<大相撲三月場所>◇十二日目◇21日◇大阪・エディオンアリーナ  三月場所終盤戦、新鋭の前頭十七枚目・尊富士(伊勢ヶ濱)と前頭五枚目・大の里(二所ノ関)が快進撃を続けるなか、“もうひとりの若手”がダークホースのように優勝戦線に躍り出た。入幕…

<大相撲三月場所>◇十二日目◇21日◇大阪・エディオンアリーナ

 三月場所終盤戦、新鋭の前頭十七枚目・尊富士(伊勢ヶ濱)と前頭五枚目・大の里(二所ノ関)が快進撃を続けるなか、“もうひとりの若手”がダークホースのように優勝戦線に躍り出た。入幕5場所目の前頭六枚目・豪ノ山(武隈)だ。

【映像】関脇を圧倒した豪ノ山(十二日目ハイライト)

 当時十両だった令和5年(2023年)五月場所では、落合(現・伯桜鵬)と14勝1敗同士という史上初のハイレベルな優勝決定戦を制して十両優勝を遂げた豪ノ山。翌七月場所で新入幕を果たすと初日から5連勝、15番取って2ケタ勝利の活躍を見せ、見事に敢闘賞を受賞した。

 平成10年(1998年)生まれの25歳。身長178センチとやや小柄ながら体重は158キロあり、強烈な突き・押しで攻める馬力が持ち味だ。元大関・豪栄道の武隈親方が令和4年(2022年)2月に創設した武隈部屋から誕生した初の幕内力士でもある。出身は大阪府寝屋川市で、今場所は“ご当地場所”で地元の声援を受けながら土俵に上がってきた。

 初日、二日目と2連敗の黒星スタートとなったものの、その後は持ち直して連勝が続き、十一日目には8勝目を挙げて勝ち越しを決めた。新入幕・尊富士とざんばら髪・大の里の快進撃が話題を呼ぶなか、ここまで3敗を守って成績上位に食らいついてきた“もうひとりの若手力士”なのだ。

 十二日目の対戦相手は次期大関候補の呼び声も高い関脇・大栄翔(追手風)。豪ノ山にとっては埼玉栄高校の5学年離れた先輩であり、同じく突き・押しを得意とするパワー型だ。対戦成績は初顔合わせから3連敗の0勝3敗と合い口の悪い相手でもある。

 だがご当所大阪の声援が後押ししたのだろうか、この日の豪ノ山は一味違った。立ち合い互角の当たりでぶつかると、大栄翔の強烈な突っ張りにひるまず、いなしてからはたき込んで勝利。客席からは大きな歓声が沸き起こった。大栄翔戦で初めて白星を手にした豪ノ山は9勝目。敗れた大栄翔は7敗目を喫した。

 豪ノ山が見事に勝利すると、ABEMAの視聴者からは「大阪パワー!」「地元大阪で気合はいってるな」「やったね」「着実に成長していますね」と歓喜の声が殺到。「ここも世代交代か」「若い力が凄い」「若手がすごいポコポコ出てきてる」「若手が勝ってるな」といったコメントも相次いで寄せられた。

 これで9勝目を挙げ、2ケタ勝利まで星1つと迫った豪ノ山。十二日目の全取組を終え、尊富士、大の里が黒星を喫したため、幕内優勝争いはトップが1敗で尊富士、次いで3敗の大関・豊昇龍(立浪)、大関・琴ノ若(佐渡ヶ嶽)、大の里、豪ノ山の4人が星2つの差で追う展開となった。地元の声援を背負った”ダークホース”の逆転劇はあるだろうか——。(ABEMA/大相撲チャンネル)