お手本のような美しいプルアップシュート、滞空時間の長いダブルクラッチ、相手を巧みに交わすトリッキーなドライブ。瀬川琉久(2年…

 お手本のような美しいプルアップシュート、滞空時間の長いダブルクラッチ、相手を巧みに交わすトリッキーなドライブ。瀬川琉久(2年)が繰り出す多彩なオフェンスは、華麗さと力強さを感じさせる。

 圧倒的な攻撃力でスコアを量産する背番号5は、自身初の経験となった今夏のインターハイで平均24得点をマーク。中学時代に味わった日本一には届かなかったが、チームの準優勝に大きく貢献した。高校の全国レベルでも瀬川を止められる選手はそういない。しかし、東山の主将を務める小泉広翔(3年)は笑いながらこう話す。

「琉久を止めるのは自分が日本で一番上手いと思いますよ」

 小泉はチーム屈指の守備職人でもある。そのため、練習では毎日のように瀬川と激しいマッチアップを繰り広げ、切磋琢磨する間柄だ。「いい意味で先輩をナメてる可愛い後輩」と瀬川について話す小泉でさえ、「琉久がいないと勝ちきれない試合も多いので、本当に助かってます」と後輩の頼もしさを語る。

 ポイントガードとしてコートに立つ瀬川は、自身の得点だけでなく味方を気持ちよくプレーさせなければならない。「U18日清食品トップリーグ2023」を2位で終えたあと、「最近はちょっとパスに凝りだして、 その判断が少し悪い部分がありました」と大澤徹也コーチが指摘すれば、本人も「パスファーストでプレーする部分がありました」と認めた。

 しかし、夏以降の試行錯誤の日々や実戦経験を通して、「やっぱり自分が攻めることによって相手が守りにくくなる」と再確認した瀬川。エースとして得点を稼ぐことに比重を置きつつも、ゲームコントロール、アシストとのバランスの取り方を覚え、福岡第一高校(福岡県)とのトップリーグ最終戦では「瀬川が吹っ切れたようなバスケットやっていました」と大澤コーチも評価した。

「琉久は今、自分が得点を取ること以外の部分で悩んでいるんですけど、ウインターカップまでには仕上げてくると思うのでそこは心配していません」

 小泉の予想どおり、瀬川は「今まで迷っていた部分が吹っ切れました」と、冬の大舞台を前に確かな手応えをつかんだ。東山が誇る超攻撃型ガードは、今まで以上に脅威の存在となってウインターカップのコートに立つ。

文=小沼克年

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