秋が深まるドイツで「WTTチャンピオンズ フランクフルト」<10月29日~11月5日>が開幕した。チャンピオンズは卓球の海外ツアーWTTシリーズの中で最高グレードのスマッシュ、ファイナルズに次ぐハイレベルな大会だ。ここフランクフルトにも世界…

秋が深まるドイツで「WTTチャンピオンズ フランクフルト」<10月29日~11月5日>が開幕した。

チャンピオンズは卓球の海外ツアーWTTシリーズの中で最高グレードのスマッシュ、ファイナルズに次ぐハイレベルな大会だ。ここフランクフルトにも世界トップクラスの男女各32選手が一堂に会しタイトルを競う。

日本からは男子の張本智和(智和企画/世界ランク5位)と篠塚大登(愛知工業大学/33位)。

女子は早田ひな(日本生命/5位)、伊藤美誠(スターツ/9位)、張本美和(木下アカデミー/14位)、平野美宇(木下グループ/17位)ら選りすぐりのメンバーが出場する。


孫穎莎 PHOTO:World Table Tennis

世界最強の中国も鉄壁の布陣だ。

男子は最新の世界ランクで1位に返り咲いた樊振東と2位の王楚欽、さらに9月のアジア選手権で10年ぶり4度目の優勝を果たした五輪連覇の馬龍(世界ランク3位)、世界ランク6位の梁靖崑という顔ぶれ。

女子も世界ランク1位の孫穎莎を筆頭に2位の陳夢、3位の王曼昱、4位の王芸迪が立ちはだかる。


張本智和 PHOTO:World Table Tennis

男子日本のエース張本と篠塚、早田、張本美和は前戦WTTコンテンダーアンタルヤ(16~22日/トルコ)からドイツに入り、ドイツ代表チームの本拠地であるデュッセルドルフで練習を積んできた。

アンタルヤでは男子シングルスにエントリーせず混合ダブルスのみに絞り、早田とのペアで優勝した張本。

WTTチャンピオンズフランクフルトは男子シングルス1回戦で、パワーと粘り強さを兼ね備えた韓国のエース チャン・ウジンと激突する。

強敵といきなりの対戦だが、誰と当たっても勝ち上がりが難しいのがチャンピオンズだ。

張本がチャンを下すと2回戦はアルナ(ナイジェリア)とグロート(デンマーク)の勝者が相手。

2回戦も勝って準々決勝に駒を進めれば、おそらく台湾のエース林昀儒かフランツィスカ(ドイツ)のどちらかが勝ち上がってくるだろう。林とフランツィスカは1回戦で対戦する。

篠塚は王楚欽、梁靖崑のいる山に入った。1回戦の相手はピッチフォード(イングランド)で、これを突破すると2回戦は王楚欽と対戦する可能性が極めて高い。


平野美宇 PHOTO:World Table Tennis

一方、女子は早田、平野、張本美和が同じブロックに固まった。特に平野と張本は女子シングルス1回戦で当たってしまう組み合わせ。

いよいよ佳境を迎えたパリ五輪代表選考レースでは432ポイント獲得の平野が2番手につけるが、世界ランクをじわじわと上げる張本の成長はすさまじい。

WTTシリーズはパリ五輪代表選考ポイントの対象外(中国トップ3に勝った場合はポイントがつく)とはいえ、ここまで早田に次いで代表争いをリードしてきた平野は、そのプライドにかけてもこの試合を落としたくないだろう。

ちなみに2人の国際大会での対戦はこれが初となる。

早田はWTTコンテンダーマストカット(8~14日/オマーン)とアンタルヤで2週連続の女子シングルス優勝。アンタルヤでは張本とのペアで混合ダブルスも優勝し2冠達成で波に乗る。

今大会、狙うのはやはり打倒中国。今シーズンになって2度、王芸迪を破り、世界女王の孫穎莎とも接戦を繰り広げるなど着実に地力を上げているだけに期待が膨らむ。

早田の1回戦はドイツのベテラン、シャン・シャオナが相手。これに勝つと2回戦は平野と張本の勝者と対戦する。

この日本勢三つ巴の戦いを制した者が準々決勝で陳夢とあたる可能性が高い。

21日に23歳の誕生日を迎えたばかりの伊藤はパリ五輪代表選考レースで2番手の平野とデッドヒートの様相を呈している。

伊藤は現在411.5ポイント獲得で平野と20.5ポイント差。

伊藤の誕生日に行われたTリーグではバースデーウィンでチームの勝利に貢献し会心の"美誠スマイル"を見せたが、フランクフルトにもいい雰囲気のまま乗り込んでいる。

その伊藤は1回戦でメシュレフ(エジプト)と対戦。2回戦もミッテルハム(ドイツ)とハナ・ゴーダ(エジプト)という顔ぶれで、いずれも油断はできないが伊藤に分があると見られる。

準々決勝まで勝ち上がると王芸迪との対戦が濃厚で伊藤にとって最初の山場だ。

日本勢の初戦は大会2日目の30日。早田対シャン・シャオナが第1試合に登場し、これに篠塚対ピッチフォード、そして平野対張本美和と目の離せない対戦が続く。

張本智和と伊藤は31日に初戦を迎える。

(文=高樹ミナ)