「コミュニティを作る上でスポーツを活用したい」 先週末に行われた『三井不動産カップ』では、女子の日本代表とオランダ代表がウイングアリーナ刈谷(愛知県)で2試合を戦った。キャプテンの吉田亜沙美が牽引する日本代表は攻守に素晴らしいパフォーマン…

「コミュニティを作る上でスポーツを活用したい」

先週末に行われた『三井不動産カップ』では、女子の日本代表とオランダ代表がウイングアリーナ刈谷(愛知県)で2試合を戦った。キャプテンの吉田亜沙美が牽引する日本代表は攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せて2連勝。アジア3連覇を目指して最終調整を行っているチームとしては上々の出来だった。

昨年春から女子日本代表のサポートを続ける三井不動産の取り組みも2年目に入った。リオ五輪の本大会を前にして行われたオーストラリア代表、セネガル代表を迎えて行われた過去2回、そして今回のオランダ代表を迎えた国際強化試合を『三井不動産カップ』として協賛している。

三井不動産株式会社の広報部、鵜沢周平主任は代表をサポートする意義を次のように語る。

「2020年の東京オリンピック・パラリンピックがきっかけとなり、三井不動産は『ゴールド街づくりパートナー』として大会を応援しています。街づくり、つまりはコミュニティを作る上でスポーツの力を活用して人と地域と社会を繋げていきたいと考えました。バスケを選んだのは競技人口が多くて、これから日本でも盛り上がるという期待を感じたからです。1年ちょっと取り組んでいますが、リオ五輪での好成績もあり、社内でも『協賛して良かった』との声が挙がっています」

土日の2試合ともに、試合開始前の選手入場では『ハイファイブキッズ』が両チームの選手たちをハイタッチで出迎えた。終わった直後の子供たちは、「全員とちゃんとタッチできました」、「日本もオランダも、選手がすごく大きかった」、「吉田選手に頑張ってくださいと声をかけました」と興奮の面持ちで語ってくれた。きっと忘れられない思い出になるに違いない。

選手入場では『ハイファイブキッズ』がずらりと並び、両チームの選手を迎え入れた。

「三井不動産さんと一緒にバスケットを盛り上げていければ」

『三井不動産カップ』第2戦の試合終了後、吉田はキャプテンとしてウイングアリーナ刈谷に詰めかけたファンに向かって次のように挨拶している。「私たち代表選手はもちろん、すべてのバスケットボールプレーヤーとバスケットボールファンの皆さんとで、バスケットボールをメジャースポーツにしたいと思っています。この2日間、ファンの皆さんとお会いでき、一緒に戦えたことを幸せに思っています」

日本代表は活動期間も限られており、リオ五輪から11カ月が過ぎてようやくファンの前で試合をすることができた。アジアカップ直前でチーム作りが大詰めの時期ではあるが、吉田はファンの前でプレーできること、ファンと一緒に戦うことにも大きな喜びを見いだしていた。

『リオ効果』もあり、ウイングアリーナ刈谷は土日の両日ともに多くの観客を集め、応援にも今までにない一体感があった。土曜の試合を終えた会見では、日本代表ヘッドコーチを務めるトム・ホーバスが「最高の雰囲気を作ってくれた観客の皆さんにお礼を言いたい。(対戦相手の)オランダのヘッドコーチからも、ファンが作る雰囲気はすごいと褒められた」と語っている。

吉田もファンに対するつながりを大いに感じており、次のように語っている。「会場に一体感がすごくありました。私たち選手にとってはありがたいことだし、その中でプレーできるのは幸せだと思います。私たちがコートで楽しんでバスケットをすることが伝わって、皆さんにも楽しんでいただければと思います。これからバスケットファンをもっと増やすには、私たちがしっかり結果を出すことが大事なので、そういう意識を持って頑張ります」

また吉田は協賛企業である三井不動産のサポートにも感謝の気持ちを語った。「こうやって代表にスポンサーがついてくださることは私たちにとってすごくプラスです。私たちは選手としてプレーで結果を残すことを一番に考えますが、それをサポーターの方々に伝えるという部分では足りないところも出てくるので、そういう部分でバックアップしてもらえるのは心強いです。私たちも三井不動産さんと一緒にバスケットを盛り上げていければと思います」

三井不動産広報部の鵜沢周平主任は「バスケットを通じて街に良い変化を生みだしたい」と語る。

2020年まで腰を据えてじっくりサポートに取り組む

三井不動産と女子日本代表の取り組みは2020年まで続くことが決まっており、まだ始まったばかりの段階とも言える。街づくりと同様に、時間をかけて取り組んでいくものという認識だ。その取り組みは国際強化試合だけに限らない。「商業施設やビルなど場を持っているので、リアルな場を使って競技の普及や認知拡大を目的としたイベントもやりたい。そういった活動を通じて、弊社の名前と施設の関連性を世間に広く知っていただきたい」と鵜沢主任は言う。

アジアカップ後の8月15日には吉田亜沙美と大﨑佑圭、そしてバスケットボール協会ジュニア専任コーチを務める萩原美樹子を迎えて子供向けのスポーツアカデミーも実施する予定で、「これをきっかけにコミュニケーションが生まれて、街が良くなっていく。そういう形を作っていきたいですね」と語る。

三井不動産グループの2020年に向けたスローガンは『BE THE CHANGE』。「スポーツを支えることで生まれるつながりを通して、人や地域や社会に良い変化を作りだし、変えていく」というのが狙いだ。じっくりと腰を据えて進められる取り組みがどう進展して、何を生み出すのかが楽しみである。

(制作協力:バスケット・カウント編集部)