「NBAドラフトコンバイン2024」が終わり、各球団のスカウトはレポートを持ち帰り、所有するドラフト指名権と照らし合わせながら…

「NBAドラフトコンバイン2024」が終わり、各球団のスカウトはレポートを持ち帰り、所有するドラフト指名権と照らし合わせながら、2024-25シーズンに迎え入れるルーキーについて熟考していることだろう。

 ブロニー・ジェームズ(南カリフォルニア大学)の参加もあり、例年以上に注目を集めたコンバインには有望選手120名以上が参加。身体測定からスクリメージまで、様々なメニューがこなされた結果、カレッジでの評判を覆し、秘めたポテンシャルを見せつけることに成功したプレーヤーも少なくない。

 NBAはリーグの公式サイトにて“コンバインで目立った有望選手”と題し、印象的なパフォーマンスを披露した選手を厳選した。

■ベイラー・シャーマン(クレイトン大学)

 NBAは仮にスクリメージでMVPを授与すると仮定した場合、クレイトン大学の4年生ガードにトロフィーを与えるとし、その活躍に賛辞を送った。身長201センチの大型ガードは、2試合で18本中11本のシュートを沈め、平均13.0得点を記録。今シーズンは前年よりもNCAAでのスタッツを伸ばしており、1試合平均18.5得点9.0リバウンド3.9アシスト、3ポイント成功率38.1パーセントをマークし、クレイトン大のNCAAトーナメントにおけるスイート16進出に大きく貢献した。スタッツにも表れているように、シャーマンの魅力は積極的なリバウンドと、アウトサイドショットにあり、ルーク・ケナード(メンフィス・グリズリーズ)やサム・ハウザー(ボストン・セルティックス)と比較される。バスケットボールIQも高く、彼のスキルセットはどの球団にとっても助けとなるだろう。

■ニコラ・ジュリシッチ(KKメガ・バスケット)

 シャーマンと肩を並べたプレーヤーを1名選ぶのであれば、セルビアから参戦した201センチのガード兼フォワードだ。ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)を輩出したKKメガ・バスケットでプレーする20歳は今シーズン、ABAのレギュラーシーズンに27試合出場し、同15.0得点2.8リバウンド3.5アシスト、フィールドゴール成功率46.6パーセントをマーク。また、直近では名門KKユニオン・オリンピアとのプレーオフで31得点、フィールドゴール成功率68.8パーセントの大爆発を見せ、勝利に貢献した。コンバインのスクリメージでもドリブルで自らスペースメイキングする様子が印象的で、最後の試合では20分間で16得点を記録。運動能力も高く、NBAは1巡目指名に向けて大きなアピールとなったと評した。

■ブギー・エリス(南カリフォルニア大学)、KJ・シンプソン(コロラド大学)

 小柄なポイントガード2人による対決は、スクリメージにおける最大のエンターテインメントだったようだ。

 前者は、ブロニーのチームメートであり、富永啓生(ネブラスカ大学)と3ポイントコンテストで対戦したことから、その名前を知る者も多いのではないだろうか。エリスは5月に開催されたGリーグ・エリートキャンプで25本中22本の3ポイントを成功させ、ドラフトコンバインの招待状を獲得。コンバインでの試合では18分間のプレータイムで11得点5リバウンド5アシストを記録し、持ち前の爆発力とリムへ到達するスキルを披露した。先述のとおり、アウトサイドからの確率も高く、カレッジのラストイヤーは41.8パーセントの成功率を収めた。

 一方のシンプソンは、大学の単純なスタッツ比較ではエリスを上回り、今シーズンは同19.7得点5.8リバウンド4.9アシスト、3ポイント成功率43.4パーセントという素晴らしい成績を残した。スクリメージでは2試合平均13.5得点をマークし、フィニッシュ力の高さをアピール。コロラド大のオフェンスをリードしてきた彼は、“トリプルダブル”に匹敵するスタッツを度々記録しており、効率の良さが魅力だ。NBAで即座にスターターを任されるかは懐疑的だが、セカンドユニットで司令塔を担う未来は想像に難くない。

 NBAは、両プレーヤーともにコミュニケーション能力が高く、数字に表れない要素に集中していたとし、互いの際立った競争心とリーダーシップを評価した。

■コールマン・ホーキンス(イリノイ大学)

 ホーキンスもブロニー同様、プロ入りと大学への帰還の狭間にいる選手だが、『247Sports』とのインタビューで「僕は大学バスケットボールを卒業したような気がしています。バスケットボールに人生を捧げる準備はできています」と語り、ドラフトエントリーに軸足を置くと宣言した。

 208センチ104キロのパワーフォワードは、イリノイ大の歴史で唯一キャリア通算900得点500リバウンド200アシスト100ブロック100スティール以上を記録した選手。スクリメージで多彩なオフェンススキルを披露し、最後の試合では17得点、シュート成功率85.7パーセントという印象的なスタッツを残した。

 彼の魅力は、現代バスケに適した多様性にある。ピック&ポップのプレーは驚異的で、今シーズンは3ポイント成功率を36.9パーセントまで飛躍させ、フロアスペーサーとしても相手ディフェンスを苦しめた。また、ショートロールでは味方を活かすパスにも定評があり、オフェンスでアシストという回答を見出すシーンも少なくない。

文=Meiji