緊急参戦のリングで、アーチュレッタと攻防戦を繰り広げた扇久保。試合後には責任を口にした。(C)RIZIN FF 緊急的に巡ってきたタイトルマッチ。相手は米団体『Bellator』の猛者。決して容易ではなかったマッチメイクだったが、扇…

緊急参戦のリングで、アーチュレッタと攻防戦を繰り広げた扇久保。試合後には責任を口にした。(C)RIZIN FF

 緊急的に巡ってきたタイトルマッチ。相手は米団体『Bellator』の猛者。決して容易ではなかったマッチメイクだったが、扇久保博正(パラエストラ松戸)は意地を見せた。

 7月30日にさいたまスーパーアリーナで格闘技イベント「超RIZIN.2」が行われ、RIZINバンタム級タイトルマッチで扇久保はフアン・アーチュレッタ(米国)に0-3で判定負けを喫した。

【動画】アリーナを沸かせた渾身フック! 扇久保がアーチュレッタにかました打撃をチェック

 スクランブル的に巡ってきたチャンスではあった。当初試合に出場予定だった朝倉海(トライフォース赤坂)が練習中に左膝内側側副靭帯を損傷。団体の緊急事態に「僕らからすると、扇久保博正以外は思いつかなかった」(榊原信行CEO談)と大抜擢された扇久保は「家族がピンチのとき黙っている男はいない」と並々ならぬ意欲を持って挑んだ。

 ただ、眼前に立ちはだかった「鋼のグラディエーター」(アーチュレッタの愛称)は堅く、手強い相手だった。

 やや劣勢で1回を終えた扇久保は、2回に組みの展開になると持ち前の気迫で押し込む。脇の差し合いのなかでアーチュレッタから主導権を奪っていた。隙を見出そうとしたベテランだったが、3回は相手に翻弄された。幾度となくバックを取られ、流れをコントロールされてしまった。

 何度もピンチを回避し、決定的な場面は作らせなかった。それでも扇久保は試合終了直後にコーナーに寄りかかり、力尽きたような表情を浮かべた。一切の油断も許されない攻防戦に疲弊したのだろう。

 王者に先んじて会見場に現れた扇久保は「レスリングとフィジカルで圧倒されたかな」と吐露。そして、世界的名手が見せた巧者ぶりを称えた。

「3ラウンド目にバックを取られたときに逃げ切れなかった。そこにレスリング力の差を感じました。1ラウンド目は体力を使わせて、2ラウンドの後半から3ラウンド目にかけて追い上げていこうっていうプランを練っていた。でも、ちょっと1ラウンド目に守りすぎました」

 対戦決定から準備期間は約3週間と決して多くはなかった。それでも言い訳をせずに「とにかく悔しい気持ちでいっぱいです」とRIZINのベルトを“守れなかった”責任を語った扇久保。それでも榊原CEOから「超RIZIN.2を救ってくれた。男気に感謝したい」と賛辞を贈られた36歳の目は、早くも次戦を見据えていたように見えた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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