<阪神5-4ヤクルト>◇27日◇甲子園子どもたち、野球って最高だろ! 阪神近本光司外野手(29)が、大型連休初日に逆転2ランをかっ飛ばした。1点ビハインドの5回1死二塁、ヤクルト・サイスニードから値千金の3号アーチ。毎年恒例「ゴールデンウイ…

<阪神5-4ヤクルト>◇27日◇甲子園

子どもたち、野球って最高だろ! 阪神近本光司外野手(29)が、大型連休初日に逆転2ランをかっ飛ばした。

1点ビハインドの5回1死二塁、ヤクルト・サイスニードから値千金の3号アーチ。毎年恒例「ゴールデンウイークこどもまつり」で大型ビジョンがひらがな表示となる3連戦。虎党キッズも笑顔になる勝利で4月の勝ち越しを決めた。12球団トップとなる8度目の逆転勝ちで、2位巨人に1ゲーム差の首位をキープした。

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フォロースルーが美しい。近本がバットを振り切ると、ライトスタンドのファンが届け! とばかりに総立ちになった。「頼む、いってくれ!」。本人も願った右翼への逆転2ラン。大歓声を背にダイヤモンドを1周した。

「違う球だったら三振でいいやと思っていたので。そこに来たら絶対に仕留めるという気持ちで打席の中で待っていました」

“そこ”とは、高めの直球だった。1点ビハインドの5回1死二塁。変化球を3球見逃し、追い込まれながらも、まだ待った。「今日1日、1球来るかどうか」と振り返るサイスニードの高め150キロ直球。一振りで仕留め、ちょうど昨年4月27日巨人戦以来、1年ぶりの甲子園弾だ。「そんな打ってないんですか?」と苦笑いしつつ「1年に1本打てたらいいかなと。この時期はあまり浜風も強くない」と分析。チーム15本塁打は12球団トップタイと24年は重量級の虎になりつつある。8度の逆転勝ちも12球団トップと粘り強い。

前夜、引き分けを挟んでの連勝が7で止まると、野手陣は岡田監督に集められた。指揮官は「今日も同じようなピッチャーでなあ、それで言うたんよ。明日までに切り替えて、ちょっと考えろ言うて」と説明。同じような打ち取られ方をされる状況を指摘された。近本は変化球を捨て、真っすぐ一点張り。「(変化球を)気にしたらあのボールは打てない」と割り切った。岡田監督は「一番典型的なんは近本のホームランやったな、やっぱりな、おーん」と体現してみせたリードオフマンをたたえた。緊急ミーティングの効果は、確かにあった。

ゴールデンウイーク初日、「こどもまつり」のイベントで多くの子どもたちが見守る中、今季自身初の決勝弾を決めてみせた。自宅に帰れば愛娘のパパになる29歳は「今日見に来てくれた子どもの記憶に残れば。楽しい試合やったなって思ってくれたらうれしい」と願う。4月は3試合を残し早くも勝ち越しを決め、2位巨人に1ゲーム差の首位をキープ。楽しいに決まっている。

「今日みたいなピリピリした試合を僕らはしたくない。でも、そういうのが野球の面白いところでもある。展開も想像して楽しんでもらえたら」。貯金4。野球の魅力を全身で伝える黄金週間にする。【中野椋】