「大学では必ず日本一に」浪速3年・船戸来輝選手 試合終了の合図が出されると、畳に崩れ落ちた。「天国の父に優勝を届けたかっ…

「大学では必ず日本一に」…浪速3年・船戸来輝選手

 試合終了の合図が出されると、畳に崩れ落ちた。「天国の父に優勝を届けたかったのに」。4回戦で願いは絶たれた。

 父・武司さんが空手をしており、3歳から教えられてきた。指導は厳しかったが、勝った時は我がことのように喜んでくれた。それがうれしく、二人三脚で空手にのめり込んでいった。

 悲劇は2年前に突然起きた。新型コロナウイルスに感染し、入院していた武司さんの容態が急変したとの知らせを聞き、病院に駆けつけた。病室には人工呼吸器をつけて横たわる姿があった。

 「頑張れ!」。ガラス窓越しに必死に声をかけ続けたが、意識は戻らず息を引き取った。40代の若さだった。しばらく学校に行けず、空手からも遠ざかった。1か月ほどたって、祖母から「お父さんはそんな姿は望んでないよ」と諭された。

 「試合で勝って父を喜ばせるんだ」。練習に打ち込み、今春の選抜大会では男子個人組手76キロ以下級で頂点に輝いた。

 インターハイは父が楽しみにしていた特別な大会だ。「必ず勝つ」と積極的に攻撃を仕掛けてリードしたが、終了数秒前に上段蹴りを受けて逆転負けした。「大学では必ず日本一になって父に恩返しする」(弓立美沙輝)