卓球のパリ2024オリンピック日本代表選考会が最終戦の「2023全農CUP大阪大会」<11月25~26日/Asueアリーナ大阪)を終えた。結果は急成長の15歳・張本美和(木下アカデミー)が選考会初優勝。選考ポイント首位を独走する早田ひな(日…
卓球のパリ2024オリンピック日本代表選考会が最終戦の「2023全農CUP大阪大会」<11月25~26日/Asueアリーナ大阪)を終えた。
結果は急成長の15歳・張本美和(木下アカデミー)が選考会初優勝。選考ポイント首位を独走する早田ひな(日本生命)をゲームカウント4-2で撃破し、なかなか勝てなかった女子のエースから今年7度目、トータル9度目の挑戦で初勝利を奪った。
卓球のオリンピック選考としては異例の国内選考会。日本人選手同士がトーナメントでぶつかり合う過酷な戦いとあって、全ての選考会が一段落した選手たちに安堵の表情が浮かぶ。
選考ポイントの対象大会はまだ年明けの全日本選手権が残っているが、女子は選考ポイント1位独走の早田ひな(日本生命)がシングルス代表の座を確実にした。
選考会6回のうち優勝3回、準優勝2回で790.5ポイントの大量得点を挙げた早田は今大会、智和の妹・美和に敗れたが、WTTチャンピオンズ フランクフルト(10月29日~11月5日)から帰国後はさらに競技レベルを上げるべく「新しい卓球」に取り組んでいるという。
早田の新しい卓球とは、ボールの回転量で勝負する卓球にスピードをプラスしたプレースタイルだ。
「私は回転でボールを操るのが得意だけど、逆に回転に頼りすぎてしまうところがある」と早田。そこで体の動きや腕の振りを速くしたり、打点を上げたりして打球スピードを高めている。
そのためのウェートトレーニングにも取り組み、特に上半身のフィジカル強化に励む。
「今日の試合でもスピードを出すことはできたが、勝ちには繋がらなかった。特にサーブ3球目、5球目。レシーブから4球目、6球目の部分でまだ技術がものになっていなくて迷いが出た」
モデルチェンジのきっかけはWTTチャンピオンズ フランクフルトで初対戦した王曼昱(中国)との準決勝だった。
現在、世界ランク2位の強敵にゲームカウント1-4で敗れた早田(世界ランク5位)は、自分のプレースタイルをあえて崩さないと中国のトップ選手に勝って世界一になれる可能性はないと感じたという。
「私が目指すのは半年後のオリンピック。だから今は勝てなくても我慢するとき。そんな中で選考会2位は自信になった。試合前は3割ぐらいの完成度だったのが、試合をして50(5割)ぐらいになった」
初めて早田に勝ち、選考会で初優勝した張本美和は率直に喜びを口にする。
前回の選考会やWTTチャンピオンズ フランクフルトでは負けた悔しさと、思うようにプレーできない不甲斐なさとで大粒の涙をこぼすこともあったが、見違えるような笑顔だ。
「これまで全日本だったり選考会だったり国際大会だったり、いろんなところで対戦して、そのたびに負けて負けてという感じだった。選考会の決勝という舞台で早田選手に勝てたことは自信になりましたし、優勝もあまりないので、そこを乗り越えることができて本当に良かった」
「戦術の部分では上手くいった部分もあれば、実力は早田選手の方が上なので、1本1本の質をもっと上げていきたい。そうすれば戦術がちょっと悪くてもラリーに持ち込んで戦える」
今回の優勝でパリオリンピックの選考ポイントは6位から5位(330.5ポイント)に浮上。シングルス2枠に入るのは厳しい状況ではあるが、存在感は十分に発揮できたといえるだろう。
その点について本人は「現状、平野選手と伊藤選手(の代表入り)が濃厚だと思うので、私自身(パリオリンピックの代表選考ポイントは)そんなに意識していないが、1個1個世界ランクを上げたい気持ちはある。行けるところまで行けたら」と話している。
僅差で選考ポイント2位争いを繰り広げる平野と伊藤はともに上位進出ならず、平野は6位、伊藤も7位にとどまった。
2人の位置関係は大会前と変わらず平野が2位(486ポイント)、伊藤が3位(451.5ポイント)。得点差も24.5ポイントから34.5ポイントに開いただけだ。
今後、中国トップ3選手に勝ったときのボーナスポイントや全日本選手権の選考ポイントなどで形勢はどうなるか?
ちなみに伊藤は来月、WTT女子ファイナルズ名古屋(12月15~17日/名古屋金城ふ頭アリーナ)の出場権があり、そこに中国トップ3選手も参加する。
オリンピックのシングルス初代表を狙う平野が2位を守りきり残り1枠を死守するか、それとも伊藤が逆転するか。熾烈な女子代表争いは大詰めを迎えている。
(文=高樹ミナ)
【第6回パリ五輪日本代表選考会 女子シングルス順位】
順位:名前(所属)獲得ポイント
1位:張本美和(木下アカデミー)100P
2位:早田ひな(日本生命)90P
3位:木原美悠(木下グループ)80P
4位:長﨑美柚(木下グループ)70P
5位:大藤沙月(ミキハウス)60P
6位:平野美宇(木下グループ)50P
7位:伊藤美誠(スターツ)40P
8位:横井咲桜(ミキハウス)30P
【女子上位10名 パリ五輪選考ポイント(2023年11月27日現在)】
順位 選手名 合計ポイント 世界ランク
1位 早田ひな(790.5P)5
2位 平野美宇(486P)17
3位 伊藤美誠(451.5P)10
4位 木原美悠(354P)23
5位 張本美和(330.5P)14
6位 長﨑美柚(278P)25
7位 佐藤瞳(252P)232
8位 大藤沙月(226P)-
9位 芝田沙季(205P)-
10位 安藤みなみ(165P)137
※世界ランク updated on 2023/11/28