ネリとの一大決戦に臨む井上には各国から熱視線が注がれている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  待ちに待った歴史的な一戦がいよいよ幕開けとなる。5月6日、東京ドームで行われるボクシング…

 

ネリとの一大決戦に臨む井上には各国から熱視線が注がれている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 待ちに待った歴史的な一戦がいよいよ幕開けとなる。5月6日、東京ドームで行われるボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)によるタイトルマッチだ。

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 日本ボクシング史が変わる日となるのは確実だ。東京ドームでボクシングの世界戦が行われるのは、列島がバブル経済に沸いていた1990年2月11日に行なわれたマイク・タイソンとジェームス・ダグラス(ともに米国)がヘビー級王座戦を繰り広げて以来の快挙。そんなメガ興行のメインマッチを日本人王者が飾るのだ。まさしく歴史的な出来事と言えよう。

 ボクシング界全体で見ても「タイソン戦以来」という檜舞台での興行は稀有だ。ゆえに世界でのライブ中継も決定。各国から熱視線が注がれているのだが、とりわけ衛星放送『Sky Sports』での生配信が決まっている英国内での反響は大きい。

 驚くべきは公共放送である『BBC』が特集記事を配信している点だ。「ボクシングの異名として、ナオヤ・イノウエの『ザ・モンスター』よりもふさわしいものはない」と切り出した同局は、26戦無敗(23KO)という圧倒的実績を「一般的にノックアウトが難しいともされる軽量階級でイノウエが残す記録はより驚異的だ」と日本が生んだ怪物を絶賛する。

 そんな井上だが、このネリ戦を前にし、一部の米メディアから自身の価値が問われる論争の渦中に意図せず置かれたのは、ボクシングを知る人ならば、記憶に新しいところだ。過去5戦連続、日本国内でタイトルマッチを実施してきた背景から、「アメリカに来て、アメリカ人を倒して、ファンに注目してもらわなければならない」(元世界ウェルター級王者2団体王者のショーン・ポーター談)という意見が噴出した。

 米国内でタイトル防衛をしてこそ、「最高」と認められるという“異論”。これがSNSでハレーションを広げたわけだが、『BBC』は「彼の功績はなぜ認められないのか」とキッパリと主張。そして、井上を「世界で最も完成度の高いファイターだ」と評する元WBOスーパーフェザー級世界チャンピオンのバリー・ジョーンズ(英国)氏のコメントを紹介している。

「どうしてイノウエをビッグスターではないと言えるんだ? あれぐらいの階級でスタジアムを超満員にさせる選手を他に挙げてみろと言いたい。あくまでそういうことを言うのは、西側諸国の奴らだ。そこで彼の名前は知られていないかもしれないが、ボクシング・ファンなら誰でもイノウエが何者かを知っている」

 元世界王者からも高い評価を受けた井上。数多の名手を生み出してきた英国からの賛辞は、彼に対する注目度の高さを伺わせるものだと言えよう。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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