングを始めたときからずっとこういう考えはあったんですけど、はっきりと言葉に書いて表したことはなくて、これがまさに自分の思っていることだったので、私の考えですね。」

そして、この5つの中でも一番大事にしている言葉を聞いてみた。

「やっぱり「今に見てろと笑ってやれ」ですかね。最終的に負けたくないなら強くなれ、傷ついた分だけ優しくなれ、段階を踏んでいって最終的に「今に見てろと笑ってやれ」と」

6月に行われたW杯インド・ナビムンバイ大会。野中は去年この大会で優勝していただけに、連覇が期待されていた。しかし、結果は惜しくも2位、今季初優勝にあと1歩届かなかった。そのとき、彼女はこう思ったという。「今に見てろよ」と。

「今を乗り越えれば絶対に強くなれるし、めちゃめちゃ前向きな言葉ですよね。いきつくのはやっぱりこういう考え方」

続くW杯最終戦は、まさかの準決勝敗退。野中は年間ランキングでも4位と表彰台に届かなかった。

それでも野中に落ち込んだ様子はなく、むしろ気持ちはすでに前を向いていた。

「ずっと調子も悪くなくて今シーズンは大きい怪我をせずに調子を常にキープしてこれたので、その中でもこの最終戦で結果が残せなかったというのは何か意味のあることだと思うので次に繋げられるように頑張りたい」

 

野中の最終目標“強いクライマーになる”

まだ彼女は20歳。この先目標が達成されるまで、彼女は挑み続ける。悔しさを力に変えるこの言葉を胸に…

 

「今に見てろと笑ってやれ」

 

■野中生萌(のなか・みほう)

1997年5月21日生 身長162cm

東京都豊島区出身 TEAM au所属
W杯2017 マイリンゲン大会 3位 南京大会 3位 八王子大会 3位 ベイル大会 3位 ナビムンバイ大会 2位

 

■TEAM au

TEAM au は、日本におけるスポーツクライミングを、子どもから大人まで多くの人が楽しめるメジャーなスポーツとして発展・普及させるべく結成されました。チームメンバーは、すでに国内外の大会で輝かしい実績を残し、世界の頂点をねらう実力派クライマーで構成されています。2016年8月、TEAM auは、文字通り“壁を越える”為の最初の一歩を踏み出しました。今後は、クライミングを愛する全ての人とともに、様々な活動を通じて日本のスポーツクライミングシーンを牽引し、盛り上げていきます。