蹴球放浪家・後藤健生は、青春を生きている。U-23日本代表の2試合を「青春18きっぷ」でつないだのだ。今月行われたパリ…
蹴球放浪家・後藤健生は、青春を生きている。U-23日本代表の2試合を「青春18きっぷ」でつないだのだ。今月行われたパリ五輪予選前最後の調整試合の「隙間」をリポートする。
■無制限に乗り放題「青春に年齢制限なし」
「青春18きっぷ」というのは、名前を聞いたことのある方も多いでしょう。
3月1日から4月10日までの春休み期間の任意の5日間に使用することができます。その日は、朝から真夜中まで、北は北海道、南は九州・鹿児島までのJR全線に乗り放題。途中下車しようが、同じところを何往復しようが、無制限に乗り放題という優れモノ。しかも、5日分でわずか1万2050円。1日当たり約2400円という超特価です!
京都まで高速バスに乗っても5000円前後はかかります。でも、青春18きっぷなら、東京から京都に行って試合を見て、大阪経由で山口を経て北九州まで行っても、1万2050円で済むのです。
これを使うしかないではありませんか!
ちなみに、「青春18」という名称ですが、年齢制限があるわけではありません。
ただし、特急券や急行券が必要な特急、急行には乗れません。各駅停車と快速を乗り継ぐわけです。
■乗り継ぎの途中で「きしめん屋に入ってもOK」
こうして、僕の放浪の旅は3月22日の朝に始まりました。
午前8時23分に自宅近くの西武新宿線「上石神井駅」を出発(西武線内は別に乗車券が必要です)。そして、山手線「高田馬場駅」から「青春18きっぷ」を使ってJRに乗車。高田馬場駅を含めて8回各駅停車(および快速)列車を乗り換えて、予定通り、18時27分にはサンガスタジアム最寄りの「亀岡駅」に到着しました。試合後の亀岡から京都までも、当然「青春18きっぷ」は有効です。
ただし、午前8時23分から18時27分まで10時間以上、電車に乗っていなければならないのです。
まあ、乗り物好きでなければ我慢できないかもしれませんが、考えてみてください。電車の中は、座っていても立っていても自由です。時間に余裕があれば、途中下車してもいいのです。乗り継ぎの途中の豊橋駅できしめん屋に入ってもいいのです。
エコノミー・クラスの飛行機でヨーロッパまで行くのとは、比べ物にならないほどの快適さではないですか!
■グラウンドに水が浮かぶ「ラグビー場でサッカー観戦」
さて、京都で1泊して翌日はJRで大阪に出て、乗車賃を払って近鉄の「東花園駅」まで往復してFC大阪の試合を観戦(タダでさえピッチが荒れているラグビー場は、降り続く雨でグラウンドに水が浮いており、まるでラグビーのような大乱戦)。その後、山陽本線を西に西にと向かって、日曜日の夜は広島県の三原で1泊しました。
各駅停車では、その日のうちに山口まで行くことはできません。また、鉄道の歴史的な理由で、山陽本線の列車は三原駅、または隣の糸崎駅終着という列車が多いのです。
そこで、僕も山陽本線三原行きに乗って三原に到着。港町ですから魚は美味しいですし、広島県は酒どころ。三原の「酔心」というお酒をいただいて、ゆっくりと過ごしました。
そして、翌日は再び糸崎始発・岩国行きの山陽本線で西に向かい、岩国で乗り換え、新幹線が泊まる「新山口駅」からは山口線のディーゼル車に揺られて「維新みらいふスタジアム」最寄りの「大歳駅」で下車しました(山口市は県庁所在地なのに、山口線という単線のローカル線しかありません)。
■ウクライナに完勝「50年ぶりの記録更新」
この日もやはり雨中戦でしたが、激しい攻め合いとなって、なかなか面白い試合でした。
そして、試合後は市内行きのバスに乗って、ここでもタコの炙りや明太子の粕漬けを肴に山口県の地酒をいただいて、ほろ酔い加減で山口駅から再び列車を乗り継いで、3月23日の夜、小倉駅に到着したというわけです。
U-23日本代表がウクライナに完勝した試合を見た翌日は、福岡空港からLCCで成田空港まで。この日も「青春18きっぷ」を使って「小倉駅」から「博多駅」に向かい、成田到着後も「成田空港駅」から都内まで、再び「青春18きっぷ」を利用しました。
僕は、若い頃に各駅停車と快速を乗り継いで広島駅まで行ったことがありました。今回は、乗り継いで博多駅まで行ったわけですから、なんと50年ぶりに記録を更新したことになります。