アジアカップ2023(カタール)に挑むメンバー26人の発表はタイ戦終了後の1月1日の夕方。森保一監督はすでにある程度の…
アジアカップ2023(カタール)に挑むメンバー26人の発表はタイ戦終了後の1月1日の夕方。森保一監督はすでにある程度の骨子を固めており、タイ戦に出た選手のパフォーマンスやコンディション、まだ欧州に残っている選手の状態を勘案し、最終的な陣容を固める見通しだ。
このうちFW陣に目を向けると、同じ26人枠だった2022年カタールワールドカップ(W杯)が浅野拓磨(ボーフム)、前田大然(セルティック)、上田綺世(フェイエノールト)、町野修斗(キール)の4枚だったことから、今回も同数になる可能性が大だろう。
その前提で、今回のメンバーを考えてみると、まず森保監督が最も信頼を寄せる浅野は当確。カタールW杯のドイツ戦、今年9月のドイツ戦(ヴォルフスブルク)など大舞台になればなるほど勝負強さを発揮し、ゴールという結果を残す愛弟子のことを指揮官が外すわけがない。
しかも今季は前半戦だけでドイツ・ブンデスリーガ1部キャリアハイの5ゴールをゲット。ポストプレーにも磨きがかかっており、成長著しい状況だけに、今大会でもFWの主軸と位置付けるはずだ。
「今はボーフムで『自分次第で試合が動くな』と感じるくらいチームの中心としてやれていると言う自覚はある」と本人も自信をのぞかせる。タイ戦はおそらく回避になるだろうが、今はいい状態に引き上げることが最優先。そこに集中すべきである。
■今年最大の一戦でのスタメン抜擢
タイ戦を前に体調不良に陥っている上田もやはり欠かせない存在と見ていい。今年最大の見せ場となったドイツ戦で森保監督が彼をスタメンに抜擢したのを見ても、重要戦力と位置付けていることの表れ。11月シリーズで5ゴールの固め取りをしたことも、本人の自信につながっているのではないか。
一抹の不安があるとしたら、代表活動のたびにケガや体調不良などのアクシデントに陥りがちな点。現在も体調不良に加えてケガがある様子で、アジアカップのような長丁場の大会になれば、より入念なコンディション維持に努めなければならない。そこは本人もよく分かっているはずだ。
所属のフェイエノールトが冬の移籍期間に新たなFW獲得を画策しているという報道もあり、上田はアジアカップで圧倒的な結果を残してチームにももうアピールしなければならない。1年前に苦い思いをしたカタールで成長の跡を示したいところだ。
残り2枠は少し判断が難しい。というのも、古橋亨梧、前田大然のセルティック勢が今季はやや停滞した印象を残しているからだ。
古橋はここまでリーグ7得点。UEFAチャンピオンズリーグでもゴールしているが、スタメン落ちする試合もあるなど、昨季ほどの圧倒的な勢いはない。前田にしてもケガで1カ月半もの長期離脱を強いられ、12月下旬になって公式戦に戻ってきたものの、まだ調子が上がり切らない様子だ。しかもポジションは右サイドがメインで、FWはほとんどやっていない。それを森保監督がどう考えるのか。
■アジア制覇に欠かせない点取り屋の系譜
おそらくポストプレーに優れる伸び盛りの細谷はタイ戦に出て、そのまま滑り込むだろうから、古橋か前田のいずれかが落選することになりそうだ。カタールW杯の実績と爆発的な速さなら前田だが、裏抜けと俊敏性がほしいなら古橋ということになる。最終的に指揮官が何を取るのか非常に興味深いところだ。
いずれにしても、得点力のあるFWがいなければ、アジア制覇は難しい。1992年広島大会の中山雅史(沼津監督)、2000年レバノン大会の高原直泰(沖縄SV)と西澤明訓(代理人)、2004年中国大会の玉田圭司(長崎アンバサダー)、2011年カタール大会の前田遼一(日本代表コーチ)と岡崎慎司(シントトロイデン)といった具合に、確固たる点取り屋がいた時の日本は頂点に立っている。
今回のFW陣はその系譜を次ぐことができるのか。まずはタイ戦、そして試合後のメンバー発表を待ちたい。