支配下復帰後、即スタメンで起用された佐藤。師匠の穴を埋める活躍に期待だ(C)産経新聞社  代えの効かない主砲の長期離脱というソフトバンクを襲ったショックを、愛弟子が払拭させるハッスルプレーをみせた。ソフトバンクは6月1…

 

支配下復帰後、即スタメンで起用された佐藤。師匠の穴を埋める活躍に期待だ(C)産経新聞社

 

 代えの効かない主砲の長期離脱というソフトバンクを襲ったショックを、愛弟子が払拭させるハッスルプレーをみせた。ソフトバンクは6月1日、昨季限りで戦力外となり、育成で再契約していた佐藤直樹を支配下登録し、即1番・中堅で広島戦に先発出場させた。

【動画】支配下復帰の佐藤直樹が攻守に躍動!復帰後初ヒットと絶妙スライディングキャッチの映像を見る

 

 チームは重たいムードに包まれていた。不動の3番として首位を走る若鷹軍団を引っ張ってきた柳田悠岐が、右太もも裏の筋損傷で全治約4か月と診断されていた。5月31日の広島戦で内野ゴロに倒れ、一塁へ走り出した際に痛めて負傷交代していた。

 今季は1日現在でリーグ3位の打率.293で、同11位タイの4本塁打、同2位の35打点と好調に滑り出した。2019年以降、故障がちなシーズンが目立ったが、全143試合に出場し163安打で最多安打に輝いた昨季に続き、35歳にして衰え知らずのプレーをみせていた。その大黒柱の長期離脱。レギュラーシーズンでの復帰は絶望的で、クライマックスシリーズや日本シリーズなどのポストシーズンに間に合うかどうかという重症だった。

 出場選手登録を外れ、入れ替わる形で登録されたのが佐藤だった。いきなり魅せた。初回こそショートライナーに倒れたが、続く3回先頭での第2打席はショートへのゴロ。これに全力疾走で自慢の俊足を飛ばし、焦った相手遊撃・矢野雅哉の悪送球を誘った。送球がそれた間に、一気に二塁へ。続く今宮の右前打で生還し、先制のホームを踏んだ。結果的にこれが決勝点となり、チームは2連勝。4回の第3打席は2死一塁から右前打で今季初安打をマークし、一、三塁へとチャンスを広げた。得点には結びつかなかったが、その後に二盗にも成功するなど、アピールを続けた。

 沈みかけたチームを盛り立てる活躍に、試合後はお立ち台へと呼ばれた。

「またこのペイペイドームに立てているのが幸せな気持ちです。みんなここでプレーするために2軍で頑張っているので。この大歓声の中で試合できるのがとても幸せです」

 前日までは2軍の阪神戦(鳴尾浜)に参加しており、始発の新幹線で本拠地の福岡に戻ってきた。「昨日の夜の10時ぐらいに電話が来て、スタメンを伝えられました」。午前中に支配下復帰会見に臨み、午後2時開始のデーゲームに備えた。

 佐藤にとって、柳田は憧れの存在であると同時に師匠でもある。少しでも近づけたらと、オフには志願して柳田との合同自主トレに参加。右打ちではあるが強肩と俊足を武器とする外野手で、超人的な打撃の極意を盗もうと必死に食らいついてきた。今季2軍のウエスタンリーグでは34試合で打率.340、2本塁打、16打点、10盗塁の好成績を残し、声が掛かるのを待っていた。

 そしてチャンスは、尊敬する師匠の離脱で巡ってきた。「昨日ケガしたのを見てすごいショックでした。ギータさんの代わりにはなれないかもしれないけど、少しでも自分の色を出して貢献していきたいです」。複雑な思いを抱きながら、お立ち台でしっかり前を見据えた。

 報徳学園高、JR西日本を経て2019年ドラフト1位で入団。だが、昨季までの4年間で1軍では2022年の48試合出場が最多で、通算9安打にとどまっていた。この日の支配下復帰後初安打のボールは手元に戻って来た。「プロ初安打の時より、なんかうれしい気持ちですね」。失意の育成降格を乗り越え、つかんだリスタートの一歩目は、師匠の離脱で巡ってきたチャンス。元ドライチ・佐藤が、ドラマチックに1軍の世界に戻ってきた。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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