20年のラスベガス決戦で井上(右)に屈したモロニー(左)。怪物の衝撃的な強さを知るからこそ、フルトン戦の勝利を信じて疑わない(C)Getty Images  井上尚弥(大橋)が新たなスターダムをのし上がろうとしている。…

 

20年のラスベガス決戦で井上(右)に屈したモロニー(左)。怪物の衝撃的な強さを知るからこそ、フルトン戦の勝利を信じて疑わない(C)Getty Images

 

 井上尚弥(大橋)が新たなスターダムをのし上がろうとしている。7月25日にWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(米国)と東京・有明アリーナでタイトルマッチに挑む。

 互いにキャリア無敗を誇る者同士の至高の一戦はボクシング界でも大きな注目を集めている。そのなかで24戦無敗21KOという圧倒的な戦績を残し、日進月歩で進化を続けてきた“チャレンジャー”への評価は天井知らずだ。

【動画】モロニーが膝から崩れ、病院送りとなった一撃 井上尚弥の衝撃KOをチェック

 

「怪物」「世界屈指のハードパンチャー」「ポケモンのサイズなのにゴジラのよう」

 ネット上では井上の規格外さを示す言葉が目に付く。だが、やはり何よりも日本人戦士の凄みを伝えるうえで信ぴょう性があるのは、実際に拳を交わしてきた“敗者”たちの言葉だろう。

 井上の図抜けた強さを「彼は他と違う。特別なんだ」と表現するのは、ジェイソン・モロニー(豪州)だ。世界がコロナ禍にあった2020年10月にラスベガスで対峙するも、7回に頭部に高速カウンターを被弾。KO負けを喫し、病院送りとなっていた32歳は、米ボクシング専門番組『ProBox TV』で、こう語っている。

「イノウエは特別なファイターだよ。しばらくは負けることはないと思う。彼はこの階級での最初の試合だろうが、(フルトンの持つ)2つのベルトを手にし、年末までには4団体統一王者になると思う。それくらいに僕はイノウエを高く評価しているよ。だって僕はそれを目にしているからね」

 20年の対戦後には「(井上は)ただただ尋常じゃない。信じられないほど素早い」と振り返っていたモロニー。世界に評価する凄まじい強さを目の当たりにしたからこそ、スーパーバンタム級での躍動も断言する。巷ではリーチで8センチも上回るフルトンの優位性を唱えられているが、豪州戦士は「エキサイティングな戦いになるが、フルトンにはイノウエを苦しめるほどの力はない」と持論を披露している。

「フルトンが身長とリーチで有利なのは間違いないが、イノウエが経験していないことはないよ。彼はジェイミー・マクドネルのような体格差のある選手と対戦したことがあるけど、十分にやれているし、そもそも彼は大きいんだよ。もちろん限界はあるだろうけど、スーパーバンタムで苦労することはないと思う。

 イノウエは足が太く、ふくらはぎも太いし、背中も十分に広い。だから、彼はこの新しい階級に問題なく馴染むさ。フェザー級を超えられるかどうか? 体格的にはそこが限界かもしれないけど、バンタム級では強かったから、今回の試合は問題ないはずだ」

 さらに「フルトンは確かに優れた技術の持ち主だ。フィゲロアやローマンにも素晴らしい勝利をあげてきた。目の前に立ちはだかる者をなぎ倒してきた。でも、物事にはレベルってものがあるんだ」と熱弁を振るったモロニーは、「フルトンがイノウエから勝利を挙げるには、全ラウンドの1秒1秒を完璧にこなさなければならない。しかし、イノウエが勝つには、1秒だけ完璧であればいい。それがあの男の持つ、パワーのアドバンテージだ」と断言。“怪物”と世界的な評価を得る日本人の可能性に太鼓判を押した。

 はたして、モロニーの言うように井上の快勝劇となるのか。列島を揺るがすであろうビッグマッチへの興味は尽きない。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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