打率は2位に大差つけ断トツ.373、3冠獲得も夢ではない セ・パ交流戦で初優勝し、1998年以来25年ぶりのリーグ優勝へ…

打率は2位に大差つけ断トツ.373、3冠獲得も夢ではない

 セ・パ交流戦で初優勝し、1998年以来25年ぶりのリーグ優勝へ向けても勢いづくDeNA。中でも、リーグ断トツの打率.373を誇っている宮崎敏郎内野手の打棒は注目の的だ。最終的には、どんな高打率でフィニッシュするのか。NPB史上初の4割打者となる可能性はあるのか。現役時代にヤクルト、横浜(現DeNA)など4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

 プロ11年目・34歳の宮崎は、2017年に打率.323で首位打者を獲得した実績があるが、それにしても今季の勢いは凄まじい。開幕から約1か月後の4月29日時点で打率.459。試合終了時点で言えば、5月25日まで4割(.402)をキープしていた。打率はリーグ2位の岡本和真内野手(巨人)の.322に5分1厘の大差をつける(22日現在、以下同)。加えて、42打点もトップの同僚・牧秀悟内野手にわずか1差の2位タイ、13本塁打もトップの岡本に4本差の単独2位につけ、3冠王獲得も決して夢物語でない状況だ。

 交流戦中も18日のロッテ戦で、佐々木朗希投手の159キロの速球を右翼ポール際のスタンドへ運び、“令和の怪物”から今季初めて本塁打を放った選手となるなど、改めて突出した技術を見せつけた。

 野口氏は“捕手目線”で宮崎の打撃を「あれだけ左足を高く上げ、動きの大きいフォームにも関わらず、変化球にタイミングを合わせるのが非常にうまい。特に緩いカーブを打つことは抜群です。狙っていなくても、グッとためて対応してしまう。どのコースもうまく打つので、相手バッテリーにとっては本当に厄介です」と分析。「こういう言い方は彼の努力に対して失礼かもしれませんが、はたから見る限り“天才”としか言いようがない」と感嘆する。

NPB史上シーズン最高打率はバースの.389

 野口氏は名伯楽として名高い田代富雄DeNA巡回打撃コーチから以前、「宮崎の打撃は独特で、俺にはわからん。俺があいつにしてやれることは、普段からよく見ていて、不調になった時に好調時との違いを指摘してやることくらいだ」と聞いたことがあるという。

 NPB史上、シーズン打率の最高記録は1986年にランディ・バース(阪神)がマークした.389である。2000年のイチロー(オリックス)の.387がこれに次ぐ。野口氏は「宮崎は右打者で、足もそれほど速いわけではありませんから、内野安打を稼げない分、シーズン4割はさすがに難しいと思います」と見る。

 実際、宮崎の今季69安打中、内野安打は6本で8.7%に過ぎない。たとえば、イチローがマリナーズ時代の2004年にシーズン262安打を放ってMLB記録を塗り替えた際には、左打者で俊足のアドバンテージを生かし、約22.5%の59本が内野安打だった。

 それでも「右打者の歴代最高打率(2008年の横浜・内川聖一の.378)を塗り替えるのは射程圏内だと思います。悪くても、最終的に3割5分を切ることはない気がします」と野口氏は予想する。ひょっとすると、他人には説明できない打撃で、想像を絶する物凄い成績で終えないとも限らない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)