第99回全国高校野球選手権埼玉大会第3日は10日、県営大宮公園など7球場で2回戦18試合が行われ、プロ球団注目の右腕・布川雄大(3年)を擁するDシードの武南は、昨秋の県大会で8強入りした星野に延長戦の末2-3で敗れ、初戦で姿を消した。■延長…

第99回全国高校野球選手権埼玉大会第3日は10日、県営大宮公園など7球場で2回戦18試合が行われ、プロ球団注目の右腕・布川雄大(3年)を擁するDシードの武南は、昨秋の県大会で8強入りした星野に延長戦の末2-3で敗れ、初戦で姿を消した。

■延長戦の末に敗戦、投打で牽引の187センチ右腕・布川「力が足りなかった」

 第99回全国高校野球選手権埼玉大会第3日は10日、県営大宮公園など7球場で2回戦18試合が行われ、プロ球団注目の右腕・布川雄大(3年)を擁するDシードの武南は、昨秋の県大会で8強入りした星野に延長戦の末2-3で敗れ、初戦で姿を消した。

 10回裏2死一塁から4番・布川に打席が回ってきた。6回には左翼フェンス直撃の二塁打を放っていたが、5打席目は2球目を詰まらせ、右邪飛に倒れてゲームセット。2年にわたり、エースと主砲の“二刀流”でチームをけん引してきた男は、「力が足りなかった。今は悔しい気持ちでいっぱいです」と涙も見せず、自らの力不足だけを反省した。

 2回に2つの暴投が絡んで同点とされたが、6回までは完璧に近い投球を披露。上尾との今春の県大会1回戦でマークした自己最速146キロの速球を主体に変化球を織り交ぜ、2安打、7奪三振の好投で星野打線を苦しめた。

 しかし2-1で迎えた7回、この日初めて連打を浴び無死一、三塁から中堅への鋭い犠飛で再び追い付かれた。「中盤以降は暑さもあり、疲れが出て下半身を使って投げられなかった」と汗を拭った。

■進路決定はこれから「親とも相談したい」

 武南は9回、1死二塁に続き2死三塁とサヨナラの絶好機をものにできず、延長10回に決勝点を献上。2死から連打と三塁手の失策で満塁とされ、3番・飯野優太(3年)の強烈な打球を名手の石川大成遊撃手(3年)が弾いてしまい、痛恨の失点。布川は「味方の責任ではない。あそこも抑えてやろうと思ったが、相手にうまく捉えられた。自分の力不足です」とチームメートをかばった。

 187センチの大型右腕は昨夏も背番号1を付け、西武文理に敗れた4回戦まで全3試合に完投したが、今年の夏はあまりにも早く、一瞬で過ぎ去った。

 それでも評価は下がらない。この日もプロ野球各球団のスカウト陣が視察に訪れ、日本ハムの今成泰章氏は「142キロがきょうの最速だったかな。素材としては魅力がある」と述べた。

 進路を決めるのはこれからだ。「どの道に進むのかは親とも相談したい」とプロ、大学、社会人の三者択一に慎重に臨みたいとした。

 高校球児はいつもすがすがしい。全力疾走と礼儀正しい振る舞いが人々に共感される。3年間を振り返って布川は、「つらいこともあったけど、みんなのおかげでここまで来られた。周りの支えがあったからこそ、ここまで来ることができました」と丁寧な謝辞で締めくくった。(河野正 / Tadashi Kawano)