3月18日、千葉市内でサッカー日本代表が活動を開始した。3月21日に国立競技場で、26日に平壌で行われるW杯2次予選・…

 3月18日、千葉市内でサッカー日本代表が活動を開始した。3月21日に国立競技場で、26日に平壌で行われるW杯2次予選・北朝鮮戦に挑むためのものであると同時に、まさかの敗退となったアジアカップから再起を期すものとなる。そしてこの日、第2次森保ジャパンのこれまでとは違った雰囲気に包まれた。

 強い風が吹き荒れた練習場。フィールドで練習した選手は7人で、室内調整を行ったのは5人。その7人の先頭を切って走ったのは長友佑都だった。現在37歳の長友は、これまで4大会連続でワールドカップに出場するなど生き字引的存在だったが、カタール大会での活動を最後に第2次森保ジャパンでは召集されていなかった。

 しかし、今回の北朝鮮との試合を前に1年3か月ぶりに召集されている。第2次チームへの合流は初めてとなったが、「今朝は4時とか5時に目が覚めた。細胞たちがうずいてたので“いったん落ち着け”と細胞たちに言ったんだけど、それぐらいもう楽しくて仕方ない」と独特の言い回しで自身の高揚を表したように、早くも出力は全開だった。

■ゲームメーカーの意味

 最初のランニングで先頭を走ったのは序の口。その後のボール回しなどでは、「もっとコミュニケーショ取ろうよ」「もっとしゃべって」と、大きな声でチームメイト同士での会話を促した。さらに、一つ一つのリアクションもかなり大きめ。

 練習後の長友は「アジアカップまではすごくみんな躍動していて、意欲と覇気があるなと、強いなと思っていた。それがアジアカップでは覇気がなかったなと。何が影響したのかは分からないけど」と語っていただけに、そんなチームに元気を注入するかのように、行動と声で示していた。

 そんなベテランの姿を見て引っ張られたのはコーチ陣も同じだった。名波浩コーチは練習中の長友に対して、「ゲームメーカーね」と声を出す。長友も、「俺がゲームメーカー?」と聞き直し、名波コーチがうなずくのを確認すると、「よっしゃ。ゴールも取ったしね」とさらに声を大きくした。この合宿を目前とした3月16日のJリーグで37歳のベテランSBは2010年以来となる14年ぶりのゴールを記録してチームの勝利に貢献していたが、自らそれを出して名波コーチの発言に乗ったのである。

 名波コーチが「ムードメーカー」と言い間違えたのか、あるいは、ゲームメーカーと言えるほどに雰囲気を変えたことを意味していたのかは分からないが、それほどに、練習の空気感は変わっていた。

■コーチの2人の表情にも変化

 また、フィールドでの5選手が25秒間で何回ボールをカットできるのかを交代で競う場面があった。その最後を締めくくったのが長友だったのだが、その直前、名波コーチと前田遼一コーチがペットボトルで芝に水をまき始める。ボールが早く走らせて長友のカット回数を減らさせようとするためのもので、その表情は笑顔。それほどまでに、一人の選手の存在感は抜群だった。

「僕のこの熱に(他の選手が)引いていて、最初はちょっと距離を取られましたが、練習で心が近づいた。さらにグッと入っていける」

 長友はこう振り返っているから、きっと手応えがあったはずだ。

(後編へ続く)

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