2024年のヨーロッパラリー選手権(ERC)は、4月12日〜15日、ラリーハンガリー(グラベル)で開幕。強豪勢にトラブルが続出する大波乱の展開の中、シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が勝利を飾った。 気温が27度…

2024年のヨーロッパラリー選手権(ERC)は、4月12日〜15日、ラリーハンガリー(グラベル)で開幕。強豪勢にトラブルが続出する大波乱の展開の中、シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が勝利を飾った。

気温が27度まで上昇する中、ラフでタフなラリーを走り切るには、冷静さを保つことが必要だったようだ。テンペスティーニは、慎重さとアタックを適切に組み合わせることに成功した。

2016年にジュニアERCタイトルを獲得したルーマニア出身29歳のテンペスティーニは、現ERC王者のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20Nラリー2)に7.7秒差をつけて、最終パワーステージに臨み、ERC初優勝を手にした。これまで何シーズンも好パフォーマンスを披露してきたが、マシントラブルやタイヤが合わない、あるいはその両方を抱えることで、本来のポテンシャルを活かし切れなかった。

今回のラリー、序盤でペースを握ったのはトヨタGRヤリス・ラリー2勢で、フィンランドのミッコ・ヘイッキラとラトビアのマルティン・セスクがリードした。一方、テンペスティーニもSS3でベストタイムをマークし、ヘイッキラに6.3秒差の3番手で土曜日のレグ1を折り返した。





しかし、最終日の3本目、SS10でヘイッキラがメカニカルトラブルにより、リタイアに追い込まれる。ヘイッキラは、2022年の開幕戦でも最終ステージでパンクにより優勝を逃している。ヘイッキラの不運により、セスクが首位、テンペスティーニが2番手に順位を上げる。すると今度はセスクが最終2本目のステージで左コーナーでクラッシュ、テンペスティーニが首位に浮上する。最終パワーステージでは、2番手で続くパッドンが左フロントにパンクにダメージを負いスローダウンしたことで追い上げが叶わず、テンペスティーニが優勝を飾った。2位にはマシュー・フランチェスキがERCで初ポディウム。地元ハンガリーの強豪、ミコロス・コスモスが3位に入り、パッドンは4位に終わった。





「本当に本当にアメージング」とテンペスティーニ。
「すごくいいラリーができた。セルジウ(イツ、コ・ドライバー)のノートリーディングも素晴らしく完璧。ERCにこのマシンで出るのは初めてなので、本当にうれしい」

フランスの若手フランチェスキは、SS2でベストタイムをマークしたが SS3で2回のパンクに見舞われ1分以上も後退したが、その後、ベストタイムを3回たたき出す猛烈な挽回を見せた。

昨年のERC3チャンピオン、ジョン・アームストロングは、ラリー2にステップアップしての初参戦を8位で終えている。一方、2022年のERC王者、エフレン・ラレーナは、SS3で着地の衝撃によりダメージを負い、ラリーリタイア。マッズ・オストベルグは、金曜日に肺の感染症で入院し出走しなかったが、完治の見込みだと伝えられている。
(Graham Lister)





ERCハンガリー 最終結果
1 S.テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2) 1:52:50.4
2 M.フランチェスキ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +17.0
3 M.コスモス(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +29.9
4 H.パッドン(ヒョンデi20Nラリー2) +44.5
5 E.カイス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:44.0
6 M.マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:59.3
7 A.マベリーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:12.6
8 J.アームストロング(フォード・フィエスタ・ラリー2) +2:20.5