第3回に登場するのは学生トレーナーとしてチームを支える田口聖和(スポ4=愛知・松蔭)。トレーナーという立場でどのように…
第3回に登場するのは学生トレーナーとしてチームを支える田口聖和(スポ4=愛知・松蔭)。トレーナーという立場でどのようにバスケットに関わり、どんな思いを抱いているのか、話を伺った。

話をする田口
自己紹介
――自己紹介をお願いします
田口 愛知県立松蔭高校出身の4年生学生トレーナーの田口聖和です。
――バスケットボールを始めたのはいつからですか
田口 プレイヤーとしては一切やっていないです。高校1年生の時くらいに友達からNBAを紹介してもらって、それからバスケが好きになりました。当時の部活は陸上だったので、バスケは遊びでしていました。それ以降、NBAは欠かさず観るようにしてます。もともとトレーナーやスポーツに関わりたいと思っていて。最初は陸上を続けることも考えていたのですが、記録を切ることができず、そのまま続けるのではなくて、高3の途中で勉強1本に絞りました。それでトレーナーをすると考えた時に、スポ科なら早稲田が一番かなと思い、早稲田を選びました。
――なぜトレーナーだったのでしょうか
田口 もともと好きなことしかできないタイプだったので、スポーツ関係の仕事で何をするか考えていて。あとは直感でトレーナーになっていました。
――ご家族のスポーツへの関わりは
田口 スポーツばっかりですね。今でもお父さんがサーフィンをやっていたり、お母さんもマラソン走ったりするくらいスポーツ好きですね。なので、スポーツに理解があるというか。どんな道に進んでも、好きなことは自分で考えて全力でやりなさいという感じでした。
トレーナーという役職について
――トレーナーの練習中の仕事内容を教えてください
田口 リハビリが必要な選手がいれば、その指導ですね。リハビリがいなかったら救急に備えて練習を観ています。あとは僕自身、みんなと盛り上がるのが好きなので、スリーポイントなどで一緒に盛り上がったりしています。そういうコミュニケーションがないと、リハビリやトレーニングにおいて良い関係で始められないので、みんなとは積極的に関わっています。あとは普通に事務作業もあります。他にはけがのケアに関するメニュー構成をしたりもします。
――選手と向き合う時に意識していることはありますか
田口 4年生になって知識が入ってきて、科学的根拠があるトレーニングも分かるようになってきました。その中で、例えば科学的には30秒レストが効果的と言われていたとしても、ペア組ませて少しレストが変わっても競わせてやらせるとか。科学的根拠を知った上で、競争させるとかモチベーション上げさせるとかして、目標の提示をしています。僕の専門はストレングスですが、リハビリの時は選手のモチベーションのためだったりで、できるだけバスケはさせてあげるようにしています。
――なぜコミュニケーションが大切だと思うのでしょうか
田口 選手によって、リハビリを始めるきっかけがいろいろあると思います。トレーニングだったら、バスケにつながるだけでやる気になる選手もいれば、かっこよくなるよと言ってやる気になる選手もいます。あとは細かいことを説明した方がやる気になる子もいます。他にも継続する子としない子がいるので、継続させるためにあえて理論を伝えたりなどの工夫をしていますね。トレーナーは上のレベルにいくとスキルは大きく変わらないと思うので、そういうコミュニケーションやモチベーションで差がつくと思います。
――トレーニングに関する知識はどこでつけたのでしょうか
田口 1、2年生の頃はスポ科でも専門的な授業がないので図書館で本とか借りていました。3年は授業が多かったので、リハビリなどについて学んでいきました。なので3、4年生は授業メインでした。
――理論と実践で異なる部分もあるかと思いますが、それはどのように修正していったのですか
田口 現場で実際に知識を使ってやってみたりしています。あとはチームスポーツという点で物や環境の制限があります。(個人でやるときとは違い)チームでやるとすごく時間がかかってしまうトレーニングがあると、どれだけ科学的に正しくてもその通りにはできないです。他にもモチベーションによって差が出てしまうこともあります。そこがパーソナルトレーナーとの違いだと思います。チーム全体でやることと、個人でやることに違いがあるので、そこを工夫してやっています。
――3年生から1人でトレーナーをされてきたと思います。どのように感じていましたか
田口 1人でコントロールできて意見の相違がないので、まとめやすいです。それぞれの状況を把握できて、相違がないのは利点だったと思います。ですがその分、担当することが多かったです。ある程度のことはできるんですが、一番難しいのは新しくやってみたいことがあってもマンパワー的にできないことです。1年生の時まではコンデション管理をしていたのですが、そういうデータをまとめるみたいなことが1人だとできなかったです。他にもリハビリの内容を考えて、時間的な制限もあったので生活はカツカツでした。なので、3年生の時は選手任せになってしまっていたのはありました。
――復帰の時期に関して、選手と相違を感じることはありますか
田口 それはありますね。選手は早くバスケをしたいと思います。なので、心配性な選手もいますが、基本的には早く復帰したいと考えています。あと昨年は特に人数的に厳しかったので、早く復帰しないといけない気持ちが大きかったと思います。僕は選手の気持ちをできるだけ尊重したかったので、コーチ陣や選手との合意もしつつ、復帰させたりしていました。しかし責任は持たないといけないので、ある程度まで定めて、これをクリアしたら復帰しようみたいな感じでやっていました。
――最上級生になって変化したことはありますか
田口 選手が一気に増えたので、チームがいくつかできたり、会場が別だったりします。他には初めてトレーナーの後輩ができました。後輩に指導することは元からやっていたので、4年生になって一段とそういう部分をしっかりしないといけないと思っています。そういうことは4年生で話し合っていますね。
