埜口遥希選手。写真は2018年のもの(C)Getty Images アジアロードレース選手権(ARRC)のASB1000クラスにホンダ系チームから参戦していた埜口遙希(のぐち・はるき)選手が8月13日にインドネシアで開催されたシリー…

埜口遥希選手。写真は2018年のもの(C)Getty Images

 アジアロードレース選手権(ARRC)のASB1000クラスにホンダ系チームから参戦していた埜口遙希(のぐち・はるき)選手が8月13日にインドネシアで開催されたシリーズ第4戦決勝レース2で大きなクラッシュに巻き込まれ、16日に22歳の若さで死去した。「ショーワ・デンキ・グループ・モータースポーツ・ハルク・プロ・ホンダ・フィリピン」の所属で、4周目に複数のクラッシュに遭遇。現地の病院に搬送され、治療を受けていた。

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 埜口選手は奈良県出身。2021年には全日本ロードレース選手権のST600クラスでチャンピオンを獲得。昨季からARRCに参戦し、4勝を挙げてランキング2位、今季も開幕戦で2勝を挙げて第3戦終了時点でランキング2位につけていた。さらに、今月6日に鈴鹿サーキットで開催された鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2位に入るなど、これからの活躍が大いに期待されていた。

 ホンダ・レーシングの渡辺康治社長は「埜口遥希選手の訃報に接し、突然のことに大きな驚きと深い悲しみを感じています」と哀悼の意を表し、「レースのみならず何事にも前向き、意欲的に取り組む姿勢が印象的で、まだ22歳とこれからの活躍が楽しみだった中での逝去が、本当に残念でなりません」と早すぎる死を惜しんだ。

 オートバイレースはバイクにまたがってレースを戦うため常に危険と隣り合わせで転倒やクラッシュに巻き込まれるリスクを伴う。日本人でも過去に若井伸之選手、加藤大治郎選手、富沢祥也選手らロードレース世界選手権に参戦していたライダーが命を落とした。国際レースでも毎年、事故死のニュースが絶えることはない。

 ライダーは胸部プロテクターと脊椎パッドの装着をしているほか、近年では世界選手権レースでライダー用エアバッグの着用を義務化されるなど安全対策は施されている。2019年に国際交通安全学会誌で発表された「鈴鹿サーキットにおける安全対策と救急体制」の論文によると、エアバッグを装着し、作動したライダーが頭部、顔面、頸部、頚椎を負傷する確率は非装着、非作動と比べて7%下がっているとのデータがある。

 ただし、サバイバルセル、ロールケージ、ヘイロー、HANSデバイスなど選手を安全装置で厳重に覆う4輪レースと比較すると相対的に危険性が高いのは否めない。

 今回の事故も埜口選手を含む2台が転倒し、その直後に後続のライダーと埜口が接触したという。将来を嘱望されていた選手で、18日にはモビリティリゾートもてぎで全日本ロードレース選手権第5戦に参戦するライダーやチーム関係者が黙祷を捧げた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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