いよいよ明日に迫ったJBC。「ダート競馬の祭典」と言われ、1日に4つものGI/JpnIが行われる。大井競馬場でクラシック、スプリント、レディスクラシック、門別競馬場で2歳優駿が予定されており、そのお祭りのような雰囲気はトップジョッキーだ…

 いよいよ明日に迫ったJBC。「ダート競馬の祭典」と言われ、1日に4つものGI/JpnIが行われる。大井競馬場でクラシック、スプリント、レディスクラシック、門別競馬場で2歳優駿が予定されており、そのお祭りのような雰囲気はトップジョッキーだった福永祐一調教師も現役時代に体感したそうだ。

「僕がJBCを勝ったのは2018年ケイティブレイブで、その時は初めてJRAの競馬場での開催。京都競馬場だったから、あんまりJBC感はなかったですけど、やりたい競馬ができて勝てて嬉しかったですね」

 JBCは毎年、持ち回り制で開催競馬場が変わる。ここ3年だけ見ても大井、金沢、盛岡と、直線の長さも1周距離もバラバラで特徴の異なる競馬場。馬にとってそれは重要なファクターになると福永調教師は話す。

「馬にとってピーク期はそんなに長くありません。GIを勝てる状態にある時に、その馬に合ったコースで行われればいいですけど、例えば小回りの金沢・浦和と、広いコースの大井・盛岡では傾向が全然違います。だから、馬が持っている運もあると思います。

 ケイティブレイブは小回りよりも直線が長めの舞台に適性がありましたから、もしも金沢や浦和でJBCが行われていれば、勝てたかは分からないです。あの時、京都で開催されたという点が、この馬にとっては幸運でした」

 では、今年開催される大井コースを得意とするのはどういう馬なのか。

「紛れが少なくて力のある馬が能力を発揮しやすいので、人気馬にとっては安心なコースです。ただ、レディスクラシックが行われる1800mはスタートから最初のコーナーまでの距離が短いので、いいスタートを切れなかった時の選択肢はすごく狭くなってしまいます」

 JBCスプリントでは、福永調教師が引退レースのリヤドダートスプリント(サウジアラビア)で騎乗したリメイクが出走を予定しており、こちらは「瞬発力のある馬で、大井1200mは適した舞台だと言えると思います」と期待を寄せる。

 一方で、ポイントとなるのは今開催直前に入れ替えられた砂。大井競馬場では、オーストラリア産の砂に全面入れ替えを行い、門別、船橋、園田競馬場で導入されているのと同じ砂になった。

「船橋ではキックバックがつかなくて、乗りやすかったです。サラサラしていて、ちょっと力がいるようになるのかな、という印象でした。大井も同じ傾向が反映されるとすれば、ちょっと時計がかかるかもしれないですね。パウダースノーを走るのってしんどいでしょ? それと同じで、砂利が入っていると引っ掛かりができて走りやすいですけど、サラサラだと時計が掛かって、直線も長いので差し馬の台頭が目立つようになるかもしれないです。あくまで予測であって、実際に乗っていないので分からない部分はありますけどね」

 砂が替わるだけで、傾向はガラッと変わる。JBCを前に馬場傾向の把握は必要だろう。

「JBCは門別で2歳優駿も行われて、そちらは地元馬が強いイメージがあります。1日に複数のGI/JpnIを行うのは世界の主流で、それを国内で先駆けて地方競馬がやっていることは素晴らしいと思います。日本で複数のGI/JpnIが行われるのはこの日だけなので、ファンのみなさんも楽しんでいただければと思います」

(文・大恵陽子)