――後輩たちにはどのように指導されているのですか
田口 これまでで一番和気わいわいとしていると思います。そういう仲の良さがいい方向に進んだり、たまに悪い方向に進んだりすることもあります。そういう時は友達じゃなくてチームだということを理解してもらわなければいけないので、そういう部分を後輩たちには伝えて指導するようにしています。
――トレーナーの後輩との関わり方はいかがでしょうか
田口 僕は普段Aチームを見ているのですが、(今年は人数が増えて)チームが分かれたことで、トレーナー3人が同時に揃うことが難しいです。なので、部活中に個人でケアの方法とかを教えたりしていますね。(1年生のトレーナー2人は)来年からは2年生で学生トレーナーのトップになるので、心配していることもありますね。
――どのような指導を心がけていますか
田口 常日頃から言っているのですが、部員全員とコミュニケーションが取れないとやっていけない職だと思います。特にトレーナーは選手が頼ったり、何でも言いやすかったりするポジションじゃないと、リハビリとかトレーニングにも影響してしまいます。仲良くしつつ、しっかりと(やるべきことは)言えるような、そういうコミュニケーションができるように指導したいと思います。
――試合中のチームへの関わり方で考えていることはありますか
田口 盛り上がりつつ、たまに休んでいる選手に声をかけたりしています。選手ごとにアツい言葉をかけた方がモチベーションが上がったり、全然違う話題でリラックスさせた方が良かったりする選手もいると思います。ただただトレーナーというわけではなく、チームに影響を与えられるようにしています。僕がストレングスコンディショニングコーチになりたいと思った理由が、トレーナーとして支えるよりも引っ張りたかったというのがあります。ストレングスコンディショニングコーチとして人に影響を与えられるようにしたいですね。
――トレーナーとしての最終的な目標はありますか
田口 最終的にはNBAでストレングスニングコーチになりたいです。トレーナーを目指した時に、せっかくやるなら一番がいいと思って、バスケットボールでトレーナーならNBAが一番だと思います。自分が一番になりたいということもあるのですが、他にもそういった環境にも興味があります。世界一を目指してやっている選手たちはどんな風にやっているんだろう、そういうところに身を置いたら自分がどうなるんだろうということに興味があります。あとはすごい人になりたいですね(笑)。(自分と)関わってきた人が自慢できるような人になりたいです。
――海外進学などは考えられているのですか
田口 大学院はアメリカにしようと思っています。入学を9月か8月にしようと思っているので、今は1年後の出願までにいろいろできればと思ってますね。卒論や論文も必要なので準備しないといけないです。最近はコロナも明けていろいろな人に会えているので、海外に行きたい気持ちはマシマシですね(笑)
――やはりアメリカの大学院は日本とは異なるのでしょうか
田口 スポーツを一番商業化しているのはアメリカだと思います。プロだけでなく、アメリカは大学スポーツも盛んなので、そういうところでチームに関われるのが一番勉強できる環境だと思っています。
――最上級生として臨む、今年1年間の目標はありますか
田口 チームで最初にミーティングをした時に、1つの目標として注目されるチームになることが挙がりました。早稲田のバスケットスタイルを体現して、このチーム何か起こしてくれるだろうなというのを体現する必要があります。スプリングトーナメントでは、強豪チーム相手に接戦に持ち込めたと感じたので、そこからしっかりと勝ち切りたいですね。それで安定して強いチームにしていきたいです。どの相手でもチャレンジングではないチームになりたいです。
――そのために田口トレーナーはどのようにチームに関わりたいでしょうか
田口 専門のストレングスの部分で言えば、4年生になってモチベーティングがしやすい立場になったと思います。なので、いかに普段の練習やトレーニングを最大の強度でやるかを考えていきたいです。みんなやることはやるので、その中でいかにクオリティを上げられるかという部分をコミュニケーションの中で引き出していきたいと思います。
早慶戦について
――これまでの早慶戦を振り返っていかがでしょうか
田口 1、2年生の時は無観客だったので、3年生になって環境に圧倒されましたね。まだ1回しか体験したことないですが、最後の1回を楽しめればと思います。
――最上級生として臨む早慶戦に対する思いは
田口 (早慶戦は)早稲田の試合の中で一番観客が入る試合です。しかもホームとアウェーがくっきりと分かれていて、応援などもあるので、そういう環境の中でバスケすることは大学バスケの中ではほとんどない経験だと思います。それを楽しみながら頑張りたいです。あとは注目されることを楽しみたいです。毎年、全員出場全員得点が目標なので、しっかりとコンディションを整えて圧倒して会場を盛り上げたいと思います。あとは4年生の選手が2人なので、その2人には楽しんでもらえれば! 他にも、早慶戦は早稲田でしか味わえないです。OBまで含めてきっぱり分かれて伝統を守って戦うのは早稲田でしかできないです。それを感じることも大切だと思うので、早稲田というプライドを持って戦いに臨めればと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 落合俊)

◆田口聖和(たぐち・せな)
2001(平13)年9月7日生まれ。愛知・松蔭高出身。スポーツ科学部4年。試合の1番の楽しみは松山雄亮選手(スポ3=京都・洛南)、三浦健一選手(スポ1=京都・洛南)とベンチで叫びまくることで、新しくハンドシェイクを編み出し中だそう。早慶戦では3人のベンチパフォーマンスにも注目です!