■父・基氏が優勝胴上げ投手となった早大と対戦の奇縁 立大は14日、東京六大学野球春季リーグの早大2回戦に3-1で勝ち、1…

■父・基氏が優勝胴上げ投手となった早大と対戦の奇縁

 立大は14日、東京六大学野球春季リーグの早大2回戦に3-1で勝ち、1勝1敗として15日の3回戦にもつれ込んだ。かつてダイエー(現ソフトバンク)で活躍した大越基氏(現・早鞆高監督)を父に持つ大越怜投手(3年)が、リーグ戦初登板初先発で5回を2安打1失点に抑え、今季から就任した木村泰雄監督に初白星を贈った。

リーグ戦初先発初登板で勝利投手となった立大・大越【写真:加治屋友輝】

“再出発”にふさわしい投手が勝利を引き寄せた。大越は初回を3者凡退で片づけたが、2回先頭の4番・印出太一捕手(4年)に左前打を浴びた、しかし、続く前田健伸内野手(3年)が試みたバントを、戸丸秦吾捕手(4年)が二塁で刺し、早大のチャンスの芽を摘む。ストライクゾーンの四隅を丁寧に突く投球で連打を許さず、結局犠飛による1失点に抑えて、責任回数の5イニングを全う。6回からは3投手の無失点リレーでしのぎ、早大から白星をもぎ取った。

 大越は東筑高(福岡)から立大に入学した右腕だが、2年間リーグ戦登板なし。しかし今季へ向けてオープン戦で好投を重ね、信頼を勝ち取った。木村監督は「私としては3月下旬には、彼に2回戦の先発を任せることを決めていて、1週間前に本人に伝えました。オープン戦でずっといい投球をしていたので、その通りに試合をつくってくれると思っていました」とうなずく。

 球速はMAX144キロ。「この冬にストレートの強さにこだわって練習し、その中で、ナチュラルにシュートする自分のストレートの特長をとらえることができて、それをストライクゾーンに集めることができるようになったことが、成長につながったと思います」と説明する。

 ナチュラルにシュートするストレートと、それとは逆方向に小さく曲がるカットボールを軸に、カーブ、チェンジアップもまじえて、相手打者に的を絞らせない術をものにしつつある。

勝利に湧く立大メンバー【写真:加治屋友輝】

 初登板・初勝利の相手が早大だったところに、奇妙な巡り合わせを感じさせる。というのは、父の基氏は仙台育英高(宮城)3年夏に甲子園準優勝投手となり、鳴り物入りで早大に入学。1年の春から大車輪の活躍で、早慶戦で優勝を決めた際の胴上げ投手にもなった。

 しかし、部の雰囲気に馴染めず、途中退学。紆余曲折を経て1992年ドラフト1位でダイエーに入団した。当初は投手、その後は野手に転向して俊足・強肩の外野手として活躍した。

 リーグ戦初先発が決まったことを父に伝えた時には、「緊張すると思うけれど、楽しんで、やってきたことを信じて投げれば大丈夫」と激励されたという。

「野球を始めたのは、父の影響が一番大きかったと思っています。その父がやっていた神宮で投げられたのは、すごくいい経験になりましたし、父が所属していた早稲田に勝てたこともうれしいです。父に報告したいと思います」と口元を綻ばせた。

 そして「今日はまだ緊張していました。『楽しめたか?』と言われれば、めちゃくちゃ楽しめたわけではない。これからどんどんリーグ戦のマウンドに立てるように努力して、緊張感を楽しめる投手になりたいです」と先発2番手定着を誓い、父の「楽しんで」という言葉を反芻した。

今季から指揮を執る立大・木村監督【写真:加治屋友輝】

 立大は昨秋のリーグ戦中、上級生部員の問題行為が発覚し、3カード目の明大1回戦を前に、溝口智成前監督が公式戦活動を自粛。残り3カードの指揮を、当時コーチだった木村監督が「代行」として執った。

 今季から正式に指揮官となった木村監督は、ナインから初白星のウイニングボールを渡され、「本当に1つ勝ててホッとしています」と胸をなでおろした。生まれ変わった立大は、やや遅咲きの“第2エース”を加えて心機一転、上位進出を狙う。