元広島の川端順氏は今年4月の徳島・松茂町議選に出馬…トップ当選を果たした「(米国選手に)憧れるのはやめましょう」。202…
元広島の川端順氏は今年4月の徳島・松茂町議選に出馬…トップ当選を果たした
「(米国選手に)憧れるのはやめましょう」。2023年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝、米国戦前のミーティングで野球日本代表「侍ジャパン」大谷翔平投手(エンゼルス)が発した言葉の一部だが、元広島投手の川端順氏は「いいことを言うなぁって思った」という。現在、故郷の徳島・松茂町議を務め、スポーツなどを通じて、地元のさらなる発展に尽力する日々。「都会に憧れるのではなく、松茂町を憧れられるような町にしたい」と意気込んでいる。
4月の町議選に無所属、新人で立候補してトップ当選を果たした川端氏は63歳のルーキー議員として奮闘中だ。2017年に広島を退団して、故郷に戻った。「うちのおふくろがひとりなんで、帰りたいという気持ちがありました。最初は介護の仕事をするつもりだったんです。介護事務の資格と介助士の資格も取りましたし、2種免許も取りました。でも、帰ってきたら僕の同級生が『せっかく広島で34年間、いろんな仕事をしてきたわけだから、それを生かした方がいいんじゃないか』と言ってくれて……」。
徳島でフィットネスクラブなどを経営する岡田企画株式会社を紹介してもらい、講演活動や徳島の中学、高校への野球指導もスタートさせた。そんな中で芽生えたのが「松茂町をよくしたい。スポーツの町として盛り上げたい」という気持ちだ。そのために町議への挑戦を決めた。
「もともと松茂町はスポーツが盛ん。松茂中学からはプロ野球選手も何人も出ているんですよ。これから人口も増やしていって、いろんな施設があると、いろんなことがあるんじゃないか。まずスポーツからと思って手を挙げました」。もちろん、政治の世界はそんなに甘いものではないのはわかっている。勉強を重ねた。いろんなところに足を運び、松茂町民に自身の考えを説明した。そして4月23日に投開票された松茂町議選で当選したのだ。
松田元オーナーから「狭いところほど、気を付けないといかんよ」
「当選後に(広島の)松田(元)オーナーに電話しました。『狭いところほど、気を付けないといかんよ』って言っていただきました」という。川端氏は鳴門高、法政大、東芝を経て1983年ドラフト1位でカープに入団。2年目の1985年に新人王に輝いた。中継ぎ中心の現役生活だったが、チームにはなくてはならない存在として活躍。1992年シーズン限りで引退し、2005年まで投手コーチ、2006年から編成部入りし、2008年から2017年まで編成グループ長を務めた。その間、松田オーナーには多くのことを教わった。
「オーナーはご自身で野球をすごく勉強されているんです。だから、いろんなことを決断できるのだと思います。ドラフト候補も全選手のビデオを見ておられる。スカウトが気付かないような牽制の癖とかを見抜かれることもあったんですよ。すごいですよ。だからスカウトたちは気が抜けないんです」。現在、川端氏は政治について猛勉強中でもある。それこそ、松田オーナーを見習い、あらゆる角度から知識を吸収した上で、松茂町のためにできることを模索している。
川端氏はこう言う。「開き直りがうまい選手というのはメンタルがガラッと変わって、マウンドでも強くなる。でも、これが難しい。打てるもんなら、打ってみろっていうのは逆に変な開き直り。どっかに力みが入って真ん中に入ってカポーンってやられるケースが多い。冷静に開き直ること。キャッチャーのサインの意味もわかった上で、これで打たれてもしょうがないなというような開き直り。これをつかんだら、今のプロ野球の2軍選手でもどんどん出てくるんじゃないかと思う」。
これは現役時代に投手コーチだった安仁屋宗八氏に教えてもらったことであり、名捕手の達川光男氏にも言われたことでもある。川端氏はこのように、いろんな方のお世話になり、勉強させてもらって、今があると思っている。松茂町を都会に負けない地域にするのが大きな夢。力まずに、ベストを尽くすつもりでいる。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)