韓国ラグビー界にごたごたが発生している。 大手通信社、聯合ニュースは7月末、大韓ラグビー協会(KRU)が代表監督らに処分を下したと伝えた。内容は、代表選手選出や強化を担当するチョ・ソンチョル技術強化委員長を解雇、ジョン・ウォルターズ監督に…

 韓国ラグビー界にごたごたが発生している。
 大手通信社、聯合ニュースは7月末、大韓ラグビー協会(KRU)が代表監督らに処分を下したと伝えた。内容は、代表選手選出や強化を担当するチョ・ソンチョル技術強化委員長を解雇、ジョン・ウォルターズ監督に4か月資格停止というもの。同時に処分を付託されたチェ・ユン副会長は現在も結論が出ていない。

 報道によると処分理由は、今年のアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)期間中に起きた。韓国代表は4月、日本代表に連敗。続く香港代表戦(5月27日、韓国で開催)に向けた強化のためにウォルターズ監督の母国ニュージーランドで2週間、合宿を実施した。しかし、協会はこの合宿が協会理事会の了解を得ないままおこなったとしてチョ委員長を「職権乱用」、ウォルターズ監督を「職務怠慢」で懲戒した。
 報道では協会側は「理事会の議決もイ会長の承認も無く、合宿を引き留めたにもかかわらず代表チームが無視した」としている。この海外合宿費用はチェ副会長が支出した。
 処分に対し当事者は反発している。チョ委員長は「協会の要請によってアフロが合宿を支援した。協会事務局が訓練日程と宿泊先をとっているのに承認が無かったというのは話にならない」と主張している。ウォルターズ監督は当惑している。チェ副会長は「具体的な内容は話し難い」と言葉を控えている状態だ。

 チェ副会長は、2015年に就任した。愛知県出身で高校時代に楕円球に親しんだ。韓国でラグビー経験はない。愛知で事業をおこない韓国では貯蓄銀行(消費者金融にあたる)アフログループで事業を展開している。就任以降、積極的に韓国ラグビー界発展のために私財をつぎ込んでいる。2016年秋に実施した初のチリ遠征も支援した。また社会人チーム数が少なく大学卒業後や軍体育部隊(尚武)除隊後、ラグビーができない選手のために自社への採用も始めている。「支援額はイ・サンウンKRU会長よりも多い」(元KRU役員)。

 ウォルターズ監督の困惑も当然だろう。2016年に韓国代表初の外国人監督として招かれた。香港代表監督なども経験しアジアのラグビーを知りつくしており選手と共に強化中、2019年ワールドカップ最終予選出場を目指している。しかし処分が言われなきものである以上、わざわざ望んで監督を続ける選択はないと思われる。

 今回のごたごたは協会幹部の勢力争いも伝えられている。報道は2016年9月、1年ぶりに復帰したチェ・ギロク専務理事が「協会を掌握するために自分の気にいらない人物を切り、懲戒した」(上部団体の大韓体育会関係者)と伝えている。本人と協会は「否定」。
 現在、韓国代表は活動を休んでいる。今秋の活動もARC日本戦後、ウォルターズ監督は「未定」としていたが来年までは実現しないようだ。

 海外合宿については最近、KRUサイトに珍しい記事が出た。8月4、5日にU20アジア大会を控えた男子セブンズ代表が1週間、中国に遠征し中国代表と合同練習をおこなった(女子代表も参加)。この合宿を「イ会長とシム・ヨンボク副会長が支援した」と掲載した。
 ある韓国代表選手は嘆く。「協会の上の方が勝手なことをしている。韓国ラグビーのためにつながらない」。社会人チーム関係者は「今回の話は自分たちが話せることではない」。
 波乱は続きそうだ。(文:見明亨徳)