東京ヴェルディは16年ぶりに復帰したJ1で、4試合を終えてまだ勝利がない。U-20女子アジアカップで、3連覇していたU…
東京ヴェルディは16年ぶりに復帰したJ1で、4試合を終えてまだ勝利がない。U-20女子アジアカップで、3連覇していたU-20女子日本代表(ヤングなでしこ)が準優勝に終わった。結果だけ見れば残念だが、内容は誇っていいものである。両チームの「志の高いサッカー」の意義を、サッカージャーナリスト後藤健生が敬意をこめて語る。
■アジア女子サッカー界の「ツートップ」が激突
さて、味の素スタジアムで東京ヴェルディとアルビレックス新潟の試合を見た同じ3月17日の夜には、AFC U-20女子アジアカップの決勝戦があり、この大会(前回大会までは「U-19女子アジアカップ」)で3連覇中のU-20女子日本代表(ヤングなでしこ)が決勝戦で北朝鮮と対戦した。
北朝鮮は日本が3連覇した3大会を含めて、5大会連続で準優勝に終わっており、彼女たちにとって、この大会の優勝はまさに悲願ということになる。
2月に行われたパリ・オリンピック最終予選でも、北朝鮮は日本女子代表と大接戦を演じており、両国はアジアの女子サッカー界の頂点にあるチームだ(3月15日に発表されたFIFAランキングでは日本が7位、北朝鮮が11位と順位が離れたが、これは新型コロナウイルスのパンデミックのため、北朝鮮が国際試合から離れていたことの影響が大きい)。
さて、そのU-20女子アジアカップ。グループリーグで日本は北朝鮮に敗れて2位通過となったものの、準決勝のオーストラリア戦は5対1と圧勝していた。
5ゴールを決めただけでなく、前線からプレッシャーをかけ、セカンドボールもほとんどすぐに回収し、ほとんどオーストラリアに攻撃機会を与えることすらなかったのだ。早い時間にCKから1点を奪った後、なかなか追加点が奪えなかったものの、後半の終盤に連続ゴールを決めて5得点も奪っていた。
したがって、北朝鮮との決勝戦でもオーストラリア戦のような内容を期待された。
そして、前半は期待通り、日本がボールを保持して攻撃。20分には右サイドを崩して、辻澤亜唯がクロスに合わせてリードも奪った。だが、時間の経過とともに北朝鮮の縦に速い攻撃に防戦に回る時間が長くなっていった。
右サイドハーフでキャプテンのチェ・ウンヨンとサイドバックのキム・カンミが絡む攻撃が脅威となり、前半終了間際にはチェ・ウンヨンからのクロスを飛び込んできた左サイドバックのジョン・リョンジョンにヘディングで決められて追いつかれ、そして後半は明らかに北朝鮮が優勢で、日本の守備陣はなんとか耐えていたものの、86分にやはり右からのクロスを再びジョン・リョンジョンに決められた日本は準優勝に終わった。
■圧勝したオーストラリア戦との「最大の違い」
日本が圧勝したオーストラリア戦との最大の違いは、日本のプレスがはまったかどうかだった。
オーストラリア戦では前線からのプレスがはまって相手に攻撃機会を与えず、また、高い位置で奪ってショートカウンターでチャンスを作り続けることができた。
だが、北朝鮮相手にはそのプレッシャーが効果を発揮しなかったのだ。
北朝鮮の選手たちは(オリンピック最終予選で対戦したフル代表もそうだったが)、日本の前線からのプレスをかいくぐってパスをつなぐだけのテクニックを持っていた。
日本ように、角度をつけたワンタッチパスを回すようなことはできなくても、相手のプレスをかわして、正確なロングボールを蹴る技術。ドリブルで縦に運ぶ推進力、迫力という意味では日本を上回っていた。
こうして、相手をはめこんだオーストラリア戦では快勝したの対して、そのプレッシングが効かなかった北朝鮮戦では劣勢に陥ってしまったのだ。
この点は、日本のサッカー界に共通した弱点である。プレスが効かなくなってしまった場合どうするのか。それが、大きな課題となる。
相手がしっかりパスをつないで攻めてきてくれた場合には、日本の選手たちの戦術に忠実なプレーで相手を追い込んでボールを奪って優勢に試合を進めることができる。
だが、プレスをかけてもかわされた場合、あるいは相手がアバウトなロングボールを蹴り込んできたときに危険な状況を招いてしまうのだ。
1月に行われたアジアカップに出場した日本代表が、まさにこのパターンで苦戦したことは記憶に新しい。