ラグビーワールドカップ2023フランス大会におけるジャパンの第3戦が28日(日本時間29日)に行われる。対戦相手はサモア。ベスト8進出をかける大一番を占ってみよう。◆サモア戦にレメキが初先発、姫野和樹、堀江翔太もメンバー入り ベスト8へ望み…
ラグビーワールドカップ2023フランス大会におけるジャパンの第3戦が28日(日本時間29日)に行われる。対戦相手はサモア。ベスト8進出をかける大一番を占ってみよう。
◆サモア戦にレメキが初先発、姫野和樹、堀江翔太もメンバー入り ベスト8へ望みつなぐか
■FBレメキ、WTB松島でサモアを撃退するか
ジャパンはチリを42-12で下したものの、第2戦のイングランド戦を12-34で落としてしまった。イングランドに勝てば予選プール突破に王手がかかっただけに、手痛い敗戦となった。
イングランド戦で、ジャパンは劣勢を予想されたスクラムで健闘した。勝敗を分けたのは、アルゼンチン戦でも見せたイングランドの意地だろう。伝統国のプライドをかけた執念が4トライを生んだといえる。ジャパンは試合終了直前に加点される悪いクセが出て、点差を広げられてしまった。
この試合でウイングのセミシ・ワシレア(WTB)が負傷、戦線離脱となり、急遽、山中亮平が招集された。これによってサモア戦のバックスリーは、ウイングに松島幸太朗とジョネ・ナイカブラ、フルバックにレメキ・ロマノ・ラヴァとなった。
■サモアは、重いフォワードが前に出ると怖い
一方のサモアの戦力はどうか。サモアは16日にチリとの初戦を43-10でクリア。このスコアは、ジャパンvs.チリの42-12とほぼ同じだった。しかし、スリッピーな雨のコンディションで行われたアルゼンチン戦は19-10と惜敗。2試合を終わってジャパンと勝ち点5で並んでいる。9月25日時点でのワールドランキングは、サモアが12位、ジャパンが13位。実力はほぼ互角といっていいだろう。
サモアの特徴は大きくて重いフォワードだ。7月22日に札幌ドームで行われたウォームアップマッチでも、フォワードで前に出られて22-24と競り負けてしまった。特にゴールラインが見えてくるとフォワードの圧力が強くなる。その反面、ニュートラルゾーンでは、あまり攻め手がない印象だ。いかに敵陣から自陣22メートルまでで戦うかが勝負のポイントになる。長距離キックで押し戻し、背走させたい。
もうひとつ注意したいのが、サモアのデ・クラークこと、ジョナサン・タウマテイネ(SH)だ。過去2試合でも機敏な動きが目立っていた。この選手が動き回るとうるさい。なんとかマークを強くしたい。人気漫画『NARUTO-ナルトー』を真似たという金髪が目印だ。
■アイルランドvs.南アフリカは決勝戦さながらの好ゲーム
プールAは、開催国フランスが3連勝でベスト8進出を早々と決めた。ところが、96-0と圧勝したナミビア戦で主将のアントワーヌ・デュポンが顔面を骨折するアクシデント。すでに手術を行い、大会中に復帰したいとSNSで発信しているが、まだどうなるか未定だ。大会屈指のスター選手だけに心配だ。
プールBでは、アイルランドが南アフリカを13-8で下してプール戦を突破した。ランキング1位と2位がぶつかり合った試合は、決勝戦かと思うほどの好ゲームだった。スプリングボックスはマルコム・マークスの離脱とプレースキックの不調が響いた。スコットランドが勝ち上がる条件は、ルーマニア、アイルランドから勝ち点5を上げ、南アフリカのトンガ戦の勝ち点が4以下になったとき。南アフリカ有利だ。
プールCはオーストラリアを40-6と粉砕したウエールズが準々決勝に進んだ。エディ・ジョーンズ率いるワラビーズは、ワールドカップで初めての予選敗退の危機に瀕した。不動のキャプテン、マイケル・フーパーらベテランを外した作戦が裏目に出た格好だ。逆にウェールズは戦いながら調子を上げてきた印象。もし、ジャパンが2位で予選を通過すれば、ベスト8で対戦する。
プールDは、アルゼンチン、ジャパンというライバル2カ国を蹴り落としたイングランドがチリにも勝ってベスト8進出を決めた。大会前の不安を払拭する結果といえる。
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著者プロフィール
牧野森太郎●フリーライター
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。