「暑さ寒さも彼岸まで」とは昔から使われる慣用句だが、開催中の第96回選抜高校野球大会は少し様相が異なる。初日から…

【京都外大西-山梨学院】強風でグラウンドにゴミが飛散し、試合が中断される場面があった=阪神甲子園球場で2024年3月20日、吉田航太撮影

 「暑さ寒さも彼岸まで」とは昔から使われる慣用句だが、開催中の第96回選抜高校野球大会は少し様相が異なる。初日から寒かったが、「春分の日」の20日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)は北海道から駆けつけた応援団ですら震える風雨に襲われた。

 午前9時過ぎに始まった第1試合の別海(北海道)―創志学園(岡山)戦。「寒くてペンが持てない……」。記者が甲子園の記者席で体をすぼめていた中、三塁側アルプススタンドを見ると、北海道別海町から駆けつけた人々が声援を送っていた。

 記者がアルプススタンドに行くと、「寒い、寒い」と思わずつぶやいたのは、別海町の酪農業、坂本和平さん(73)。ダウンコートをしっかり着込んでいたものの、「北海道から来てるのに。こんなに寒いと思わなかった」。保温性の高い肌着を身につけてきたという酪農業、小原登代子さん(61)も「思ったより寒くてびっくりした。別海町の10度はもっと暖かい。甲子園は風が冷たい」と体を震わせた。

 別海の島影隆啓(たかひろ)監督は試合後、「北海道の寒さとは質が違う。風が冷たくて寒いなと思いながらやっていたが、太陽が出てきて暖かく感じた」と話した。

 日本気象協会によると、西宮市の20日午前の気温は9~10度ほどで推移していた。別海町の3月の平均気温は氷点下1~2度。10度以上気温の高いはずの甲子園だが、吹きつける冷たい風に北海道民ですら凍えていた。

 あまりにも強い風は、思わぬ形でゲームにも影響した。山梨学院と京都外大西が対戦した第2試合では、観客席からグラウンドに飛ばされたゴミが舞い落ち、それを審判らが拾うために試合中断が相次いだ。

 試合途中からは雨も降り、山梨学院の針尾泰地内野手は「めっちゃめちゃ寒かったです。風も強くて雨も冷たくて……。みんなポケットにカイロを入れて、手がかじかまないようにしていました」。京都外大西の相馬悠人内野手も「指先の感覚がなくなってきて、足も動かなくなった」と振り返った。

 球場でホットコーヒーを売り歩いていた女性(19)によると、普段は風が通りやすくて寒いスタンド上段の方が売り上げがいいが、「今日はお客さんが凍えているのでどこからでも注文が取れます」と話す。普段の倍近いペースで売れているといい、「今日は過去イチです」と精を出した。

 21日の西宮市も最高気温は10度を切ると予想されている。週末は雨の予報で、引き続き防寒対策が必須だ。【円谷美晶、大東祐紀】