井上との対戦を前にネリの言動はエスカレートしてきている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext井上、ひいては日本への挑発を繰り返す やはり悪童は悪童だ。日本の偉才との決戦を…

井上との対戦を前にネリの言動はエスカレートしてきている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

井上、ひいては日本への挑発を繰り返す

 やはり悪童は悪童だ。日本の偉才との決戦を前にして、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)は、ギアが上がってきている。

 来る5月6日に東京ドームで世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)とのタイトルマッチに挑むネリ。直近4戦負けなしと勢いに乗り、自信を身に着けている29歳は、「怪物」と恐れられる世界屈指の王者との対戦が迫るなかで、戦闘意欲を強くする。

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 もっとも、今回の東京ドーム決戦に向けては、小さくない問題の解消が必要不可欠だった。それはネリが2017年と18年にWBC世界バンタム級タイトルマッチとして山中慎介氏と対戦した際の処分だ。

 この2度の対戦でネリはドーピング違反(17年)と体重超過(18年)を犯し、王座から失墜。日本ボクシングコミッション(JBC)から日本での活動停止とライセンス申請の剥奪という処分を科され、事実上の永久追放となっていた。

 しかし、日本を騒然とさせた騒動から5年が経ち、スーパーバンタム級に転級したネリも成長。昨年2月にアザト・ホバニシャン(アルメニア)を、同年7月にフローイラン・サルダール(フィリピン)をそれぞれTKOで撃破し、WBC年次総会で指名挑戦者に選ばれていた。

 その成果を認められたネリは、事前計量(30日前、15日前、7日前)とVADAによる抜き打ちのドーピング検査も義務という厳重な条件付き(両陣営への条件)での処分解除を受けた。

 晴れて井上との決戦が決まったネリ。だが、試合が間近に迫っているなかで、歯に衣着せぬ言動が止まらない。

 今年2月の対戦発表会見の場では「皆さんに謝りたいと思っている。日本のボクシングコミッション、ボクサー、帝拳プロモーションの関係者に謝罪を申し上げます。2度も裏切ってしまいましたが、今回はきちんと節制し、調整をしている」と懺悔。猛省した姿を見せていたが、ここにきて井上、ひいては日本への挑発を繰り返しているのだ。

 現地時間4月13日に所属するプロモーション会社『Zanfer Boxing』のFacebookで公開となったインタビューでネリは「俺は沈黙の中で練習に没頭している。しゃべるのはリングの中だ」と断言。そのうえで、「いつか日本には戻れると考えていたし、そうなることを期待していた。実際に(発表会見で)戻れた。その席で俺は謝罪もした」と強調し、対戦発表時の殊勝な振る舞いを忘れたかのように、こう続けた。

「俺は謝らなければならなかったからそうしたんだ。でも、あれは日本のファンに対して謝罪したわけではない。あの試合で体重をつくれなかったからヤマナカ(元WBC世界バンタム級王者)だけに謝りたかった」

「イノウエは俺を待っていたんだ」

 山中氏との初陣となった17年に犯したとされているドーピング違反に対しては、謝罪の意を示さなかった。その理由について問われたネリは「あの時は完璧に俺はクリーンだった」と続ける。

「あの時も問題が大きくなったのは事実だけど、俺が犯した罪は体重超過だけだ。その理由はいくつかのインタビューで説明したし、実際に出場停止処分も受けた。すべてはもう過去の出来事だ。

 だから今はウエートの管理に集中して取り組んでいる。繰り返すけど、起こったことは変更が利かないんだ。でも、今回はこれまでとは違うルイス・ネリを披露できると確信している。俺は変わったんだ」

 やはり、と言うべきか。ネリは悪びれる様子なく、日本のファンを煽る言葉を居並べる。そうした言動は「悪童」と評される所以でもあるだろう。

 さらに「全ての日本人とアメリカ人はチケットを売るためにメキシコ人ボクサーを必要としている。俺こそが“その”メキシコ人なんだ。イノウエが熱望するビッグイベントはフルトンやタパレスでは実現できなかった。俺を待っていたんだ」と続けるネリは、インタビュアーにポツリと投げかけてもいる。

「モンスターが、誰も予想していなかった初めての敗北を喫する。そんな予感がしないか?」

 今回の試合で「リング上では下品に振る舞う」と強調する29歳が、「史上最強」の呼び声もある井上にいかに立ち向かうか。およそ2週間後のゴングが、ますます楽しみになってきている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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