撮影:小嶋勝美 9月に行われたパリオリンピック予選、ストリート・ローザンヌ大会で見事に準優勝を収め、オリンピックランキングは8位に浮上、日本勢の中でも3位にランクアップし、来年に控えたパリオリンピック出場(1カ国最大3名までの出場枠)に向け…

撮影:小嶋勝美

9月に行われたパリオリンピック予選、ストリート・ローザンヌ大会で見事に準優勝を収め、オリンピックランキングは8位に浮上、日本勢の中でも3位にランクアップし、来年に控えたパリオリンピック出場(1カ国最大3名までの出場枠)に向けて大きな一歩となった佐々木音憧(とあ)。

彼は今大会の開催場所でもあるDELIC SKATEPARKで日夜腕を磨くスケーターだ。

そんな佐々木にはローザンヌ大会後に大きな発表があった。

現在すでに4回行われているパリオリンピック予選大会ですでに3回優勝し(うち1回は怪我のため欠場)、世界最強のスケーターと名高いナイジャ・ヒューストンが立ち上げたデッキブランド「Disorder Skateboards(ディスオーダー)」の日本人第1号ライダーとなったのだ。

そこで、JSL終了直後にインタビュー取材を行い、気になるあれこれを聞いてみた。

◆【前編/JAPAN STREET LEAGUE 2023】第3戦は佐々木音憧が優勝 最強のルームメイトと目指すパリオリンピック出場枠

■オリンピック、そして世界屈指のチームへ

――今大会の感想とJSL最終戦に向けて意気込みをお願いします。

「まずJSL優勝できて嬉しいです。

決勝はラン1本目がボロボロだったけど、2本目は最後までしっかり決めきれて良かったです。ベストトリックもちゃんと2本決められたのは良かったけど、最後のノーリーヒールフリップノーズブラントに乗れなかったので、そこが悔しかったかなと。

JSLは日本でも大きな大会になってきているので、いろんな人にスケートボードを知ってもらう良い機会になっている大会だと思います。

今回は根附海龍が出ていないというのもあって、いつも根附海龍とはギリギリの戦いをしていたので(12月の)最終戦でもこの調子で勝ち上がって、しっかり1位をとっていきたいです!」

――いずれは(アメリカの)ストリートリーグも?

「来年にはストリートリーグに出られるようになりたいですね」

ナイジャ・ヒューストン@SLS東京大会にて 撮影:小嶋勝美

――ナイジャ・ヒューストンが手掛けるデッキブランド“Disorder”加入というビッグニュースの経緯を教えて下さい。

「(今年6月に開催された)オリンピック予選のローマ大会が終わって、飛行機の乗り継ぎしている時にインスタグラムを見ていたらナイジャからDMが入ってきていたんです。

英語だったのでそのまま翻訳したら「ウチのチームに入ってくれ」という内容の文章が送られてきていて、その時は横に(共に五輪予選に出場している)松本浬璃(かいり)がいたんですけど、翻訳した時に「おー!まじか!」って2人で飛び跳ねたっすね(笑)」

――ナイジャってどんなイメージだった?

「何年間もSLSなどで勝ち続けているので、本当に大会では王者という感じです」

――ビッグニュースに加え、来年はパリオリンピックとさらに忙しくなりそうですが、今の生活スタイルはどんな感じですか?

「普段はスケートパーク(DELIC SKATEPARK)が13時にオープンするので30分前くらいに来て、お店を掃除したりしてオープンさせてからは21時まで滑っています。

学校は通信制に通っていて、(小鈴)祥大と(兄の)来夢の3人でスケートパークの近くでルームシェアをして暮らしています」

佐々木兄弟の兄・佐々木来夢(右)お互い全く違うスケートスタイルながらも切磋琢磨し、お互いの存在が刺激になっているという撮影:小嶋勝美

――9月のパリオリンピック予選ローザンヌ大会では、自身初の決勝進出を果たし2位。これまでと変わった点と、来年のオリンピックが近づいてきて今の心境は?

「まずメンタル面が強くなったと思います。

今までいろんな大会で結構ボロボロだったのが、最近急に乗れるようになってきたのは、自分に自信を持とうと思ったのがきっかけで、そこは強くなったと思います。

オリンピック出場に関しては、以前はそんなにがっつり狙っているという感じではなくて、出られる順位(オリンピックランキング)にはいたから、ちょっと狙ってみようかな?くらいの感じだったんですけど、9月のローザンヌ大会の結果で出場できる一歩手前まできたと思うので、今後はオリンピックもちゃんと視野に入れてやって行こうかなと思います」

――16歳の佐々木選手にとってオリンピックってどんなイメージ?

世界が注目しているので、いい成績を残していければ(日本での)スケボーの価値ももっと変わってくると思うし、良い意味でもっとスケーターも増えるのかなと思います。

――12月に有明で開催される世界選手権(オリンピックランキングポイントが最も多く加算される重要な大会)について意気込みをお願いします

「スイス大会で2位になれたので、この調子でできるだけ上位をキープしたいです」

今後も日本を代表するスケーターに成長した彼の動きに目が離せない。

■PUNK HEAPSリザルト

DELIC SKATEPARKのオーナーで佐々木兄弟を幼少期からサポートしてきた豊嶋悠輔氏と上位3名 撮影:小嶋勝美

1位・佐々木 音憧 -267.67(8.67/91.50/86.50/89.67/0.00/0.00/0.00) 2位・浦野 建隼 -261.93(3.67/81.63/0.00/90.00/90.30/0.00/0.00) 3位・山附 明夢 -259.37(32.57/90.57/0.00/81.73/87.07/0.00/73.33) 4位・佐々木 来夢 -234.06(29.33/52.33/0.00/91.33/90.40/0.00/0.00) 5位・張 爾洙 -219.64(46.27/36.30/0.00/83.17/0.00/0.00/90.20) 6位・齋藤 吟平 -162.64(82.53/87.17/75.47/0.00/0.00/0.00/0.00) 7位・柿谷 斗輝 -149.27(68.80/28.03/0.00/80.47/0.00/0.00/0.00) 8位・浦野 晴 -112.50(26.90/28.83/83.67/0.00/0.00/0.00/0.00) ※()内はスコア内訳

◆【JAPAN STREET LEAGUE 2023】第2戦 根附海龍が世界最高峰への挑戦権を獲得、繋がったSLSへの道 前編

◆【X Games】自分に勝ち続けるスケーター小野寺吟雲が史上最年少優勝 トニー・ホークも絶賛の別次元トリック

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■著者プロフィール

小嶋勝美●スケートボードライター

スケートボードライター兼放送作家で元芸人のスケーター。 スケートボード歴は一応25年くらい。